【ちばMakers】vol.5 千葉県館山市 館山の魅力を陶芸を通して届けたい 〔福美窯(ふくみよう)〕
千葉で新しい風をおこそうと、頑張っている人を特集する【ちばMakers】
第5回目は、7年前に地元館山市にUターンし、実家の離れに窯を開いた女性陶芸家、「福美窯」代表の福島久美子さんにお話を伺いました。
生まれ育った館山で、地域の素材と風景を作品に反映させ、関東全域にファンが拡大していっている福島さん。
東京でOLをしながら陶芸家に転身した異色の経歴は沖縄の陶器に魅せられた事がきっかけでした。
陶芸との出会い
東京でOLをしながら、持ち前の好奇心で様々なことにチャレンジしていたそうです。
そんな中、沖縄に旅行に行き、沖縄の風土に根差した陶器を見た時にとても感動を覚えました。
その気持ちは東京に戻ってからも消える事が無く、「自分が本当にやりたい事はこれだ!」といつしか確信に変わり、表参道 彩泥窯の「陶芸スペシャリスト養成コース」の門をたたきます。
それから陶芸に関する講義や技能を2年かけて習得。OLを辞め、2012年に地元館山にUターンし、福島さんオリジナルの作品の創作活動を開始します。
“はじめは設備も何もないので作品をつくって地元の窯に持ち込んで焼いてもらう所から始めたんです。”
福美窯の開窯
地元に戻り、創作活動を行う傍ら、地元の魚市場で働き、創作で使用したい貝殻などを貰ったり、海岸に打ち上げられたシーグラスを使用した作品をつくるなど、福島さんオリジナルの作品シリーズやコンセプトが少しずつ固まっていきます。
“東京暮らしから地元に戻ってみて、改めて館山の素晴らしさを感じているんです。気候もいいですし、海岸線を散歩していると時間ごとに素敵な景色を見せてくれる。 もうこの土地から離れられません(笑)
私の作品は館山の自然を表現したものが自然と増えているんですよ“
そうして5年前の2014年、ついに念願の工房と焼き窯を自宅の敷地内に開窯しました。
“様々な方の応援で、ようやくここまでの形にする事が出来ました。空調設備が無いので、四季を感じながら楽しんでいます♪”
陶芸家として本格始動
工房を開いてからは創作活動一本に専念し、次々と作品をつくり始めます。
準備期間につくりたい作品が明確になってきた事で、必要な設備に迷う事はありませんでした。
窯は灯油を使用する無煙の大型タイプ。
電気釜と違って、1200度の高温に上がり、炎が出るので、自分が表現したい雰囲気が出せる事が決め手だったそうです。
福美窯の人気シリーズ「一輪挿し」を実際に製作して頂きました。
流れるようなスピードで菊練りなどの工程が進んでいきます。
ろくろに向かう姿勢は真剣そのもの。
土と会話をしているかのようなピンと張りつめた空気感。
女性らしい繊細な手さばきで見事な一輪挿しが成形されました。
続いて乾燥 → デザイン加工 → 素焼き → 色付け → 本焼き の工程を経て
一点として同じものの無い、それぞれに個性のある作品が生まれるのです。
福美窯の人気シリーズたち
陶芸業に専念してからは、東京/川崎/銚子/外房/南房など各所で行われるクラフト展などにも精力的に出店して、マーケットの反応を肌で感じる事も大切にしています。
“今ではだいぶ慣れましたが、はじめは接客が本当に苦手で。。いつも大緊張しながらなんとか応対していました(笑)”
“それでも目の前で作品を気に入って頂いて、お褒めの言葉を頂いたり、いくつも購入して頂けると本当に嬉しいです♪
中には売れ残ってしまう子達もいるんですけど、そんな子達の方が実は味があって愛おしくてたまりません(笑)“
そんなオリジナルの作品も固まってきた中、工房の天井を風鈴でいっぱいにしたいと思い作り始めたのが「南総風鈴(なんそうふうりん)」
陶器ならではの柔らかい音色が「カランコロン」と心地よく響く、これからの季節にピッタリの商品です。
“全て手作りですので、色・形・音色に個性があるんですよ。南総の魅力をデザインで表現していますので、陶風鈴といえば「南総風鈴」と誰もが知っている位まで広めたい、というのが現在の夢の一つです”
こうした活動により、着実に福島さんの作品のファンも増え、地元「館山野鳥の森」施設からも声がかかり、今年で4年目を迎える「陶風鈴展」が開催されるまでになりました。
さらに今年は海の家九十九里でも南総風鈴200個の展示販売がされています。
お気に入りが見つかったら購入する事も出来ますのでぜひ訪れてみてはいかが♫
※2019年7月取材時の内容です。
“今後は作品たちを工房一杯に並べて個展を開いたり、陶芸教室なども開いていきたいと思っています。 今は川崎大師の風鈴市に出店する風鈴づくりで大わらわですけど(笑)
その他にEC販売なども行っていきたいので、色々なことを勉強しながらゆっくり進んでいきたいですね”
笑顔の素敵な注目の女性陶芸家、福島さんの作品は、様々な場所で生活に彩りを与えてくれている事でしょう♫
「陶芸家になる!」と決めた時から取り組んでいる活動は、着実にその想いに触れた人たちに伝わり、ゆっくり確実に広がっていると感じます。
これからの地域に必要な「地域活性化の一つの形」を体現する福美窯さんの活動に、NIJIKOMAも大変共感を覚えます。
皆様もイベントなどで福美窯さんを見かけたら、ぜひ個性豊かな作品に触れてその魅力を体感してみて下さいね!
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