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天官賜福 第160章~163章 百本の剣に貫かれ、怨霊が姿を現す
今年は絶対上海に行くぞと思っていたら朗報がきました
\( 'ω')/
『神戸市は今年4月18日から神戸空港とソウル、上海、台湾など5都市を結ぶ国際チャーター便の運航を順次開始すると発表しました。』とのこと。
嬉しすぎる!
ネタバレNO!の方は目次の はちポイント に飛んでお読みいただけるとうれしく思います(* .ˬ.)"
あらすじ
天官賜福 第160章~第163章 百剑穿心厉鬼成形 ~晋江文学城より~
風信は、数日間外出せずに送られた物資で凌げるだろうと言いました。実は、慕情が残していった物資を謝怜は感情的に拒絶したものの、後に拾い集めていました。ため息をつく謝怜に、風信は少し戸惑いながらお金が残っているか、もしくは質に入れられるものがあるかを尋ねました。謝怜は驚き、その理由を問い詰めましたが、風信は曖昧に誤魔化しました。
その後、謝怜は白無相の姿を各所で見かけるようになりました。水面の影や寝室の隅、扉の向こう、さらには風信の背後にまで現れました。その存在は彼を翻弄し、恐怖と疲労を募らせていきました。ある夜、喉の渇きを覚えて目を覚ますと、外で両親と風信の話し声が聞こえました。彼らは謝怜が疲れすぎていることを心配し、彼の異常があればすぐに知らせるようにと話し合っていました。その言葉に、謝怜の心は怒りで燃え上がりました。
「僕は狂っていません!」
謝怜は衝動的に部屋の扉を開け、問い詰めましたが、風信は落ち着いて「信じています」と答えながらも、彼の疲れを気遣いました。その反応に、謝怜の心は冷え切りました。風信はかつて無条件で彼を信じてくれていましたのに、今は完全には信じていません。そのわずかな疑念が謝怜を深く傷つけました。彼は部屋を飛び出し、風信の呼びかけにも耳を貸さず、夜の闇へと駆け出しました。
白無相の影を追い、荒野を駆ける謝怜。彼は決意を固め、夜空に向かって「出てきなさい!」と叫びましたが、応答はありませんでした。それでも進み続けると、突如として無数の鬼火に囲まれました。それらは「進んではいけません」と警告するように、彼の行く手を阻みました。しかし、謝怜は強引に突破し、やがて廃れた太子廟にたどり着きました。そこには、かつて彼を讃えたはずの神殿が無惨にも壊されていました。
廟の中で待ち構えていると、次々と迷い込んだ人々が現れました。彼らは皆、理由もなくこの地に誘い込まれ、出口を見つけられずにいました。謝怜はその状況を冷静に観察し、白無相が仕掛けた罠であることを察しました。人々が脱出の方法を模索する中、謝怜は静かに告げました。
「どうやっても無駄です。皆さんは、ある怪物の遊び道具にされているのです。」
謝怜の言葉を聞いた人々はそれぞれの反応を見せました。疑念を抱く者もいれば、彼の言葉に恐怖を感じる者もいました。「お前は何者だ?」と問いかける声もありましたが、謝怜は静かに答えました。「証拠はありません。信じるかどうかはあなた方次第です。ただ、ここに連れてこられたのは、もてなされるためではないでしょう。」
その直後、遠くから足音とともに狂ったような叫び声が響き渡りました。人々は驚き、太子廟へと後ずさりしました。暗闇の中から現れたのは、一人の男でした。彼は顔を覆いながら走り、視界がないまま廟の入口に激突して倒れました。
人々が近づこうとすると、謝怜は「待ってください!」と制しました。慎重に彼へと歩み寄ると、男は突然跳ね起きました。その顔には、もう一つの顔がありました。
「人面瘡…!」
