創作Q&A 「キャラ、ネタ、展開がかぶってしまうんですが…」
フォロワーさんのお悩みやご質問に答えるシリーズ。
今回はキャラ、ネタ、展開などのかぶりに関するご質問にお答えします。
今回のご質問
今回のご質問は、すでにデビューされている新人作家Mさんからいただきました。
Mさん、ありがとうございます!
ご質問は以下の2つでした。
ネタかぶりをどう回避していますか?
複数作書いていると、キャラ、ネタ、展開がかぶってしまいますどのような生存戦略を立てていますか?
作家としてどう生き残るか悩んでいます
すでにデビューされた作家さんらしい質問です。
今回は1のネタかぶりについて、私なりの回答をご紹介します。
Q.ネタかぶりをどう回避していますか?
さて、ネタかぶりとは、主人公や主要キャラが似たようなタイプになってしまったり、展開も同じようになってしまうといった問題です。
言い換えると、物語のバリエーションを作れないという問題ですね。
対処法としては、まずは以下くらいが簡単かなと思います。
真似する作品を変える
変数を意識する
入力を増やす
以下からそれぞれ説明していきましょう。
A1.真似する作品を変える
回答1つ目は、真似する作品を変えることです。
新しい作品を考えるときは、多かれ少なかれ、既存の作品を参考にすると思います。
作品が似たより寄ったりになる原因の1つは、同じような作品を参考にしているからかもしれません。
まずは参照する作品を変えてみるのが簡単でしょう。
たとえば女性向けの作品ばかりを参考にしているなら、男性向けの作品を選んでみる、あるいは、女性向けでも男性主人公の作品もあるので、そういった作品を参照してみるのもいいと思います。
また、真似するときのコツを知っておくのもいいですね。
考え方を図にするとこんな感じです。
縦軸は抽象度、横軸はずらし具合です。
左下に参照作品があります。
手順はこうです。
参照する作品を選ぶ
あらすじを抽出
あらすじを抽象化
もう一段階抽象化すると読者が好きなパターンが出てくる
ジャンルや属性などをずらす
具体化していく
参照した作品とはまったく違う新作になる
既存作を上へ上へと抽象化し、読者が好きなパターンが出てきたら、舞台を変えたり、ジャンルを変えるなどして横にずらし、下へ下へと具体化していきます。
本質は「読者が好きな定番パターン」を具体化することです。
逆に言えば、「読者が好きなパターン」を実現できれば、あとは何でもいいということですね。
こう考えると、バリエーション作りはかなり楽になると思います。
A2.変数を意識する
回答2つ目は、変えられる要素を意識することです。
上で「ずらし」と書きましたが、ずらせる要素がここで言う「変数」です。
ある作品における変数(変えられる要素、ずらせる要素)は無数にあります。
代表的な変数には以下のようなものがあるでしょう。
Who:主人公、キャラ。性別、性格、容姿、目的、境遇など
Where:物語の舞台。世界、場所、国、組織など
When:物語の時代。現在、過去、未来、時代を行き来できるなど
What:何をするか、何が起こるか。事件、出来事など
Why:なぜするか。理由、原因、動機など
How:どうやってするか。方法、やり方、手段など
ジャンル:大ジャンル、サブジャンルなど
これらを意識して変えることで、物語に無数のバリエーションを生み出すことができます。
ただ、変えられる部分があるということは、変えられない部分もあるのだと分かっておきましょう。
変えられない部分がどこかというと、
読者が好きな定番パターン
ですね。
ここは変えてはいけません。
ここを変えるつもりなら、自分で読者が好きな新しいパターンを作り出す覚悟がいります。
まずは定番パターンを守るのが無難でしょう。
定番さえ守っておけば、あとはどう変えても問題ありません。
言ってみれば定番パターンは公式のようなものですね。
その公式にさまざまな値を入れることで、新しい作品が出力されるイメージで考えると分かりやすいと思います。
A3.入力を増やす
回答3つ目は、入力を増やすことです。
「定番パターンも分かった。ずらせる要素も意識した。でもバリエーションが作れない……」
そういう場合は、ずらし方の知識や情報が足りていないことが多いと思います。
ごく単純に言えば、読書量が足りないということです。
売れた作品を見ていれば、「こういうのが読者が好きなパターンなんだな」ということはすぐに分かります。
共通した要素を抽出するのは、それほど難しくないからです。
(まとめるのは難しくありません)
難しいのはどうずらすかです。
「ずらす」というのは、さまざまな具体的な可能性を探っていくことです。
ですから、具体例をたくさん知っておかないと、そもそもずらすことができないのです。
(知識がないと広げていくのは難しいです)
具体例の蓄積が足りていないようなら、読書量を増やしましょう。
おすすめはオリコンランキングに載った作品を片っ端から読むことですが、これはけっこう難しいので(私もできていません……)、ランキング上位の作品だけでも読んでみるといいですね。
自分の好みではなく、ランキングなどで機械的に選ぶのがコツです。
好みで選ぶといつも同じような作品を読みがちだからです。
好きではない作品を読むのは正直苦痛なのですが笑、これは仕方がありません。
割り切って読んでいきましょう。
私も読書量を増やす必要性をひしひしと感じています。
今回のまとめ
創作Q&A「キャラ、ネタ、展開がかぶってしまうんですが……」でした。
ネタかぶりの回避方法
真似する作品を変える
変数を意識する
入力を増やす
真似する作品を変える
参照作品を変えるのがもっとも簡単
真似するコツは、既存作→抽象化→パターン抽出→具体化
変数を意識する
作品におけるずらせる要素が変数
代表的な変数:5W1H、ジャンル ・サブジャンル
変数とともに変えられない公式(定番パターン)も意識する
入力を増やす
ずらし方が思い浮かばないなら具体例の蓄積が足りていない
好みではなくランキング上位の作品を読む
これで回答になったでしょうか。
2つ目のご質問にもなるべく早くお答えしますね。
ところで、(ちょっと拍子抜けすることを言いますが)実際のところ、読者は作者に興味がないので、ネタがかぶっていても気づかないものです笑
ですから、あまり気にせず、自分の作風を貫く手もあるでしょう。
同じような作品が読みたい読者も多いので、そこまで問題にならないとも思います。
……というわけで、改めまして、Mさん、ご質問ありがとうございました!
引き続き、創作や出版に関するお悩みやご質問を受け付けています。
お気軽にコメント欄やメールでどうぞ。
それではまたくまー。