賭けになるアイデアで勝負しよう
作家志望者さんでも、新人作家さんでも、アイデアや企画を考えるときは、「これは賭けになっているだろうか?」と自問してみるといいです。
今回は「賭けになるアイデアで勝負しよう」という話です。
賭けとは
ここで言っている「賭け」とは、簡単に言うと、
リスクを取っているか
ということです。
書き慣れてきたり、プロになっても売れない時期が続くと、とかく「安定側」のアイデアを出すようになるものです。
大失敗しない、大爆死しない程度の中途半端なアイデアを出すようになるのですね。
そのアイデアでも、そこそこは上手くいくかもしれません。
ですが、大勝することはできないでしょう。
ごく単純に言って、リスクを取らない限り、リターンは得られません。
勝利するには、それ相応のリスクを取る覚悟がいるのです。
賭けになるアイデア
賭けになるアイデアとは、具体的に言うと、下図の「危険領域」にあるアイデアのことです。
グラフの上下の軸は「上手くいく確率」。
(この場合の「上手くいく」とは、「売れる」「受賞する」「書籍化する」などのことです)
左右の軸は「危険度」です。
左は安定領域、右は危険領域になります。
単純に言って、安定と危険の境界にある作品がもっとも上手くいきます。
最初に出るアイデアというのは、だいたいにおいて「安定領域」のアイデアです。
誰もがすぐに思いつくような、ありふれたアイデアですね。
そういったアイデアは、例えれば「銀行預金」みたいなものでしょう。
安心感はありますが、利息はほぼつきません。
一方、まったく無知な人は、危険領域を通り越した大暴投のアイデアを出すことがあります。
ジャンルを無視していたり、無意味にエログロだったりと、誰も望まない独りよがりのアイデアです。
こちらは「投機」のようなものですね。
勝ち目がまったくなく、お金を無駄に使うだけです。
いずれの場合も賭けにはなりません。
そのアイデアでは勝負できないのです。
出したアイデアが、完全に安定領域にあるなら注意が必要です。
特に新人賞などを目指す場合、安定領域のアイデアではおそらく受賞できません。
プロなら半歩、作家志望者なら一、二歩危険な方向へ
プロでも、作家志望者でも、危険側に踏み込まなければ賭けにはなりません。
イメージで言うと、せめてこのくらいは危険側に踏み込むといいです。
プロ作家なら :半歩
作家志望者なら:一歩〜二歩
プロ作家は売れなければならない(と私は考えています)ので、安定と危険の境界を狙う必要があります。
プロはよく勉強していますから、安定側でもそこそこ売れる企画を出せるものです。
ですが、それでは賭けになりません。
微妙に、半歩だけ、危険側に踏み込みましょう。
ほんの少しだけ、予想できない領域に踏み込むのです。
「だいたい売上が予想できる企画」と「まったく予想できない企画」の中間にあるのが賭けになる良い企画です。
「いけるかどうかわからないけど、良い勝負ができそう!」
こんな風に思える企画が理想ですね。
一方、作家志望者は、もっと危険な領域に踏み込むべきだと考えています。
「ちょっと無理かな?」と思うくらいのアイデアで勝負すべきです。
だいたいにおいて、受賞作は売れません。
もっと言えば、受賞作は売れなくて構いません。
受賞することが目的なので、市場のことは考えなくていいのです。
ですから、作家志望者が、新人賞という戦場に臨む姿勢はこうです。
「たぶん死ぬけど、記憶に残る戦いをしてみせる!」
下読みさんや編集者の記憶に残るアイデアで勝負しましょう。
派手な戦いを見せて、度肝を抜けばいいです。
これは私が辿った道です。
私のデビュー作は大爆死しましたが、受賞してしまえばしめたものなのです。
さて、あなたのアイデアは賭けになっていますか?
適切なリスクを取っているでしょうか?
リスクを取らずにリターンだけ得ようというのは、ちょっと虫が良すぎるとわかっておきましょう。
今回のまとめ
「賭けになるアイデアで勝負しよう」でした。
賭けとはリスクのある勝負
経験を積むほど、安定側のアイデアを出しがち
危険側に踏み込まないと賭けにはならない
プロなら半歩、作家志望者なら一、二歩危険な方向へ
リスクを取らなければリターンは得られない
おそらく、企画会議で全員が「いいんじゃない」というアイデアは賭けになっていません。
賛否両論が出るのが良いアイデアだと思いますね。
それではまたくまー。
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