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小学校教師の危機管理の「さ・し・す・せ・そ」

 よく聞くフレーズですが、小学校教師としての自分の経験と関連しながら、書きました。随分、失敗して、子どもたちにも保護者にも同僚にも迷惑をかけてきたことを思い出しました。これを読まれた方々の「転ばぬ先の杖」になることを願い、投稿します。

「さ」 最悪を想定しなかったばかりに

「まあ、大丈夫だろう」

 4年生を担任していて、ある日の午後の授業中、あまりに言うことを聞かないA児がいたので、「みんなと協力できないなら、この教室で一緒に勉強できません。」と話すと、A児は席を立ち、教室を出て行きました。
(トイレにでも行ったのだろう)と思っていましたが、待てども待てども、

帰ってきません。給食の時間にも戻ってこず、他の学年の子の「A児は
校門を出ていったよ」と言う話もあり、学区を巡回しました15時頃、
近くのお堂で雨宿りしているA児を見付けました。A児もパニックにな
り、勢いで学校出たものの、どうしていいか分からずいたようです。
もし、交通事故に遭っていたらと、ぞっとしました。私の責任です
 「すぐに教室に戻ってくるだろう」「まさか、校外に飛び出すなんて
ないだろう」と軽く考えていた自分を反省すると供に、最悪を想定し、
指導していくことを肝に銘じました。


「し」 慎重に確認しなかったばかりに

「よし、こういうことだろう」


 生徒指導主任時代、5人による集団万引きがあり、事情を聞きました。時間がなかったので何人かずつ話を聞いていると、事実がばらばらでまとまらす、あげくに、5人の親たちも「自分の子は係わっていない。濡れ衣だ」とお怒りになり、収まらない状態となる。事実関係が把握できないのでは、指導もできない、、、。最終的には、幸いにも店の録画映像を見せてもらい、事実関係が把握できましたが、「子どもたちから話を聞く際は、個別が当たり前。口裏を合わせられたり、力の強い子が周りをおさえたりする」と先輩教師からきつく叱られました。時間を理由に、慎重に事情聴取しなかった私の責任です。

「す」速やかにせず、やり過ごしたばかりに

「あとでいいさ」


 学級担任時代は毎朝、教室で子どもたちを迎え、一人一人の宿題や連絡帳を確認していました。保護者からの連絡や、お金、お手紙などを確認すると供に健康観察もかねて、登校した子から順に、話をしていました。そうすると、授業中、発表しない子どもとも話ができました。1対1だと口も滑らかになる子が多かったです。

 でも、以前は、そうではありませんでした。連絡帳の確認は、中休みだったり、給食時間だったり、宿題のプリントもまとめてみたりしていました。すると、
「夕べ熱が出て、今朝も少し体調が良くないです。何かあったら電話して下さい」
「昨日、宿題ドリルを持って帰るのを忘れました。登校をぐずったのでお願いします」
「耳鼻科に行くので、10時に迎えに行き、12時に学校に送ります」
「先週からDさんに意地悪されています。事情を本人から聞いてもらえないでしょうか」
など、気付かず、やり過ごしているうちに、対応が後手後手に回り、問題が大きくなるわ、保護者の信頼を失うわ、いいことなしでした。連絡帳にさっと目を通すくらい、すぐなのに。学年主任から「連絡帳の朝一確認は、鉄則」と叱られたのは言うまでもありません。

「せ」誠実さが足りなかったために

「子どもたちを見ていなかった」


 新米教師時代、毎日起こる様々な事件対応に追われていたある日、保護者からの電話。

「うちの子、顔にあざを作って帰宅しましたが、何があったんですか」
これに対して、私は
「休憩時間にぶつかったのかも知れません。本人か
らの申し出がなく分かりませんでした」と返答しました。
 でも、
「気付かず申し訳ありませんでした。今の具合はいかがですか」
「どのくらいのあざですか。痛みはひどくありませんか」
「他にけがはありませんか」
「お母さんも驚かれたでしょう」
など、子どもや保護者を気遣う言葉は浮かびませんでした。保護者の立場から、誠実に対応することができておらず、保護者からの信頼など得られませんでした。何件か失敗をしてから、やっと、学びました。
 ①絆創膏を貼っていたり、足を引きずっていたり、変化に気付いたら声をかける。
 ②気になることは、連絡帳に書いておいて、児童の帰宅前に保護者に電話を入れる。
 ③保健室に来室の記録がないか、昼休み終わりに確認に行く。
そして、これらが習慣になりました。新米の頃の自分の対応は、ダメダメでした。

「そ」 学校は組織体である

「頑張っていたのに炎上」

 ある日、学級でいじめがあって、子どもたちから事情を聞き、互いに謝り、夕方から保護者にも電話を入れましたが、繋がらず、20時過ぎまでかけましたが伝えられませんでした。翌朝、保護者からお怒りの電話。その時は、電話に出た教頭先生の対応で、一件落着。なぜなら、教頭先生に「報告」していたからです。
「お父さん、大変ご心配だったと思います。昨日の一件、担任から全て報告を受けております。」から始まり、教頭先生がお父さんの怒りが収まるまで電話対応してくれたのです。

 でも、その反対の時には、『炎上』です。
「学級で起こったことを学校で情報共有していないのか」
「担任が悪い、すぐに変えて欲しい」
「きちんと指導できないなら転校するしかない」等々、散々でした。
 ①何かあったら、学年主任、教務、教頭に報告し、相談をする。
 ②組織的な対応を行い、独りよがりな対応をとらない。                              

 書きながら、一人一人のこの顔が思い出されました。改めて子どもたちには謝りたい気持ちでいっぱいです。「ごめんなさい」
 学校からの電話は、児童本人が保護者と出会う前には、必ずするようにもなりました。そして、連絡帳へのへの一言も大切です。

 こうやって経験しながら、一つ一つ教師の階段を上っていくのですが、保護者にしてみれば、当時の私は、「外れ」の先生でした。今から教師生活で挽回します。
                              大賀重樹

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