【子ども】子どもがコロナ拡大に及ぼす影響は? 分かっていることは何?(Adios Corona翻訳)
他の作業の息抜きにやろうと思ったら、案外長かった今回のAdios Corona拙訳。「子どもがコロナ拡大に及ぼす影響」についての記事です。タイトル自体が意訳^^;
参照記事がいくつか出てきますが、未翻訳の記事もあるのでご了承ください。訳したら訳文のリンクを貼ります。
原文は最後に載せています。
↓ここから訳文
子どもがコロナ拡大に及ぼす影響は? 分かっていることは何?
子どもはコロナウィルスにかかり、他の子どもや大人に感染させる可能性があります。他の子どもにうつすことが多いようです。子どもは大人と同じくらい他人にうつしているという研究もあれば、うつす可能性は2~3分の1だという研究もあります。
子どもは一般的に、大人ほどコロナが重症化しませんが(コロナにかかった子どもの症状はどんなもの?の記事を参照)、子どもが人にうつさないということにはなりません。
今手に入るデータから、子どもがコロナ拡大に及ぼす影響を正しく評価するのは困難です。多くの研究は学校の休校中(外出制限期間、休暇中)に行われました。したがって、そういった研究には、ウィルスが普段の集団や、学校が開いている中で活発に広がっていく状況は現れていないのです。さらに、感染した子どもは多くの場合、ほとんど症状がないか、無症状です。そのため、感染した子どもの数は少なく見積もられています(検出されにくいですし、検査数も少ないからです)。どうして子どものコロナ感染に関するデータは解釈しにくいの?の記事もご覧ください。
分かっていること
・感染例についての調査からは、どの年齢の子どももコロナウィルスに感染し、あらゆる年齢の子どもや大人にうつす可能性があることが分かります。我が子はコロナをうつす可能性がある?の記事をご覧ください。
筆者注記: 「我が子はコロナをうつす可能性がある?」の記事は未翻訳ですので、原文のリンクを載せています。
・子どもは、症状の有無にかかわらず、大人と同じ量のウィルスを持っています。症状のある5歳未満の子どもに関しては、ウィルス量が大人の10~100倍も高い可能性があります。
・武漢以外の各国の地域では、最初に入ってきたコロナウィルスの影響を受けたのは主に大人でした。出張や旅行に行った人や、空港付近の労働者、旅行者とかかわった人(タクシードライバー)が挙げられます。2020年3~4月の外出制限期間は、大人だけが旅行することを許されており、子どもは大人ほど感染率が高くないとされていました。同じ頃、スウェーデンではほとんどの学校が開いたままでしたが、まずは成人間で陽性の割合が増え、次に子どもへと広がっていきました。子どもはあまり症状がなかったので、初期の子どもの感染は検出されなかった可能性もあります。
まだはっきりとは分かっていないこと
・子どもは同じ年齢の子どもにうつす可能性が高いようです。中国の深センと上海で行われた社会的交流についての調査では、予想通りかもしれませんが、自分と同年齢のグループとの接触が、他のグループとの接触よりも多かったことが分かっています。外出制限中は、このパターンが変化します。社会的交流が極端に減らされ、同年齢でのグループでの接触がなくなるのです(子どもは学校に行かず、親は在宅勤務が増えます)。これまでで最大の疫学の「追跡」研究は、インドで50万人以上が対象となったもので、学校の休校から再開までの間、子どもは主に同じ年齢の子どもに感染させていることが分かりました。0~4歳は、主に0~4歳にうつし、5~17歳は5~17歳にうつすのです。さらに、同じ年齢の子どもへ感染させる率は、若い層で特に高くなっています。0~4歳は、接触した0~4歳の平均26%にうつしていますし、5~17歳は、5~17歳の11%にうつしています。18歳か29歳は、18~29歳の7%にうつしています。この結果は論理的でしょう。小さい子どもは泣いたり、鼻をかんだりして、衛生状態が良くありません。年を取るほど、話すときに距離を取りますし、お互いに手を触れることも少なくなり、衛生状態が良くなっているのです。
・同じような生活環境にいる場合、子どもも大人もコロナウィルスに感染するリスクは同等だと考えられます。スウェーデンでは、広い地域で学校が開いたままでしたが、6月半ば、0~19歳の若い世代と20~64歳の大人の間で、陽性率に目立った差はありませんでした(6.8%に対し、6.4%)。イスラエルでは、2020年の1月から9月の間、子どもの陽性率は大人よりもわずかに高いだけでした。子どもは時折、「スーパースプレッダー」であるかのように振舞うことがあります。イスラエルの保健省が監視していた17人の子どもは、それぞれが10人以上に感染させていました。これらの観察結果は、中国、スペイン、フランスで行われた、子どもが大人に比べて2~3分の1しか感染させないという研究と矛盾します。しかし、後者は子どもの感染率が少なく見積もられるというバイアスがかかっている可能性があります。どうして子どものコロナ感染に関するデータは解釈しにくいの?の記事もご覧ください。
・子どもは大人と同じくらい感染しているようです。先に述べたインドの50万人を対象にした疫学研究では、子どもが大人と同じくらい感染しているとされています。韓国の別の研究では、家庭において、10~19歳の若者は大人と同じくらい他人にうつす可能性があるとしています。韓国のこの研究では、0~9歳の子どものデータが十分ではありません。この結果は、わずかな症例だけを分析した、子どもは2~3分の1しか感染させないという研究と矛盾します。しかし、後者には子どもの感染率が少なく見積もられるというバイアスがかかっている可能性があります。どうして子どものコロナ感染に関するデータは解釈しにくいの?の記事もご覧ください。
他の集団と同じように、多くの要因が、子どもがパンデミックに及ぼす影響にかかわっていると思われます。例えば、同世代間・世代間の社会的なかかわり、就学率、クラスの密度、マスクの着用率、マスクなしで行われる学校での活動、一世帯当たりの子どもの数です。これはつまり、それぞれの国で、現地の実態を考慮に入れ、正確に分析することが重要だということを示しています。さらに、0~2歳、3~6歳、さらにそれ以上の子どもの間での伝染力と感染について、考えられる違いを特定するにはまだデータが不足しています。この問題についての研究によって、小さな子どもや側にいる人(家族、託児所、保育園)についての健康対策は、もっと具体的なものになっていくでしょう。
結論として、最新のデータからは、ウィルスが蔓延した状態で学校が開いていれば、子どもは大人と同じように周囲の人、特に同年齢のグループに感染させることが多いことが分かります。もし、子どものウィルス拡大への影響が大人よりも弱かったとしても、子どもによる感染は存在しますし、流行の拡大を減らすために、感染対策を講じてできるだけ感染を制限する必要があるのです。
↓原文はこちら。
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