眠れぬ夜
私は1日にして世界が変わった
けどハナコはもっと前から身体の不調を感じていたはず
私はただ気づき、獣医さんから現状を知らされただけ
ハナコは前夜 寝ることがほとんどできなかった
苦しげに口を少し開けて、身体を震わせながら息をしている
その様子を見ていることしかできない
少しでも寝ることを妨げないようにと
さすることもできなかった
長い長い夜
ハナコの側で寝てしまった私は少しだけホッとした
朝日が差し込むようになってから
ハナコは寝られたみたい
あいかわらず身体をふるわせながら息をしているものの
いつもの寝顔を見ることができた
相変わらず食べない
無理に飲み込ませても、しばらくすると吐いてしまう
水だけはかろうじて飲むものの
口に何か入れられることが苦痛でたまらない様子
このままじゃダメだ
何か他に方法はないかと、動物病院が開く時間をまって電話した
先生! どうしてあげたらいいでしょうか
獣医さんは静かに
「ハナちゃんは連れてこなくていいから
動かすことは負担になるからね
とりあえず、いらっしゃい
落ち着いて、ゆっくり 待ってますから」
低く優しい声だった
頭の中で「落ち着いて、ゆっくり」の声が何度も繰り返されながらも
私は小走りに動物病院まで行った
早く、少しでも早く
ハナコが楽になる方法があるのなら
早く早く!
病院には先に待っている猫ちゃんがいた
今思えば、先に対応してくれたんだ
猫ちゃんを待たせてまで、
どうしていいか分からない私に対応してくれた
病院の受付に既に用意されていた
濃縮酸素機レンタル申込書
「これで間違いはない?」
獣医さんが既に必要部分を書き込んでくれていた
「どれだけハナコちゃんが楽になるかは分からないけど
少しは呼吸が楽になるはず
助けになるはずだよ」
うなずく私を見て、すぐに電話で在庫確認し手配をしてくれる
今日中に届けてくれるという
できるだけ早く持ってきてくれると
専用ゲージもお借りして、
昨日ハナコと歩いた道を持って歩いた
重かったけど、ハナコが楽になるなら…その一心で帰宅
午後には酸素機も届けてもらい
大急ぎで組み立て、設置
バタバタといつもと様子が違うのを物陰から様子をみているヒナコ
ハナコはそんなことに気を回すこともなく、ぐったりしていた
私も初めてなら
ハナコも初めて
この濃縮酸素がどれだけの効果があるのか、わからない
だけど、ハナコはこのゲージのなかに自分から入っていった
酸素がゲージ中に貯まるようにと覆われたビニール
透明で様子を見ることができるとはいえ
ハナコとの距離が離れてしまったような感覚
ハナちゃん どお?
少しは楽?
寝られそう?
ハナちゃん 私はココにいるからね
何かあったら、いつでも教えてね
なんでもするから!
とにかく寝ることができなかったハナコ
寝かせてあげたかった
だから、いつもかけている音楽やラジオは消して
部屋には近くで工事をしている音と、車の音だけが聞こえている
近くの公園から 子どもたちの声や散歩している犬たちの声も聞こえる
今までは聞こえることがなかった濃縮酸素機の音と
ハナコの寝息が
きっと大丈夫だよね
きっと良くなるよね
そんな私の願いを叶えてくれるに違いない
去年の今日 1月21日は思っていた
もっとハナコと過ごせる毎日が続くことを祈っていた
今日も一日ありがとう
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