【子どもの「やりたい」を引き出す行事指導】

忙しくても学校業務だけやっていればラクという発想にはならない自分が不思議です。
目の前の子どもたちに精一杯向き合えばいい。
勤務校のために尽力すればいい。
たしかにそうです。
もちろんそうしています。
皆さんの税金で食べさせて頂いている公務員ですから。


しかし、学校と家の往復だけでは身に付かなかったものがあります。
知らなかった世界がたくさんあります。
どれだけ仕事をしたか。
どれだけ考えたか。
どれだけ行動したか。
どれだけ勉強したか。
どれだけ人に会ったか。
その1つ1つが自分を作ります。


学校のことだけに専念していた頃も忙しかったですが、
今の忙しさのほうが楽しくワクワクします。


戦う職員室に所属させていただいているからこそ、自分の表現の仕方も分かりました。
だからこそ、生まれたであろう子どもの表現を今日は紹介します。


【子どもの「やりたい」を引き出す行事指導】


今月初旬、音楽祭(合唱祭)がありました。
昨年度は開催されませんでしたが、世の中の落ち着きとともに実施の運びとなりました。
現在中学2年生の担任を勤めていますが、今の中2の生徒たちにとっても中学校生活初めての音楽祭でした。


開催が決まりましたが、思う存分の練習はできません。
練習期間は10日(2週間)。
1週目は全体で歌うこともできませんでした。
実行委員やパートリーダーたちも、やる気になっていたのにエネルギーの矛先に迷っていました。


ただ、子どもたちはPBLなどを経て、自分たちを表現することに楽しさを覚えていました。
彼らに
「今だからこそできることを考えてみたら?音楽祭のために何がしたいの?」
これだけ問いました。
何も教えていませんし、特に期待もしていませんでした。


翌日、テニス部の男の子がクラスメイトに個人練習をしてほしいと“評価シート”を作ってきました。
楽譜を小節で区切り番号を振らせ、それぞれの自己評価を書かせていました。
評価もルーブリックで行うという工夫が見られました。


これに感化された剣道部男子。
課題曲、自由曲を何回歌ったかのチェックシートと、合唱についてまとめたプリントを用意しました。
翌日、吹奏楽部の実行委員が動きます。
練習計画を用意してきました。
さらに、音楽初心者ばかりの学級に対し、音楽祭で使う記号をまとめてきました。
この立て続けの熱量が、さらに加速していきます。


剣道部男子が、音楽祭通信の発行を始めました。
第1号はテノールパートについて。
並び方やポイント、注意点をまとめていました。


この手書きの両面通信は次々と発行されました。


他の生徒にも広がり、様々な提案がなされ、受け取ったプリントは15枚にも及びました。


手書きプリントチームが躍動する中、わがクラスのデジタル部門が動きました。
パソコン部です。
パソコン部の男子はスプレッドシートでコロナチェックシートを作り、classroomで共有を始めました。
パソコン部の女子は裏声の出し方をまとめ印刷してきました。
パソコン部の活躍は止まらず、全パート練習の録音・録画、翌週から解禁された全体練習の録音・録画も行いました。
毎朝、教室にはモニターが用意され、動画を用いた振り返りが行われていました。


そして最後には、練習風景の写真や動画をまとめて思い出としてクラスに共有してくれました。


それ以外にも、普段大人しかった子がパートリーダーに立候補したり、小学校の頃にいじめにあっていた子が指揮者に立候補し、指揮者賞をもらったりと様々な挑戦や表現が見られました。


音楽祭後、手書きの通信を発行した子に、なぜあんなにクラスのために通信を発行したのか聞くと
「わからないんですけど、体が勝手に。やりたくなりました。」
と言っていました。


自分たち1人1人の“したい”を引き出す。


戦う職員室で学んだことで備わった1つの手法でした。

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