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前職を生かした学級経営その3〜学校組織編
前回、前々回と“前職(保育士)を生かした学級経営”というタイトルで投稿した者です。一回目の保護者対応編、2回目の児童編に引き続き最終回は学校における組織編をお話したいと思います。
組織編といっても簡単に申しますと、学校全体と見たときに何か自分の経験が貢献できないか、考えました。やはり保育園と学校の実態を把握しているので、最近問題となっている「小1プロブレム」に関して取り組んでみようと思い、幼保小連携に関して微力ながら自分の経験を生かし、挑戦している最中です。ちょっと前に私の小学校に就学する保育園の保護者の方にアンケートを取り、入学に当たり不安なことはないか聞き、それらに文章で回答する取り組みを行いました。そこで今回はそのQ&Aの内容を投稿します。
Q1 うちの子は文字が書けないのですが、大丈夫でしょうか?
Aおおよその小学校は毎日一文字ずつゆっくりとひらがなについて学んでいきます。逆に早くから書けたり読めたりすると、「『あ』なんて知ってるから別にいいや」って思ってしまう場合もあり、書き順が適当になったり、丁寧さに欠けてしまう場合もあります。これではかえって学ぶ意欲を失ってしまいます。それよりも、遊びの中で文字に興味関心を育てることがいちばんいい教育だと思います。
しかし、ある程度は文字というものに興味関心を持った状態で入学させるほうが授業対しての意欲が違ってきます。そのために、文字を一個ずつ順番に書いて覚えるのではなく、「お手紙がきたよ」「お手紙、読んであげようか」「返事を書くのを手伝ってあげようか」など、本人が興味を持つような自然な流れで、文字を使うことはおもしろいんだという体験をさせるといいと思います。例えば、絵本を読むこともすごく大事です。10文字くらいまで一通り読めるようになると、あとは自分であっちこっちを見て勝手に覚え始めます。入学前にひらがなを読めるようになっていなくても大きな問題はありませんが、可能ならば自分の名前のひらがなを読めるようになっておけば、心配はありません。
Q2 学校の学習についていけるのか、またうちの子は落ち着きがなく45分座っていられるのか不安です。
A学校の授業は、ペアで学習したり、グループで活動したり、いろいろな形で授業しています。45分間じっと座り続けるだけではなく、児童の発達段階に合わせて進めています。特に6歳児では何か好きなものに集中できること、もの(ゲーム、スマホ以外)があるとその集中力が学習にも生かされます。遊びに没頭できる子は学習にも集中します。ですから、今は、好きなことに没頭させることと、具体的にやりとりをすることはおもしろいということを体験させていけば心配はありません。
Q3 消極的な子なのですが、友達作りが上手くいくか心配です。
A保育園の生活してきた子は概ね大丈夫です。特に〇〇保育園のような異年齢保育で様々な友達と交流きた子は学校へ来ても対応する力、コミュニケーション力がありますので、問題なく過ごせ友達と上手く関わっています。それでも心配はつきないと思います。活発な子だから友達がたくさんできるというわけではありません。消極的な子やあまりしゃべらない子の性格の子同士が友達になることもよくあります。まわりの子どもたちをよく見て、この子となら気が合いそうだという子を見つけていろいろと関わります。いちばん大事なことは、親が心配し過ぎないということです。親の緊張は子どもに伝わるので、どっしり構えておくことが大事なことの一つです。
Q4 環境の変化に弱く、前向きに取り組んでいけるようにするにはどうしたらいいですか?
A入学して4,5月は、学校に慣れることが重要ですので、この期間は授業も保育園のような遊びを中心にした授業を組み込んだり、友達同士関係の広げるための活動を行ったり、少しずつ学校の学習環境に慣れていけるようにしています。ご家庭で大切なことは「子どもがたくさん自信をつけていくこと」です。「あれ頑張ってたよね」「ママ見てたよ」など、そういう声かけによって自信がついていくことで前向きに何にでも取り組もうとする力が養われます。
最後に
保育士、教師、父親の立場を経験し、“子育て”について感じていることをお話させてもらうと「信頼(愛着)」の2文字に尽きると思っています。子育てから学校への適応、はたまた社会に出た時の自己実現につながります。特に、 乳幼児期は人間の基礎を育てる大切な時期で子どものありのままを受け止めることが大切です。十分な受容や承認を受けた子どもは、安心して社会に出ることができます。反対に愛情をあまり注がれていない子は学校でトラブルが増えたり、友達関係も良好とはいえない子が実際にいます。日々忙しいとは思いますが、子育てできるのもあっという間です。大きく育ってからでは遅いのです。子どもにとって、最大のサポーターであり、理解者であるのが親で育児の喜びは、子どもに期待できる喜び、子どもを幸せにできる喜びがあります。そして、子どもの笑顔や喜ぶ姿に、自分自身が喜べる親でありたいと思います。自分が望んだとおりに子どもが育つ姿を見て、満足する。そういう「条件つきの愛」ではなく、無条件に子どもを愛することの大切さを実感しています。
来年4月から学校という節目を迎えて期待と不安が入り交じり、大変だと思います。そんなときにはぜひ学校へご連絡ください!遠慮しなくても大丈夫です。学校か家庭がどちらかが一方ではなく、ともにお子さんの成長を援助し、見守っていくことが子どもにとって最大の利益を生むと思います。
みなさんのお子さんが春に入学してくることを心から楽しみにしております!
以上が回答した内容です。子どもも保護者の方も初めてのことばかりで期待もありますが、不安の方が多いと思います。自分の回答が正解とは思いませんが、保育園と学校の両方を見てきてお伝えし、できるだけ不安を少なくして学校へ来てほしいなと考えています。今後も自分の経験を生かし、学校、保護者、子どもたちに還元できるように邁進していきたいと思っています。