
ストーリーに盛り上がりは必要か
崖っぷち作家のニジマルカです。
ストーリーは山あり谷ありで進み、最後に大きな山が来るのが一般的です。
山とは盛り上がりのことです。
基本的には盛り上がった方が良いはずですが、最近は「盛り上がるのもいいことばかりじゃない」とよく思います。
今回は「盛り上がることの弊害」という話です。
盛り上がることの弊害
一般的にストーリーが盛り上がることは良いことですし、担当さんからも「もっと盛り上げて」とよく言われます。
それはもっともだと思うのですが、最近は「そうでもないんじゃないかなあ」と思うことも多くなってきました。
他のジャンルでは事情が違うと思いますが、私がいるエンタメジャンルではそれが顕著になってきた印象です。
盛り上がることの弊害は2つほど考えられます。
1.読者が疲れる
2.次巻につながらない
それぞれ見ていきましょう。
1.読者が疲れる
単純に言って、話が盛り上がると読者が疲れます。
読むために掛かるコストが上がるからです。
盛り上がるときは矢継ぎ早にいろいろなことが起こり、場面展開なども早くなるので、物語を理解するのに必要なエネルギーが多くなるのですね。
マンガや映画のように、イメージするのにエネルギーを使わないメディアならまだ良いのですが、小説だとかなり読むのに苦労するでしょう。
要するに、盛り上がると、だら〜っと読めないのですね。
がんばって読まないといけなくなります。
そこまで読書にエネルギーを掛けたくない人にとって、盛り上がりはそれほど歓迎されるものではないと思います。
2.次巻につながらない
最近の売上を見ていると、1巻がかなり売れても、2巻がぜんぜん売れないという結果をよく見かけます。
その理由の1つに「盛り上がり」があるのではないかと考えています。
あまりにもその巻で盛り上がると、「終わった感」が出すぎるのですね。
読者としても「ようやく読み終えた」となるので、上で書いた「疲れる」こととも相まって、「もう次はいいか」となりがちだと考えられます。
今はきっちり終わらずに、だら〜っと続く感じの終わり方の方が、次巻に手を伸ばすのではないでしょうか。
1巻ごとにきっちり終わるという構造が、読者の欲望とずれてきたように思います。
読者の欲望とずれている
上で書いたように、読者の欲望と従来の作劇手法がずれてきた感じがしています。
最近の読者の本音はこうでしょう。
・読むコストを低く
・得られる気持ちよさを大きく
「盛り上がること」はどちらにも逆らっているように見えます。
上で書いたとおり、盛り上がると読みのコストが上がりますし、そもそもかなりの読者は「盛り上がり」を読みたいわけではないようです。
読者が読みたいものはどちらかと言えば、
・活躍した主人公が報われること
・その状況がずっと続くこと
ではないでしょうか。
盛り上がりがあってもいいでしょうが、読者が読みたいのはそこではなく、むしろ、盛り上がった後(活躍の後)の主人公の報われた人生だと言えるのかもしれません。
今回のまとめ
「盛り上がりが必要か」という話でした。
1.盛り上がると読者が疲れる
2.盛り上がると次巻につづかない
3.読者の欲望と従来の作劇手法がずれてきた
4.読者は盛り上がりを読みたいのではなく、盛り上がって活躍した後の主人公の人生
ネット小説をやっている方なら、あたりまえの話だったかもしれませんね。
企画作品でもこの辺りは注意しないといけないと思います。
それではまたくまー。