<練習の仕方。外国語の歌を楽譜を見ながら歌うとき①母音→子音の順に見ながら歌う②母音の形を決め③決めた形に母音を歌いきる(始まり~ゴールを自分で認識して歌う)>

生徒さん向けに書いてみました。
アルファベットの歌詞(英語・ドイツ語など)が書いてある楽譜を見ながら歌うとき、どちらから読んでいますか?もちろん、前から読むのですが、時々提案している練習があります。私はよくこうしています。
例えば、ドイツリート。

ドイツ語の
「Schmertz 」
という歌詞が音符の下に書いてあるとします。

schmを当然先に発音しますが、その時に少し視点を変えてみます。
母音のeを先に見るのです。そしてその母音を先に喉の奥で用意してからschを発音します。

一瞬の動作ですが、こうすると母音が決まり、子音から母音への流れがより自然な発音になると思います。息も流れやすいです。

外国語の歌の場合、
日本語にはない子音がたくさんありますので、その発音をちゃんとすることに無意識のうちにエネルギーが集まります。(この場合だと「schm」
)しかしそうすると子音は言えてもそのあとの母音の形が中途半端になってしまうことがあります。子音は難しく文字も多いので意識してしっかり言いますが、それを言い終わった喉の形からなんとなく母音をスタートさせ、言い切らずに次の言葉に行きまた子音に注目し・・結果、不完全な母音のつながりになってしまい、「子音はそれらしいけど何を言ってるのかわからない」「そのことばの性格(という言い方を私はよくします。言葉の意味、のその先のイメージです。これはまたの機会に・・・)が伝わらない」「メロディと発声が安定しない」ということが起こります。

歌においては私はその言語の母音の完璧な美しいつながりこそがその歌のメロディを伝える上で最も大切だと思っています。また、その言葉の感情がしっかりと息に乗って表にでたり発声が安定するのも、その母音の形に喉が開いてこそなのです。

素晴らしいクラシックの歌手は、とにかく母音が美しいです。この場合の美しい、とは、「正しい発音」ということではありません。もちろんそこに近づけることは大事ですが、それよりも大切なのは「母音の始まり→ゴール→終わり(次の子音のはじまり)」の形を自分なりにちゃんと決めて言い切っている、ということだと思います。
この前、YouTubeでたまたま、キャスリーン・バトルの日本歌曲をききました。言葉がとても聞き取りやすく、日本語は話せなくても、その言葉の「性格」が、ストレートに伝わり、その歌の世界を存分に表現されていました。
彼女の母音は、「私はこの母音を」「ここからスタートさせてゴールはこれ」という意識と決意がとても感じられます。(もう無意識にそうなるようになっています。)その前の子音の形によっては、その次の母音は開き切らないままスタートすることはあると思います。でも、その母音のゴールを必ず決めてそれをしっかり言い切ってから次の言葉に行く。長いフレーズでも一瞬の短いフレーズでも、優れた歌手はそれがしっかりできていると思います。それができていてば、どの国の言葉でも、話せなくても、少々癖があっても、歌詞がきちんと伝わるのです。

一語一語そんな事やってられないと思うかもしれません。それでいいと思います。私も目指すのはそこですが、まだまだ全然できていません。(ドイツ語も話せません;;)しかし、目指すところはそこだ、やることはそれだ、ということがわかっていると、練習のしがいがあります。それを積み重ね、そういう発音の「癖」を自分につけるのです。言葉を伝えるってどうすることか。の答えのひとつとして、お伝えしました。よろしければ参考にされてくださいね。

<近々の出演予定>
久しぶりのクラシックです。ヨハン・シュトラウスの「春の声」など歌います。
4月23日(土)14:00 アートフォーラムあざみ野
「ジョイント・リサイタル」
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<渡辺麻衣 Vocalレッスン> ~ただいま入会金無料です~
個人レッスン→https://uta-goe.net/course/vocal/
オンライン個人レッスン→https://uta-goe.net/course/online-lesson/

#クロスオーバーソプラノ渡辺麻衣
#クラシック声楽

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ソプラノ・ヴォーカリスト:渡辺麻衣
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