売れた作品を調べる方法〜受賞する小説のつくり方(2)
崖っぷち作家のニジマルカです。
「受賞する小説のつくり方」2回目です。
1回目はこちら。↓
前回のおさらい
前回は、受賞するには越えるべき2つのハードルがあるという話をしました。
そのハードルとは
1.受け入れられる
2.かつ、今までなかった
でしたね。
ごく簡単に言うと、出版社が欲しい作品を出せば受賞できます。
出版社が欲しいのは「これから売れそうな作品」です。
「これから売れそうな作品」を分解すると、
・今までの作品のように売れ
・かつ、これから売れる新しい作品
となります。
「売れる」とは「受け入れられる」ことですから、分解した2つが上で書いたハードルに対応していることがわかると思います。
まずは1つ目のハードル「受け入れられる」ことに注力するのが簡単です。
過去の作品を調べれば、ある程度わかるからです。
そういうわけで、今回は「売れた(受け入れられた)作品を調べる方法」です。
調べる目的
売れた作品を調べる目的は2つあります。
1.あなたの作品と売れた作品の差を知る
2.売れた作品の定番構造を知る
1は、自分の作品が、どれほど「普通の作品」からズレているかを実感することです。
売れた作品のあらすじを調べたり、何冊か読んでみれば、その差がわかるでしょう。
前回の図を見るとわかりやすいと思います。↓
小説への愛やこだわりが強ければ強いほど、普通の作品からはズレていきます。
あなたはこの差を埋めなければなりません。
2は、売れた作品群から定番の構造を抽出することです。
あなたの作品と普通の作品の差を埋めるには、売れた作品の構造を踏まえ、模倣しなければならないからです。
さて、それでは売れた作品の調べ方を見ていきましょう。
2つの方法があります。
1.オリコンランキングを見る
2.その他の方法
それぞれ説明していきます。
1.オリコンランキングを見る
これが鉄板の方法でしょう。
オリコンのサイトでは、無料で
・BOOK (30位まで)
・文庫 (30位まで)
・ライトノベル(10位まで)
・文芸書 (10位まで)
の週間売上部数を見ることができます。
BOOKは書籍総合、文芸書は小説やエッセイなどです。
ラノベ以外の方は、文庫か文芸書カテゴリを見ればいいと思います。
月額1000円ほど出すと、30位のものは50位まで、10位のものは20位まで見ることができます。
累計部数や年間集計結果などもわかるのでオススメです。↓
ランキング結果が出たら、ひとまず全部コピペして保存しておくのがいいでしょう。
週ごとのデータを保存していくと、そのうち立派なデータに育ちます。
その際、シリーズものの既刊は省いて構いません。
新シリーズ(つまり1巻)だけ見ればいいです。
新しい作品がどれくらい売れたかを知りたいからです。
できれば表計算アプリなどを使って、データを整理していくといいですね。
たとえば、
レーベル、出版日、タイトル、1週目部数、2週目部数、3週目部数……、累計部数、あらすじ
くらいに整理できると完璧です。
最初ランキングに入り、その後圏外になった作品は、売上部数がわからなくなるのですが、ランキングに入った時点までの累計部数で構いません。
(ランキングに入った時点で売れているのはわかっているので、累計部数は目安くらいに考えればいいです)
私はこんな感じに記録しています。↓
簡単にやるなら、ランキングを見て、自分が目指すジャンルの作品だけ抽出して、あらすじを調べるだけでも構いません。
とにかく、「売れている」というのを印象や評判で判断するのではなく、数字で見ることが重要です。
よく目にする作品は売れているように思いがちですが、売れていないから広告を打っている場合もあります。
すると、「売れた」という印象と「実際に売れたかどうか」がズレてしまうのです。
まずはランキングを見て、保存することを習慣にするといいでしょう。
そして、自分が目指すジャンルの作品に注目します。
そのデータを保存していけば、最近売れている作品のリストができます。
それらが、あなたが参照しなければならない作品です。
2.その他の方法
オリコン以外のデータを使うなら、各種ランキングが参考になるでしょう。
使えるランキングには、
・ツタヤランキング(20位まで)
・hontoランキング(100位まで)
などがあります。
(ツヤタランキングはアプリでしか見られなくなったようです)
hontoランキングはレーベル別、ジャンル別でも見られるので重宝するかもしれません。
これもデータを整理して、順位、あらすじなどを記録していきます。
(シリーズものの既刊は省いていいです)
部数はわからないので、順位を足していくなどすればいいかもしれません。
足した順位を累計のように考えれば、作品同士を比較することができるでしょう。
これらのデータも、オリコンと同様、ある程度の期間調べなければなりません。
手間はかかりますが、ただ自分が好きな作品を読んで参考にするよりは、よほど意味があるはずです。
作品リストができたら
参照すべき作品リストができたら、ようやく内容を見ていきます。
リストには「かなり売れた作品」と「そこまでではない作品」が混ざっています。
売れたかどうかの目安はジャンルによって異なるのですが、
・文庫なら5000部以上
・文芸書なら4000部以上
くらいを考えておけばいいと思います。
可能なら、上の目安を越えた作品を全部読むといいでしょう。
無理なら、上位の作品で気になった作品を何冊か読むのでもいいです。
実際に読んでみないと「受け入れられている作品」の雰囲気は掴めません。
何冊も読むうちに「あ、こういうのが受け入れられるのか……」と感覚がわかってきます。
私の周りのヒット作家さんたちは、「オリコンに載った作品は全部読む」と言っています。
それくらい読まないと、体に染み込まないのでしょうね。
ある程度読んで雰囲気を掴んだら、あとはあらすじを分析していきます。
あらすじの分析方法は次回に続きます。
今回のまとめ
受賞する小説のつくり方2回目「売れた作品を調べる方法」でした。
1.売れた作品を知ることで、自分の作品との差がわかる
2.オリコンを見るのが鉄板
3.各種ランキングを使ってもいい
4.データを整理し、目指すジャンルの作品をリストにしていく
5.売れたかどうかの目安は文庫5000部、文芸書4000部くらい
6.リスト中の売れた小説を出来るだけ読んで雰囲気を掴む
次回は「あらすじを分析する」です。↓
それではまたくまー。