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雷雨が持ち去ったもの
朝から薄暗く、雷が激しく轟いた一日
時間をかけ少しづつ前が見えてきたように思い
ゆっくり歩き出した私
雷雨に打たれ、落とし穴に突然おちたように
真っ暗闇のなかにいるよう
1月末からの
悲しさ
後悔
寂しさ
全ての辛さがまとめて押し寄せてきたような気分
お互いに大切な人を失ったハナコと私が出会ったのが7月
数ヶ月間様子をみながら
新しい相棒との関係をみつけてきた
失敗して、落ち込んだ時
うまくいって、嬉しい時
悲しくて、泣いてる時
痛くて、ふせている時
映画をみながら、笑っている時
はなこは そっと隣に座って
寄り添ってくれた
言葉がなくても
はなこの温もりと表情が
悲しみを慰め
痛みを和らげ
楽しさを倍にしてくれた
出会いから、別れのその時まで
はなこは支えだった
その支えを失い、
立っているのがやっと
今日は立つことすら出来ない
厚い雲を一瞬明るくさせて光り轟く雷
何度も何度も
大きな音で
空から響く雷
地面ではねかえり
窓に音を立てて次々と強くあたる雨粒
はなこと過ごした日々さえ
流されてしまいそうだった
何も持たない手を握りしめ
雷を恐れるヒナコの震えを膝のうえに感じながら
記念樹としたミモザの苗が
大きく揺れながら
立っている姿を見ていた
抵抗するから、辛いんだね
ミモザの苗は、風と雨に身を任せ揺れている
ハナコがミモザの葉の上で言っている
こうやるんだよ
やってみて
もっと前から息苦しかっただろうに
気づけなかった
息をひきとるまでの1時間
ひどく苦しませた
このことは、深い深いキズとなった
もう一度やり直せるなら、やり直したい
大好きなはなこを、せめて楽に送り出してあげたかった
私は15年以上 母を介護してきた
様々なサービスを受けながらも、在宅介護は大変だった
ハナコはもちろん、そんなことは知らない
母と別れてから出会ったのだから
でも、ふと思う
そろそろお別れしなくちゃいけない
それなら、介護してもらうことがないように
負担をかけないように
すっと空にいこう
ハナコの最期の思いやりが
そこにあったんじゃないか
雷の音が小さくなり、遠ざかっていった
激しい雨と雷が
はなこと別れてから
私のなかに溜まってきた重たいものを
持っていってくれたように軽くなった
明日は四九日
ハナコがいない生活への準備できたのかもしれない
会いたいし、寂しい
でも、ハナコは側にいてくれている
それは確信できる
姿はなくなっちゃったけど
存在は
大きなハナコという存在は
何も変わらず
私の中にある
大丈夫
ちゃんと立てるよ
しっかり歩くよ
ありがとね
ハナコがくれた明日を
大切にしていくよ
ありがとう
ハナちゃんの位牌 出来たよ
不格好だけど
愛情と感謝はぎゅうぎゅうに詰め込んだよ
明日は晴れるって!
この位牌をもって
ハナちゃん一緒に法要に行こうね
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