恐怖に満ちた声が廟内に響きました。男は暴れながら周囲へと突進しましたが、謝怜が瞬時に動き、彼を数メートル先へ吹き飛ばしました。人々は震えながらも、「人面瘡は絶えたはずでは?」と囁き合いました。しかし、次の瞬間、四方八方から同じ叫び声が響き渡り、さらに多くの人影が霧の中から姿を現しました。
混乱する人々を前に、謝怜は「分散してはいけません!森の中にはもっと危険なものが潜んでいます!」と叫びました。木の枝を剣のように構え、「ここを守るのは私です!」と宣言し、人面瘡の患者たちを迎え撃ちました。
彼の戦いぶりに、人々は息を呑みました。鬼火が夜空を照らし、戦いを見守るかのように漂っていました。やがて、人面瘡の患者たちは力尽き、太子廟は一時の静寂を取り戻しました。
その時、遠くの霧の中に白無相の姿が見えました。彼は静かに笑いながら手を振りました。謝怜はすぐに追いかけようとしましたが、ふと足を止め、「この状況を作り出したのはお前の狙いか?」と問いかけました。白無相は微笑を浮かべ、「いや、違う。私の目的は、お前そのものだ。」と告げました。そして「確かに、俺はお前を殺せない。俺もお前を殺さない。しかし、自信過剰になるなよ。後でこれを後悔しないようにな。」と冷淡に言います。 後悔?なぜ後悔するのか?謝怜はその意味を理解しきれないうちに、首に一撃を受けて意識を失いました。
光と熱を感じながら意識を取り戻した謝憐が目を開けると、鬼火の群れが彼の周囲を漂い、その存在を示していました。彼が手を伸ばそうとすると、動かないことに気づき、驚愕しました。彼の手足はしっかりと縛られ、神台の上に拘束されていたのです。
人々の視線が彼に注がれ、やがて「似ている」「まさか太子なのか」とざわめき始めました。謝怜は否定しようとしましたが、その前に顔を覆っていた白絹が解かれ、素顔がさらされてしまいました。その瞬間、廟の外から不気味な叫び声が響き渡り、謝怜は恐る恐る首を回しました。
人面瘡の患者たちが、手を繋ぎながら踊るように円を描いていました。狂気に満ちた儀式のような光景に、廟内の人々は震え上がり、逃げ道のない絶望が広がりました。誰もが恐怖に包まれ、次第に疑心暗鬼となっていきました。
そんな中、白無相が静かに謝怜の背後から現れました。彼は堂々と謝怜を支え起こし、まるで生きた神像のように彼を神台の上に据えました。人々は息を飲みながら彼を見つめましたが、その視線は恐れと疑念に満ちていました。
「人面瘡は隔離と治療が可能です。」白無相の言葉が響き渡ると、一瞬の沈黙の後、希望にすがる人々の視線が謝怜へと向けられました。「太子殿下はその方法を知っている」と白無相が続けると、ますます人々の期待が高まりました。しかし、謝怜は強く否定しました。「知らない!」と叫びましたが、白無相は冷たく「嘘をついている」と言い放ちました。そして、決定的な言葉を投げかけました。
「人面瘡に最もかかりにくいのは兵士です。なぜか分かりますか?それは、彼らが“あること”をしているからです。」場が凍りつく中、白無相は静かに続けました。
「人を殺すことですよ。」
その言葉が響いた瞬間、謝怜は息を飲みました。人々は恐怖と困惑の表情を浮かべながら、彼を凝視しました。「人を殺すことで病気を免れる」という衝撃の真実が、場を凍りつかせました。恐怖と絶望が人々の間に広がる中、誰かがつぶやきました。「それなら……誰を殺せばいい?」
その一言が、謝怜が最も恐れていた流れを作り出してしまいました。謝憐は何も答えられず、心の中で絶望を噛みしめていました。白無相は優しい声で言います。「忘れたのか?彼は神だ。つまり、―」 言葉が終わらないうちに、謝怜は胸に冷たい感触を感じました。 しばらく固まった後、下を向いた謝憐の目に映るのは、腹から突き出している漆黒の剣の刃でした。
謝怜は、目の前に突き立てられた黒い剣を見つめたまま、静かに息を呑みました。その剣の鋒がゆっくりと引き抜かれ、再び彼の体に戻っていきます。白無相は冷ややかに言い放ちました。「彼は、不死身の体を持っているのです。」
