祖母の姉の字がきれいだったから、今の私がいる
朝の連ドラ、ちむどんどんを見ている
何気ないやりとりでも、家族愛を感じて泣けてくるドラマ
その中で、川口春奈演じる比嘉良子
貧乏を恥じた自分が恥ずかしい、と言って泣いていたシーンが大好きだった
その良子がひそかに恋心を寄せる山田裕貴演じる博夫さん
二人は文通をしている
手紙を読むシーンがあるのだが、博夫さんの字が教科書体のような美しさ
その字からは、博夫さんの誠実な人間性が伝わってくる
まさに、良子が恋するにふさわしい人であることを示すのが字の美しさ
字は人なり、という
美輪明宏さんも、悩み相談で手紙を寄せた女性に対し、本の中でこう語っている
「私にあてた手紙の字は、非常にていねいに書かれている。この時点で、私に対する敬意を感じます」
そうなのだ
大切な相手、尊敬する相手には、ていねいな字を書いて自分の思いを届けたい
この時代、ていねいに字を書く指導は必要ないと思う人もいるかもしれない
しかし、直筆には力がある
先日、社会科の副読本の取材でお世話になった市役所の方に、一年越しにお礼を言いに行った
その時、こんなことを言われた
「その節は、素敵なお手紙、ありがとうございました」
取材を終えて原稿ができたとき、直筆で手紙を書いたのだ
一年以上たった今でも、覚えていてくれたのだ
これも、心を込めて書いた直筆の力だと思っている
うちの祖母の話
祖父にあてたラブレターを、字が上手な姉に代筆してもらったらしい
もちろん、祖父には秘密
そのおかげか、二人は結婚
きれいな字がもつ意味を祖母が熟知していたからこそ、今の私がいる
三浦健太朗