わだかまり一つ無く悼み続けた時 ~霊園③
私の中では
まだこの日のことは鮮明だった
4ヶ月も経ったから
忘れる前に残しておきたい
軽い気持ちで書き始めたけど
まだ痛みの残る傷のままだったことを知った
それでも、最後まで書こう
痛みとともに残しておこう
ということで、どうなるかわからないけど
続き書き始めます
持ってきた旅立ちに持たせるもの
好きだったオヤツ
ドックフード
似合っていたピンクの服
最後の散歩で使ったハーネス
それと頂いた花をハナコの周りにおく
オヤツの袋を持っただけで
飛んできたハナコは動かない
ハーネスの胸の部分の土汚れが
さっきまで歩いていたかのように思える
もっともっと色々もってきたら良かったかな
でも残しておいて欲しい気持ちもあったんだ
明日からハナコを感じるために…
この間はスタッフの方々は部屋の外にいて
二人だけだった
ありがとうね
うちに来てくれて、ありがとう
苦しませてごめんね
一緒に過ごせていっぱい助けてもらったよ
ありがとう
ハナコ忘れないよ いつまでも
声にだして思いついた言葉を止めどもなく伝えた
しばらくして、スタッフの方が扉から顔をのぞかせて
そろそろお時間ですが
よろしいですか
よくないけど、まだまだハナコの姿を見ていたいけど
そういうわけにはいかないよね
はい、お願いします
頭を下げると
隣の部屋と仕切っていた壁が開かれていく
そこには鉄の扉がみえた
ハナコはスタッフの方が奥の部屋へと連れて行き
重そうな台に寝かされる
どうぞ と案内された場所に立つ
正面に暗く
奥が見えないような空間がある
そこに取り付けられた厚みのある鉄の扉
ハナコはこの中にひとりで入っていくんだね
もうこれが見納めなんだね
お輪が鳴らされ
その音に身体がしびれるよう
線香が灯され 煙が細々とあがる
それでは
スタッフの方がゆっくりと
ゆっくりと 暗い暗い部屋に
ハナコが乗った台を押し入れていく
待ってー 一緒にいくー
そんな気持ちを抑え
手にもった数珠を握りしめ
遠ざかるハナコのシッポを見続けていた
入口でスタッフの方が深々と頭を下げる
私は合わせていた手は
いつしか固く両手を握りしめていた
扉が閉められる
ゆっくり閉まっていく
ゆっくりハナコが見えなくなっていく
しっかり見たいのに 涙でよく見えない
拭いても拭いてもよく見えない
ガシャン
完全に閉まってしまった
耳の奥で反響する音
いつまでも耳の中で余韻のように残っている
もう本当にこれで見ることができなくなっちゃった
待合室として個室が用意されていた
個室の中で1時間ちょっと過ごせそうになかった
近くを歩いてみることに
何匹もの散歩している犬とすれ違う
いつものように犬たちを見ることができない
ハナコは今頃…
そう思うと、とてもそんな気になれなかったんだ
呼ばれるまでの時間 長かった
だからといって誰かと話をしたいわけでもなく
ただ黙って、ハナコを想っていたかった
時間が来て
キレイに並べられた骨になったハナコに再会
しっかりした骨が残り
まるで動き出しそう
それぞれの部位を説明してくれる
しっかりしたいいお骨ですね
骨を褒められたのに
私は誇らしかった 嬉しかった
この骨がハナコを支えてくれてたんだもの
これがハナコなんだもの
褒められたら、とても嬉しい
私はひとりで立ち会ったので
最初の骨を箸で掴む際、スタッフの方が一緒に拾ってくれた
いくつか大きな骨を一緒に入れた後
素手で入れても構いませんよ
そのアドバイスを聞いて
残りは全て素手で骨壷へ入れる
母やロイの時は、骨がもろくて
掴むと崩れてしまうこともあったけど
ハナコはそんなことは一度もなく
素手でしっかりつかみ、一つ残らず収めた後
スタッフのかたが刷毛で全ての骨の粉まで収めてくれた
収めている途中で
分骨できること
ペンダント等に細かい骨を入れられること
などを紹介されたけど
この時の私には判断できなかった
何より現時点で骨を分けてしまうことに抵抗があった
まるごと全部がハナコなんだから
一つにしておきたかったの
そのことを伝えると
今じゃなくても大丈夫ですよ
後からでもできますから
悲しんだり、動揺したりしている私にとって
「後でも大丈夫」という返事は
とてもありがたかった
冷静な判断なんかできないんだもん
その時の気分や 助言に流されて
後で後悔するのだけは嫌だったから
全てが終わり
白い布に包まれたハナコを抱え
来たときと同じ車に乗って家まで送ってもらった
来た時とは違って
私はやけに落ち着いていた
小さく軽くなったハナコを同じように膝においているのに
ちゃんとやれた
という安堵感みたいな気分
寒かったけど、少し窓をあけて
泣きまくった顔を洗うかのように
ハナコがよくしていたように
窓からの風を顔全体に受け続けた
運転してくれているスタッフの方は
お迎えに来てくれた人と同じ
行きに話したハナコの様子は可愛かったでしょうね
子猫ちゃんに優しく接していたんでしょうね
犬のいない生活は淋しいけど機会があればまた始まるかもしれませんね
ずっと話し続けるわけではなく
時々声をかけてくれる
それは風景が家に近づいてくる中の私には
とても心地いいものだったなぁ
家に着き、車を降りた際に私は言った
「素敵なお仕事をされていますね
今日一日 無事に過ごせたのは
皆さんのおかげです
女性スタッフさんにも感謝申し上げてください
ハナコ共々 ありがとうございました」
なんとか最後まで書けました
最後に私が伝えたことは
今でも感謝しています
四九日法要の際に偶然出会うことができた
そのスタッフさん
私に駆け寄ってきて
あの言葉で今の仕事の意味が分かった気がしました
スタッフ全員 犬や猫と暮らしているので
飼い主さんのお気持ちはわかるつもりでいましたが
それでもこれでいいのか
と不安な部分もあった
頂いた言葉でスッキリした思いです
そんなことを興奮気味に伝えてくださった
お互い様ですよね
家族を失った悲しみに
後悔が残らぬよう
即決を求めることなく
心から寄り添ってくれている
そう感じることができたからこそ
何ひとつ心に引っかかるものがないまま
ハナコを悼むことだけができた
いい霊園との出会いでした
納骨はまだで、ハナコの骨は側にいてくれています
無理に納骨することなく、したいときにいつでもお越しください
その言葉通り まだしばらくは一緒にいようと思ってる
ハナコが息をひきとり
ハナコの身体と別れるという
身体を引き裂かれるような場所
そんな場所だからこそ
そんな場所なのに
心にいつまでも残る暖かさと
人に寄り添ってもらうことの大きさを痛感しました
なぐり書きのようになってしまったけど
ハナコと霊園のお話
長々と書いちゃったな
書き終わった感想
スッキリしたー!
ハナちゃん また一つやり終えたよ
さぁパーティはじめよ
(´∀`*)ウフフッ 今日は私のバースデー
ハナコとまた新しい一歩を踏み出すために
Let's start the party!
今日も一日ありがとう
よろしければサポートをお願いします。