周囲の人々が状況を理解する間もなく、白無相はその剣を地面へ投げつけました。「ガラン」という鋭い音が響き渡り、剣の鋒は大地に深く突き刺さりました。血の匂いが立ち込める中、鬼火が謝怜の傷を塞ごうとします。しかし、謝怜は喉に血がこみ上げ、苦しげに言葉を絞り出しました。「お前…お前!」
鬼火は突如、白無相へと飛びかかりましたが、彼はそれを片手で容易く捕え、掌に閉じ込めました。そしてもう一方の手で謝怜の顔を強引に掴み、彼を正面に向かせました。「お前は“蒼生を救う”と誇らしげに言っていたのではないか?」謝怜は震える声で答えました。「でも…私は…」
神台の人々はこの血塗られた光景に恐れおののき、泣き出す者もいれば、恐怖と好奇心の狭間で立ち尽くす者もいました。そして、誰かがぽつりとつぶやきました。「…彼は本当に死なないのか?」「見てみろ、血はほとんど流れていない…まだ生きているじゃないか!」その言葉をきっかけに、群衆の中から声が上がりました。「つまり、彼を殺しても死なないってことか?」
そんな中、庶民の中から一組の夫婦が前へ進み出ました。彼らの腕の中では幼い子供が泣き叫んでいます。その腕には黒い痕が浮かび上がっていました。「感染した…!」絶望的な表情の夫婦は謝怜の前に跪き、地面に突き刺さっていた剣を握ると、その小さな手に持たせました。夫婦は目を閉じ、一息で謝怜の腹部に剣を突き立てました。
「申し訳ありません…私たちの子供はまだ小さくて、どうしようもなかったのです…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
血が滴る謝怜の前で、彼らは深々と頭を下げ、群衆の中へと戻っていきました。その様子を見届けた白無相は低く笑い、「人は追い詰められると、本性をさらけ出すものです」と言いました。
「これが、お前の愛する蒼生の姿ですよ。」
それを皮切りに、次々と人々が自分や家族を救うために謝怜を刺し始めます。
その中で、一人の売芸人だけが「これは間違っている」と声を上げ、謝怜を擁護しましたが、彼自身も人面疫に感染してしまい、その場から逃げ出してしまいます。
状況が膠着する中、ある男が「謝怜は以前、強盗をしていた」という事実を暴露します。それを聞いた人々は、自分たちの体に次々と人面疫の症状が現れ始めたことも相まって、謝怜への怒りを爆発させます。
約百人もの人々が我先にと謝怜を刺し始め、彼は耐え難い苦痛に襲われます。不死身であるがゆえに死ぬことすらできず、ただ痛みに耐え続けるしかない謝怜。その傍らで白無相は冷たく状況を見守り、謝怜の魂の一部である鬼火も激しく燃え上がりながらも、白無相の手の中で捕らわれたままでした。
謝怜は、もう耐えられず、意識を失いました。同時に、太子殿の中で炎が爆発し、灼熱の波が広がりました。
「うわあああああああああああ!」
人々の叫び声が響き、鬼火の炎が百人を黒焦げにしました。炎が収まり、一人の少年が現れ、地面に跪いて絶叫しました。彼は神台の上に横たわる謝怜を直視できませんでした。太子殿は死体で埋め尽くされ、白無相は笑いながら殿を後にしました。彼の足元で燃え尽きた死体が崩れ、夜空には無数の亡霊が漂っていました。
謝怜が意識を取り戻すと、白無相は黒い剣を腰に佩せ、「これは私からの贈り物だ」と言いました。謝怜は無抵抗のまま剣を受け取り、山を下りました。白無相は彼に顔を隠す白布を渡し、「これを忘れるな」と告げました。
山を下る途中、小川に映る自分の顔を見つめました。肌には傷一つなく、しかし目をそらし、水を飲みました。その時、上流の岸辺に横たわる遺体を見つけました。それは売り物芸人の男でした。彼は恐怖に耐えかね、岩に頭をぶつけて亡くなったようでした。腐敗し、水に浸かった遺体の顔には人面が蠢いていました。謝怜は嘔吐し、血が出るほど吐き続けました。
