書き終えた長編がぜんぜん面白くなかったときの魔改造のやり方
「読み返してみたらぜんぜん面白くない……!」
書いている最中は面白いと思ったのに、冷静になって読み返すとまったく面白くなくて愕然とすることがあります。
今回はそんなときに使える魔改造のやり方をご紹介します。
魔改造のやり方3つ
長編執筆には時間がかかるので、できれば1から書き直すのは避けたいですよね。
そんなときに使える方法を簡単な順に3つほどご紹介します。
クライマックスを二重にする
サブプロットを加える
中間で終わらせる
それぞれ説明していきましょう。
1.クライマックスを二重にする
1つ目はクライマックスを二重にする方法です。
やり方は簡単で、終わったと思ったところでもう一度問題を起こせばいいだけです。
たとえばこんな感じですね。
敵を倒したと思ったら、本当の黒幕が出てきた
ボスを倒したら、施設の自爆装置が作動してしまった
これをすると、クライマックスが二重のヤマになるので必ず盛り上がります。
人は最後をよく覚えているものなので、途中が少しくらいつまらなくても、クライマックスさえ盛り上がっていれば面白かったと感じるものです。
ひとまず現状のクライマックスの後に、もう1つ危機や障害、問題を付け加えてしまいましょう。
その上で全体的な整合性を取るため、序盤に多少の伏線を入れるといいです。
伏線は1行でも機能するので、実はそれほど手間もかかりません。
この方法は比較的簡単なので、まずは検討してみるといいでしょう。
2.サブプロットを加える
2つ目はサブプロットを加える方法です。
サブプロットとは物語のメインプロットとは別のストーリーラインのことです。
大体の方は自然にサブプロットも入れているものですが、サブプロットがないなら付け加えてみると、物語が重層的になり、より深みが増します。
典型的なサブプロットには以下のようなものがあるでしょう。
主人公の成長や変化
主人公と誰かの恋愛関係や信頼関係、友情関係の進展
敵対者やライバルとの関係性の変化
サブキャラの活躍
主人公が変化しない物語もありますが、変化させてもいいなら、最初と最後で主人公を大きく変えてみるのが簡単です。
それだけで物語が生き生きとしてきます。
たとえば、最初は未熟な主人公が物語の最後には立派な人物になる、偏見を持っていた主人公の内面が変わる、などが考えられるでしょう。
主人公だけでなく、サブキャラにも同じ手が使えます。
卑怯者だったキャラが最後は身を挺して仲間をかばう、といった展開は胸アツですよね。
こういったサブプロットを適宜入れることで、手軽に面白さを加えることができます。
3.中間で終わらせる
3つ目は中間で終わらせる方法です。
中間で終わらせるというのは、現状のクライマックスを物語の中間地点に持ってくることです。
図で見るとわかりやすいかもしれません。
図は4章構成の長編における盛り上がりの曲線です。
最後のヤマをクライマックスと呼びますが、クライマックスに起こることを中間地点(ミッドポイント)に繰り上げて起こしてしまう、というのがこの手法の主旨です。
するとどうなるかというと、中間地点でいったん物語が終わるのですね。
これをすると前半(1章、2章)が確実に面白くなります。
なぜなら現状の話を2倍に濃縮することになるからです。
後半(3章、4章)はどうするのかというと、もちろん新たに考える必要があります。
後半は目的を前半と少し変えたり、舞台を変えるなどして工夫するといいですね。
ちょっとわかりにくいかもしれないので、例を見て理解を深めておきましょう。
たとえば現状の物語が、
犯罪組織に誘拐された女性を救い出す
だとします。
この手法を適用すると、中間地点で女性を救い出すことになりますね。
その場合、後半をどうするかというと、たとえば
犯罪組織の全貌をつかみ、壊滅させるために動き始める
といった風に新しい展開にすればいいのです。
別の例も見ておきましょう。
凶悪犯人を捕まえる
という物語だとしたら、中間地点で犯人を捕まえてしまいます。
そして後半はたとえば、
実は犯人を操っていた黒幕がいたことがわかり、その黒幕を追い詰めていく
といった別の展開にしていけばいいわけです。
とにかく、どうせいまのままだと面白くないのですから(笑)、半分に凝縮してしまって、後半はまた新しい展開を考えてみましょう。
かなり大がかりな改造になりますが、実行すれば確実に面白くなるのでオススメです。
今回のまとめ
「書き終えた長編が面白くなかったときに使える方法」でした。
面白くならなかったら魔改造する
魔改造のやり方
クライマックスを二重にする
サブプロットを加える
中間で終わらせる
クライマックスを二重にする
現状のクライマックスの後にもう1つ別の危機、障害、問題を起こす
最後さえ盛り上がれば高評価につながる
サブプロットを加える
メインプロットは別のサブストーリーを加える
簡単なのは主人公の成長、変化
物語に奥行きが生まれる
中間で終わらせる
現状のクライマックスを中間地点に持ってくる
後半は別の展開を考える
2倍に濃縮すれば確実に面白くなる
どうせ面白くないなら、うんうん唸っていないで、次の作品を書くか、思いきって改造しましょう。
改造することでむちゃくちゃになることもありますが、それも良い経験になりますよ。
それではまたくまー。
(2023.11.20追記)
おー!