一人一台端末の効能
一人一台の背景
全国でタブレット端末が一人一台配布になっている。
文部科学省主導の「GIGAスクール構想」が推し進められた結果だ。
同構想では当初、2019年度から5年間かけて順次ハード環境を整備する予定だった。
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてオンラインを活用した授業や学習への必要性が高まったことから、補正予算を活用して端末導入のスケジュールを大幅に前倒した。
かなりの割合で整備が進んだはずだ
今日は、私が様々な学校から情報を集め、こんな効能があった、という情報を提供したい。
どんな子とでもつながれる
現在、学校に配備されている端末は、多種多様である
Android タブレット(クロームブックなど)、iPad、Windows タブレットなどがある。
それぞれ、利便性や得意技が違う。
しかし、共通しているのは、子どもたちと教師がつながる場をつくることができることである。
例えば、googleのクラスルームを使うと、個人あてにメッセージがやりとりできる。
クラスルーム→ストリーム→クラスに知らせたいことを入力→すべての生徒→やりとりしたいメンバーを指定
クラスルーム→メンバー→メンバー右の点三つアイコン→生徒にメール
というように、他の子どもたちには見られない方法で、気軽にやりとりができる。
このメール機能、教室でなかなか自分の思っていることを言えない子に対して、有効である。
これまで、教師は日記などでなかなか声を出せない子とのつながりをつくってきた。
しかし、日記には「文章をうまく書かなければならない」「提出時に他の子に見られる可能性」「保護者が読んでいるかもしれない」など、子どもたちの本音を書く機会が奪われている可能性がある。
そこで、個人的にやりとりできる機能を使う。
今まで聞けなかったような本音が、子どもたちから聞かれるようになる。
これまではうまくつながれなかった子どもたちと、うまくつながれるのである。
つかれた!楽しみ!わくわく!など、日常的なつぶやきがやりとりできるようになる。
ただ、あまり多い利用や、文言を間違うと、教師と児童・生徒とのおかしな関係になりかねないし、休日にも教師の存在が強くなりすぎるので、注意が必要である。
余白を生かせる
一人一台端末の持ち帰りが日常的に行われると、様々な利点が生まれる。
その一つが、休日や夜など、学校の余白を生かせることである。
例えば、学習発表会の劇や器楽演奏の動画を共有することが可能である。
休日や放課後に、子どもたちが自分たちの演技や演奏を確認できる。
自分達で動画を見て問題点を発見、ふりかえることができる。
また、授業のふりかえりを共有することも非常に効果的だ。
社会科の授業で、私はこう思う、ということを共有し、互いに「いいね」をしあう。
お互いの考えを理解し、交換した状態で授業に入ることができる。
教師にとっても、子どもたちの生の考えを把握したうえで、授業を始められる。
授業デザインが変わる
スライド機能を使うと、授業の在り方が変わる。
教師が使う場合、スライドに子どもたちの名前が入ったページをあらかじめ準備しておく。
35人学級だったら、35枚分、子どもたちの名前が入ったページを用意しておく。
ちょっと面倒だが、データを取っておいて、何度でも使える
例えば、賛成・反対といった話し合いの準備に加え、AかBかという選択式の授業にも使える
授業の間、一人一人の意見を確認したいとき、それぞれのページに書き込んでもらう。
賛成なら青いテキストボックス、反対なら赤いテキストボックスに意見を書かせるなど、色でわかる工夫があってもよい。
一覧表示にすると、一目瞭然。クラスの意見が一目でわかる。
また、子どもたちが発表の際、スライドを使うことも可能である。
総合の発表など、大いに使える。
これまで、ペンを使って余計な時間をかけることがない。
さらに、一人一人の割り当てページもはっきりすることで、子どもの責任感も高まる。
この際、フォントや色の組み合わせなど、図工的な要素も大きい。
図工で指導した後、他の授業と組み合わせると、効果は高まる。
三浦健太朗
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