小説が上手くなるとはどういうことか
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説に限らずですが、練習したり、経験を積むと、どんどん上手くなっていきますよね。
このとき、「上手くなる」というのがどういう現象なのか理解しておくと、より上達が早まると考えています。
そういうわけで今回は「上手くなるとはどういうことか」という話です。
「上手くなる」とは
結論から言うと、「上手くなる」とは
対象を自由に操作できるようになること
です。
「対象」というのは小説の場合なら「小説」ですし、スポーツの場合なら「種目」や「体」などになります。
「操作する」というのは、具体的にはどういうことかというと、
拡大、縮小する
回転する
反転する
などのことです。
ですから、小説が上手くなるというのは、
小説を近づけたり、離したり、回転したりできること
だと言えるでしょう。
ちょっとピンと来ないかもしれませんが、ひとまずそういうイメージで捉えておいてください。
操作するには距離が必要
さて、上手くなる=対象を自由に操作できること、でしたが、操作するには距離が必要です。
これは車の運転を思い出せば、すぐにわかるでしょう。
もしハンドルが胸元まで伸びていたら、運転できません。
体からハンドルが離れていなければ操作できないのです。
図にするとよくわかると思います。↓
このように、対象を操作するには適切な距離を取る必要があります。
これはどんなことにも言えることです。
操作しなければ本当の形すらわからない
対象を操作するには距離を取る必要がある、とわかったと思います。
距離を取ることで、初めて、近づけたり遠ざけたり、裏返したり、回転させたりすることができるようになるのですね。
そして、操作できるようになると、ようやく対象の本当の姿がわかってきます。
実は、それまでは、対象がどんな形をしているのかすら、理解していないのです。
どういうことか、図で説明しましょう。↓
1.目の前が真っ黒だったとします。
ただ真っ黒で何も見えません。
「真っ黒だな」と思うだけです。
2.少し離してみると、真っ暗なのではなく、目の前に長方形があったことがわかりました。
あまりにも近かったので、目の前が覆われていたのですね。
「そうか、長方形が目の前にあったのか」と思います。
3.ですが、さらに離して回転させると、それが長方形ではなく円柱だとわかりました。
実は目の前にあったのは円柱だったのです。
「え! 本当は円柱だったのか!」と驚きます。
さて、目の前にあったときも、少し離したときも、本当の形には気づきませんでした。
対象(円柱)を離し、操作(回転)して初めて、「あ、本当は円柱があったんだ!」とわかったわけです。
1や2の段階では、操作しているものの本当の姿すらわかっていないのですね。
ところで、「上手くなる」とは、「対象を自分から離して自由に操作できるようになること」でした。
つまり、この1→2→3の流れが「上手くなるプロセス」だということです。
小説で言うと
小説で言うと、こういうことです。↓
1.初心者
最初は「小説」が近すぎるので、「文字」とか「単語」くらいしか見えません。
ですから、文字の入れ替えや、単語の入れ替えしかできないのですね。
この状態で良い小説が書けるわけがありません。
要するに「下手」ということです。
2.中級者
少し経験を積むと、「小説」から距離を取れるようになり、やがて「文章」や「段落」が見えてきます。
すると、それらを操作できるようになります。
この段階までくると、中級者と言っていいでしょう。
3.上級者
さらに経験を重ねると、「小説」を大きく動かせる位置まで離せるようになります。
すると、「節」や「章」、ついには「全体」が見えてきます。
ここまできてようやく、「小説」を自由に操作できるようになるわけです。
「上手い」というのは、この状態のことを言うのですね。
「上手くなる」ことがわかれば、より早く上手くなれる
ここまでで「上手くなる」とはどういうことか、だいたいわかったと思います。
上で書いてきたように、「上手くなる」とは「対象から距離を取り、自由に操作できるようになること」です。
そのことをはっきりとわかっておきましょう。
はっきり認識すればするほど、早く上達します。
自分がどう変化していくかがわかるからです。
さて、みなさんは小説のどこまでが見えていますか?
文章でしょうか、それとも段落でしょうか。
すでに章まで見えている人もいるかもしれませんね。
おわかりのとおり、見えていない限り、操作することはできません。
私はと言えば、ある程度全体が見えている感じかなと思います。
先輩作家さんなどは、一冊分を越え、何巻分かが見えているようです。
すると、「3巻で打ち切りのときはこのエンディング、5巻のときはこのエンディング」と、物語のたたみ方さえ操作できるそうです。
そういう話を聞くと、自分はまだまだだなあと思いますね。
今回のまとめ
「上手くなるとはどういうことか」という話でした。
上手くなる=対象を自由に操作できるようになること
操作するには、対象との適切な距離が必要
操作できなければ、対象の本当の形すらわからない
上手くなると、見える範囲が広くなり、操作の自由度が上がる
「上手くなる」とはどういうことか、はっきり認識しておく
説明した「上達のプロセス」は小説だけでなく、何にでも言えることだと思います。
それではまたくまー。