趣味を生かした学級経営
つれづれなるままに、日ぐらし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
唐突にすみません。この文章、どこかで読んだことはありませんか・・・そう!冒頭の文章はあの有名な兼好法師による『徒然草』の一句です。この徒然草は今から700年前の鎌倉時代に書かれ、三大随筆の一つとしても有名です。随筆というと堅苦しいですが、簡単にいうとエッセイです。私は、この徒然草が大好きで、事あるごとに読み返したりしています。この作品には、今現在に生きる言葉が詰まっており、学級の子どもたちにもたまに話しています。243段からなるこの徒然草の中で私が一番薫陶を受けている段があります。それは、
心は必ずことに触れて来る
です!
これを簡単に昔版でいうと、筆を取ると、自然に何か書きたくなり、楽器を取れば音を立てたくなり、盃を取ると酒を飲みたくなり、サイコロを手にしていると博打をしたくなるといった具合です。現代版で例えるなら、スマホを触っていると離せなくなり、ポテチを食べるとやめられなくなり、YouTube見ていると次々に関連動画をみて止められなくなったりといった感じです。そんなふうに心というものは、何か物に触れて動き出すものだと。まさに至言!
学級の子どもたちにもこの言葉を知らせており、始業前の挨拶等で日直が言葉をかけても、定規を触ってみたり、消しゴムで遊んでいたりする場合が往々にしてありますよね。そんな時、この言葉を使って
「ことに触れてるよー気持ちが授業に向いてないよ!」と声をかけて自分たちで気づき、授業モードに切り替わるように促しています。
また、最近ある番組を鑑賞していたら、2チャンネルの創設者でもある西村博之氏が受験生にもかかわらず勉強が捗らないからどうしたらいいですか?という相談を番組内で受けていました。そこでの回答が、とりあえず、勉強しなくてもいいので、一分間だけ机に向かい、教科書や参考書を眺めてください!という返答でした。これを聞いていて、“心は必ずことに触れて来る”の言葉が頭に浮かびました。はじめはやる気がなくても、形から入り、鉛筆を握れば自ずと勉強に心がシフトしていくということだと私は解釈しました。違っていたら申し訳がありませんが・・・
このように、700年も前の人が言っていることに価値があり、テストや暗記のための徒然草でなく、生かすための徒然草にしたいなーと思ったりしています。
前置きが長くなりましたが、タイトル回収したいと思います。趣味を生かした学級経営なんて、公私混同し過ぎではないかと批判を覚悟の上でお伝えします。まず、一つ目の趣味が絵本の読み聞かせです。絵本が好きなので児童に読み聞かせをしようとしましたが、30人以上を集めて読むのは効率が悪い。ならば、素話(語り)に切り替えて、朝の会や隙間時間を使って昔話や怖い話などをしています。この効果として子どもたちは「先生の話=おもしろい」とインプットされ聞いてくれるようになりました。また、これが機縁となり、子どもたちから自分も話したいとなり、帰りの会などに「今日のすべらない話」「自分史上最恐の話」などなどをして語ったり、プレゼンしています。
二つ目の趣味が読書です。学級でビブリオバトルをしたり、“今週の名言”という形で今回のような著名人たちの名言、言葉を毎週取り上げて学級の子どもたちに紹介しています。孔子からイチロー、ガンジー、徳川家康、マザーテレサ、松下幸之助、マイケルジョーダン、手塚治、安西先生、煉獄さんなどなど多彩なジャンルの方々の名言を基に偉人の生き方、時代背景、人格なども子どもたちに伝えています。特にお気に入りの名文は伊坂幸太郎の「やさしさは想像力」(重力ピエロより)です。
この名言が子どもたちに浸透しているなーと思った場面がありました。今4年生を受け持っており、4年生は社会で47都道府県を学習しました。私のクラスでは、47都道府県をクラス全員が覚える(100点)、全国制覇・天下統一を目標に掲げました。クラスの中にはもちろん習熟度の差がありますので、楽しくクイズ形式で学習したり、都道府県の歌~ラップバージョンみたいなものをみんなで歌ったりして、工夫しましたが、やはり最後は地道に学習する形になってきて、習熟度の低い子が厳しくなりました。しかし、すでにクリアした子が、覚えていない子に「一緒に頑張ろう!名言にも忍耐は苦い、しかし、その実は甘いって、野口英世も言ってるよ!」と励ましていました。その甲斐があって、2か月かけて、全員47都道府県を覚えました。その甘い実として、全国制覇記念お楽しみ会を開催しました(^^)/こんな感じで、時々、児童の口から取り上げた名言が出てくるたびに、私は陰でほくそ笑んでいます。
これらのねらいは子どもたちのやる気、あきらめない気持ち、思いやる心などを育むことです。私が子どもたちに日々、がんばってやり抜こう!友だちの気持ちを考えなさいなど指導していくのも勿論重要ですが、年千年、何百年前の偉人が伝えた言葉から伝えることでより説得力が増すため取り組んでいます。下の写真は今までのものを名言集として、クラスに掲示してあるものです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。