散歩道の花拾い
花水木がキレイに咲きそろった
家の前に咲くこの木は
ハナコと私の散歩の行き帰りを見守り続けてくれてたね
今年は ひとりなんだー
ハナちゃん見えなくても
同じように散歩するんだ
今年も見ててね
毎朝起きたら、まず散歩に出る
もちろん 手にはリードをもって
散歩道は また一段と色鮮やかになってる
この季節になると出会っている見慣れた花々たち
それなのに
「また咲いてくれてありがとう」
そんな言葉をかけたくなる
ハナコに贈っていただいた花々
ハナコを思って買ってきた花々
残せるものは、ほとんど押し花にしたり
吊るして乾燥させたりしている
どれも捨てられないの
ハナコへの想いが詰まっていて
分身のように感じてしまう
この散歩道に咲く花たちも残しておきたい
ちょっと前まで この道を歩いていたんだもの
お花たちもハナコを覚えていてくれるかもしれない
道にしゃがんで
落ちた桜の花や雑草の花たちを集めた
朝早いのとはいえ、通りすがる人が覗き込む
前なら恥ずかしかった
でも今は気にならない
今年の花を残したいんだ
ハナコの思い出の一つとして
私自身がひとりでも歩いている記念として
帰ってきてから
一枚一枚シートに広げながら、涙がこぼれる
乾燥させたいのに、涙でぬらしてしまう
何をやってるんだろう
そんな声も自分のなかから聞こえてくる
無我夢中なの
なんでもハナコに結びついちゃうんだもん
だからこれも大切なの
理由になってないのは
自分でわかってる
それでもいいんだ
ハナコと今日も散歩した
そしてハナコと歩いた記念に花を拾ってきた
それを残すために押し花を作った
それだけのこと
それが今日
鬼門の月曜日を 心穏やかにさせるための準備
午後3時は
ほんの少しの涙が浮かんだ
ハナコはもう苦しくない
ハナコは今幸せでいる
……… ハナコにはもう触れない
やっぱりダメだね
毎週この時間に振り出しに戻る
それでも顔上げて
今週 できることを精一杯やろう
今日も一日ありがとう