お勉強364:膀胱温存にICIが入ってくる時代
https://www.redjournal.org/article/S0360-3016(23)00461-3/fulltext
日本から膀胱温存療法に向けた報告
アテゾリズマブ併用の報告(第一報)
※ケモは使っていない
安全性、pCR率がメインのPhaseII
(ここでは過去のtrimodalityのpCR率は70~80%としている)
対象はT2-3N0、
高リスクT1N0
(複数の病変・セカンドTURでT1遺残・広いCIS・BCG抵抗性etc.)
膀胱全摘の適応ではないか、拒否例
TUR-BT後3か月以内に登録
放射線は41.4Gy小骨盤+全膀胱Boost16.2Gy
アテゾリズマブを3週おきに8サイクル投与。
24週の時点でTURしてレスポンス判定
治療前の標本で
腫瘍のPD-L1発現やTILもチェック
維持療法として7サイクルアテゾリズマブ
12週ごとにCT/細胞診をチェック
45名が参加
年齢中央値71歳 男性77.8%
T1 15.6%
T2 73.3%
T3 11.1%
単発77.8%、3cm以下57.8%
5cm以上と水腎症ありは除外
CISなし88.9%と
膀胱温存療法に適した群
副作用は下痢、頻尿、排尿障害など
G3が13.3%でG4はなし
3名効果判定できなかった
(PD:領域外リンパ節1名、遠隔転移2名)
42名効果判定し
結果としてはITTで84.4%がpCR(Ta一名、T1 3名遺残、3人PD)
年寄りとPD-L1発現が高いほうがpCR率が高かったと
他にもサブグループ解析されており
明らかに悪いのは、薬が入らない・CISあり
術前にアテゾリズマブを入れても有効率はここまで高くないので
RTを入れることで相乗効果が得られているのだと主張。
線量が少し少なめだったのもポイントかも。と考察
結論としてはpromissingなレジメンだと。
ケモICIにも期待だが、最適な線量分割は必要そう
(GEMをICIに併用したら消化管毒性がひどかった報告があるとの記載あり)
続いてASCO2023から
https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/218070
筋層浸潤膀胱がんに対する3者併用療法
(TUR-BT、ケモラジ)
で膀胱温存を目指す、というのは何回か書いているが
海外では割と市民権を得ている治療法
今回はこの3者併用療法にペンブロを上乗せした試験
対象は臨床的T2-T4aN0M0 で筋層浸潤膀胱がん
根治的膀胱切除術が不適格または拒否
ECOG PS 0/1
eGFR≧30cc/min
ペンブロを一回投与
→maximam TUR-BT
→52Gy/20FrのRTに週2GEM・ペンブロ3週おき3回
治療後は3か月ごとにCT/MRI
腫瘍床生検、細胞診
主要評価項目は2年間の膀胱内無病生存
(イベントは筋層浸潤膀胱がん発症、局所転移、遠隔転移、膀胱摘出、死亡)
一応過去のデータは60%と想定
54名登録、74% T2, 22% T3 4% T4
と上記の試験よりやや厳しめの集団
88%で治療完遂(毒性で中止がほとんどと)
6人(11%)がサルベージ膀胱全摘
腫瘍再発は12人(22%)
筋層浸潤膀胱がん3人、局所5人、遠隔4人
うち4名は筋層非浸潤の再発
2年膀胱内無再発は71% 中央値は47.4か月
2年OSは83% MSTは達せず
12週の時点でのpCR率は80%
試験期間中に10人死亡(膀胱がん3人、治療毒性1人あとは他病死)
結論としては、結構期待できるのでは?ということのよう
膀胱温存にICIが入ってくる時代ですね。