山を下りた後、彼は彷徨い、大通りを歩いていました。突然、肩を叩かれ、路地裏へ引きずり込まれました。振り返ると、風信の拳が飛んできました。「お前、どこをほっつき歩いていたんだ!」謝怜は地面に叩きつけられました。風信は驚きましたが、すぐに叫びました。「二ヶ月も姿を消して、どれだけ心配したか分かるか?!」
すると彼は謝怜の腰に掛かっている黒い剣に気づき、「その剣、どこで手に入れたんだ?」と尋ねます。 謝怜は話したかったのですが、出発前の風信との争い、風信の疑わしい表情、そして思い出すのも嫌な出来事を思い出すと、ただ「ごめん」と言うしかありませんでした。
二人は隠れ家に戻り、王后は謝怜を見るなり泣きました。国主は老け込み、三人は彼が再び消えないか恐れていました。
食事の後、謝怜は風信に剣を差し出し、「これを質に入れてほしい」と頼みました。風信はその手の震えに気づき、「なぜ質に入れるんだ?」と尋ねました。謝怜は「お金が必要だったんだろう」と答えました。風信は一瞬傷ついた表情を見せましたが、首を振り、「もう必要ない」と言いました。謝怜は何も言わず、剣を放り投げ、倒れるように眠りにつきました。
はちポイント
この章はほんとに辛いし、いざとなったら人はずっといい人ではいられないということを、如実に表してるなと思いました。
白無相はただ単に謝怜を痛めつけるのではなく、彼の「不死身」という特性を利用し、人々に選択を迫る形で精神的に追い詰めていきます。彼の言葉がじわじわと人々の心を侵食し、最初は戸惑いと恐怖に包まれていた人々が次第に「これは正当な行為なのではないか」と自らを納得させ、実際に行動を起こしてしまう過程があまりにもリアル。
人を殺すことが人面疫から逃れられる方法だと白無相に教えられた人たちがとった行動。白無相に刺されても死なない謝憐を見て
「つまり、彼を殺しても死なないってことか!」「よかった!」
そう言った人はすぐに罵られた。「何が“よかった”だ?どういう意味だ?」
罵られた人は口ごもって言った。「だって、彼を殺しても死なないなら…それが解決策になるんじゃないか?」
「でも、人を刺すなんて、それは…」
「でも彼は神だぞ?彼を刺しても死なないんだぞ?我々は普通の人間だ、もし人面疫にかかったら、確実に死ぬんだぞ!」
ここまではまだ理性が働いてるんですよね。
でも白無相は見抜いています。誰もが「最初の人」になりたくないだけだと。
すると子供が感染したと夫婦が現れ、その「最初の人」になります。
「申し訳ありません…私たちの子供はまだ小さくて、どうしようもなかったのです。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
するとまたひとり、「申し訳ありません、本当に申し訳ありません。私は本当にこうしたくなかったのですが、どうしようもなかったのです。結婚したばかりで、母と妻が家で待っているんです…」と言葉を詰まらせ、剣を引き抜き、謝怜に刺しました。
最後は地獄です。
「彼が叫ばないようにしろ。早く終わらせよう!」謝怜は口を塞がれ、手足を押さえつけられ、「彼を転がり落ちないようにしっかり押さえておけ。致命的な場所に刺さっていなければカウントしないぞ!」と指示されました。「一人一人順番に来い、争うな!俺が先だ!」
「どこが致命的な場所か?刺したところがカウントされるのか?」「とにかく、心臓、喉、腹部を目がけて刺せ!」
「致命的な場所に刺さったかどうかわからないならもう一度刺せ!」「だめだ!お前が何度も刺すと他の人が刺す場所がなくなる!」
そして白無相の手の中で燃え盛る鬼火が切なく苦しい
(´;ω;`)ウゥゥ
ではまた、しーゆ~
※カバー画像は、weibo思空见贯様よりお借りしました謝謝