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初めて長編に挑戦するときに知っておくといい技術的ポイント3つ

初めて長編を書くときは、なかなか苦労するものです。

ある程度事前に準備しておかないと、途中で書き進められなくなります。

今回は、長編に挑戦するときの技術的なポイントをいくつかご紹介します。


技術的なポイント

知っておくといい、または最低限決めておいた方がいいことには、以下のようなものがあります。

  1. 長編のボリュームを知る

  2. せめてプロットポイントは決める

  3. キャラクターの行動原理を定める


それぞれ簡単に説明していきましょう。


1.長編のボリュームを知る

1つ目は長編のボリュームを知っておくことです。

応募規定にもよりますが、長編の文字数はだいたい10万〜12万字程度でしょう。

まずは10万文字を目指すといいです。


ところで、一日の作業で、自分が何文字くらい書けるか把握していますか?

把握していないなら、何回か計って、何時間でどれくらいの分量が書けるのか、おおざっぱにでもわかっておきましょう。


一日の執筆量がわかれば、何日くらいで10万文字に辿り着くかがわかります。

たとえば毎日3000字書けるなら、一ヶ月で9万文字です。

すると、ほぼ一ヶ月で初稿が完成するとわかりますね。


長編執筆は長丁場なので、終わりが見えないと途中で辛くなります。

おおまかにでも「だいたいこのくらいで終わるな」とわかっておくと、気が楽になるでしょう。


まずは作業量を計ってみてください。

たとえば「土日で5000文字くらいかな?」などと目安がわかるだけでも、「それなら一ヶ月で2万文字だから、半年あれば完成するな」とわかります。


2.プロットポイントを決める

2つ目はプロットポイントを決めておくことです。

プロットポイントとは「問題が解決し、話の展開が変わる地点」のことです。


典型的な長編には、4つのプロットポイントがあります。

これらのポイントは中間ゴールのようなものなので、これさえ決めておけば、それほど迷わずに書き進めることができるでしょう。

典型的なプロットポイント


だいたいは、章の中間くらいから何らかの事件や問題が起こり始めますが、あまり細かいことは気にせず、

  • プロットポイントでどんな事件や問題を解決するか

を考えておくといいです。


たとえば「少女が魔法使いになる話」を考えてみましょう。

こんなプロットポイントがあり得ますね。

  • 最初のポイント   :魔法学校の入学試験

  • 中間ポイント    :ライバルとの魔法決闘

  • 3つめのポイント  :魔法使いになる最終試験

  • クライマックス   :試験会場で蘇った魔物を倒す


こうやって中間ゴールを決めておけば、とにかくその章はそのゴールに向かって書けばいいので迷うことがありません。

プロットを作るのが苦手でも、せめてプロットポイントで何を解決するかさえ決めておけば、なんとか書き進めることができるでしょう。


3.キャラクターの行動原理を定める

3つ目はキャラクターの行動原理です。

行動原理は次の2つで成り立っています。

  • 動機:〜したい

  • 理由:なぜなら……


たとえば『鬼滅の刃』の炭治郎なら、

  • 動機:鬼を倒したい

  • 理由:なぜなら家族の仇だから

となりますね。

炭治郎の場合は性格でも行動原理が決まっています。

  • 困っている人や弱い人を助けたい

  • なぜならそういう優しい性格だから


細かい設定は後でもいいので、少なくとも主役級のキャラは、動機と理由をはっきり決めておきましょう。


また、キャラ設定をするときは以下を気をつけるといいです。

  1. シンプルにする

  2. 設定したら変えない


1.シンプルにする

キャラクターの内面は極力シンプルなものにしましょう。

キャラを作るとき、よく現実の人間のように複雑な内面を設定してしまうことがあります。


現実に近い話ならそれでもいいかもしれませんが、現実とは違う物語を描く場合、キャラの内面はできるだけシンプルにした方がいいです。

内面が複雑すぎると、行動原理が定まらず、「何をしたいんだかよくわからないキャラ」になるからです。


もっとシンプルに、力強く、「〜したい!」と一言で済むようなキャラにした方が読者の理解を得られ、かつ物語を進めるのも楽になります。


2.設定したら変えない

行動原理を決めたら、最後まで変えてはいけません。

変えるなら、読者が確実に納得するような理由を用意しましょう。


上で書いたことと同じですが、行動原理がブレると、「何をしたいんだかわからないキャラ」になってしまいます。

ある時は人を助けるために体を張ったのに、ある時には冷酷に人を切り捨てたりすると、「こいつは一体何なんだ?」と読者が混乱してしまうでしょう。


とにかく一度決めたら最後まで変えないようにして、キャラクターには常に、決めた行動原理どおりの言動をさせましょう。

もしあるキャラが「困った人を絶対に助ける人」であるならば、物語上でどんなに不利になっても、物語の展開が大きく変わることになっても、困っている人が登場したら、絶対に助けさせなければなりません。

それで展開が変わって作者が困るようなら、物語の設計がそもそも間違っています。

物語は「そのキャラでなければ成立しない」ように設計する必要があるからです。


キャラを固めてしまえば、ストーリーは自動的に動き出すものです。

まずはキャラの行動原理をはっきりと定めることが先決ですね。


今回のまとめ

「長編に挑戦するときの技術的ポイント」でした。

  1. 長編のボリュームを知っておく
    自分の作業量を把握すれば完成時期が予想できる

  2. プロットポイントを決める
    せめて4つの中間ゴールを決めればなんとか書き進められる

  3. キャラクターの行動原理を定める
    行動原理を定めないとキャラクターを動かせない

    1. 行動原理はシンプルにする
      複雑な内面にしない

    2. 設定したら変えない
      首尾一貫した言動をさせる

技術的には、最低限このくらいわかっていれば、長編を書き進めることができると思います。

心構えもあるので、それはまた別の記事でご紹介します。

それではまたくまー。


(2023.6.5追記)

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