お勉強89:食道がんの食道温存治療(早期)
http://www.jcog.jp/document/s_0502.pdf
JCOG0502。放射線治療医としては
かなり結果がうれしい試験。
照射範囲に関しての論議や、
手術に比べてフォレストプロットでCRT優位な群は少ない
など、色々考慮すべき点はありますが
すくなくとも早期食道がんでCRT first、つまり食道温存の
可能性について説明しない、というのは今後
かなり「ダメ」な可能性が高い気がします。
ただ、手術検体ではかなりLNが遠隔にも見つかっている中で
JCOG0502の照射野はかなり狭く、LNをカバーしきれていない
事が予想されるにもかかわらず、OSやPFSはそれなりで、
この乖離についてはアブスコパル効果的なものも
あると考えるポジティブな放射線治療医も
いるかもしれません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33276430/
海外ではあんまり食道のW&Wというか、
食道温存治療は行われない傾向がある。
実際過去のこの類のデータは
ほとんど日本から。
(これは他の癌種では珍しいことで、
日本のJCOGの治療開発がスゴイ、
ということに尽きる。日本で食道がんの治療において
化学放射線療法がちゃんと選択肢に入ってくるのは
JCOGの貢献はデカイと思う。
もちろんJCOG0508は引用されている)
このフランスからの報告は、
内視鏡ハイリスク群で、ケモラジや
経過観察(ただしケモラジより患者背景は良い)
で、どうなのか、という報告。
アデノも僅かに入っている。
(この類の報告では初らしい)
フリーなので興味ある方は一読を。
フォローはJCOG0508に近く、かなり密。
現病死はほとんど食道癌以外。
ケモラジで心血管死が多いのが気になります。
バイアスやフォローの短さもあるが、経過観察
でもそれなりの生存というかかなり良い。
個人的には経過観察で、再発症例のみ
ケモラジ、ってのはありな気がする…
http://www.jcog.jp/document/s_0508.pdf
JCOG0508についてはこちらもご参照を。
画像がつぶれているが、色々な因子で
サブ解析しており、CRTでは不十分な感じな群もある。
(実際ここまで細かく手術と比較するのは難しいが…)