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誰だって‥

2月初め買い物に出掛けた際、痙攣発作を起こして都内の病院に救急搬送されました。
運ばれた病院がとても素晴らしく、高次脳機能障害に最大限配慮して下さり今までの入院生活のなかで一番快適でした。

担当となった脳外科の先生もとても良い方で、ゆっくり丁寧に
「脳波に今の所異常は見られないのでてんかんかどうかの診断はつきませんが、いずれにせよ疲れやストレスを溜めないように過ごしてくださいね」
と退院時、私と夫に説明してくれました。

それから特に発作を起こすこともなく1ヶ月後の再診日、再び脳波の検査を受け、夫と共に診察室に入りました。

高次脳機能障害がある私にではなく付き添いの夫に話をする医師が多いのですが、この先生はちゃんと私の方を向いて
「今回も脳波の異常は見られませんでした。予防のためにてんかん薬を飲むことも出来ますがどうしたいですか?倒れることが不安で日常生活を送ることが怖いならば飲んでもいいですし、もう一度発作が起きた時点で考えてもいいですよ」
と尋ねました。

当たり前じゃないかと思う方も多いかもしれませんが、意外に家族の意思を先に確認し、
「それでいいですか?」
と聞く医師が多い中、最初に私の意見を聞いてくれました。

これ以上薬を増やしたく無かったので、
「とりあえず今回は服薬を見合わせます」
とお伝えしてして診察室を後にしようとした時、夫が
「やはり疲れは溜めないようにしたほうがいいですか?」
と先生に聞きました。

すると先生は
「誰だって疲れは溜めないほうがいいですよね」
と私に笑顔を向けてくれました。

本当になんてことない返答なのですがこれがとても嬉しく感じました。

くも膜下出血を起こし、高次脳機能障害を負った私はとても疲れやすいです。その自覚は十分にあります。疲れたなと感じた時には遅く、ネジが切れたように動けなくなることも少なくありません。

家族も「疲れてないか?」「疲れたら休んで」と度々声をかけてくれます。
それがなんとも悲しく情けなくなることがあります。やっぱり後遺症があるんだな、障害者なんだなと。

でも、
「誰だって疲れは溜めないほうがいいですよね」
の言葉に何となく救われた気がしました。

そう疲れやすさに程度の差はあるかもしれないけれど、
「誰だって」「私じゃなくたって」
みんな疲れは溜めないほうがいいんですよね。

人と同じじゃないといけないわけじゃないけれど、人と同じであると感じられた嬉しい一言でした。