巾木をちゃんと考える。
住宅の構成要素として巾木というものがあります。
床と壁の角の部分にある板のパーツです。
元々は靴やホウキなどで壁を傷つけてしまうのを守ったりするのが役目のもの(だそうです)。
それが本当だとしたら、現在の日本人はスリッパか素足で生活する人がほとんどで必要がないパーツです。
今までもおそらく何人もの人たちが「これいるか?」と問うてきたはずですが、無くならずにあるという事は意味があるという事です。
話は以外にシンプルで、ハウスメーカーで作られる量産型の家は効率化の為に「上手に隠す」という作られ方がされています。
例えば壁を木材の板張りやタイル張りをする時、天井や床と接する部分はそれはそれは丁寧に作られています。(どこかで見てみてください)
ハウスメーカーとしては、その丁寧さが効率を妨げている要因となるわけです。
その点、壁紙などの場合はノリで貼り付けるだけです。
壁紙で施工する場合、プラスターボードという下地板に貼り付けるのですが、いちいち下地板と床の設置面を丁寧に工事したくはないわけです。
そこで出てくるのが巾木。
下地板と床との取り合いの部分を上から板を貼り付ければ綺麗に隠れます。
加えて壁紙も綺麗に貼り付けることができるということで、巾木は今もなお残り続けているわけです。
巾木と同様に廻り子と呼ばれる天井と壁の取り合いのパーツも同様です。
「当たり前を疑え!」じゃないんですが、「それいる?」みたいな考え方は常に持っていてもいいんじゃないかと。
視線が気にならない窓のカーテンだったり、床の種類が切り替わる部分の見切り材だったり、大量のダウンライトだったり。
常にまず「それはいらないかも」から入ることができればコストも仕上がりもシンプルで美しいものになってくるかと。
さらに言うと、それを踏まえた上で「可愛い巾木があるから使いたい!」的なモチベーションなら全然アリで、1番良くないと思うのは「とりあえず」でつけていることです。
すべてのものには意味や理由がありますし、行動を引き起こす作用もあります。
家の設計をする上で1個ずつ答えを出していくのが大切なのではと。
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