▽ 汽笛の後に、車輪の枕木を打つ規則的な音が聞こえてくる。 梅小路公園でステージを望む。左を向けばイルカショーの観覧席が見える。こちらからは水槽は見えないけれど、水面からジャンプしたイルカが、一瞬、こちらに背中を見せる。歓声が上がる。 小さな裸足が水面を勢いよく打つ。風が吹いて、鳥が木の枝から飛び立つ。飛び散った水飛沫が水面をやさしく叩く。遠くで、救急車のサイレンが聞こえる。 ▽ なんとなく音楽を作ったら、子どもの頃によく両親の車で流れていたあの曲と似ていた。なんとなく
週末、ヴィムヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』をみた。 この映画がぼくらの心を掴む理由は、どこにでもあるような日常を、平山(主人公であり、公衆トイレの清掃員)がどのような仕草と表情で受け止めるか、という点。そしてそれを映画で表現することが持つメッセージ性にある。 ①日常を、享受する。 平山は、自分が幸せを感じれることが何かを、自分で分かっている。それは古本屋で1冊ずつ購入し、就寝前に読む本であり、それは起床後の、部屋の苗たちへの霧吹きであり、それは開店と同時
ぼくらはみんな、ぼくら自身の人生を生きて、色んな人と出会い別れ感情を総動員させ、時には写真を撮ったりする。 写真には真っ赤に染まった空やら水平線に沈む夕陽やら視界一面に咲く野花やら青空をバックにした桜 夜の摩天楼 壮大な山々 荘厳な建造物 愛くるしい動物 大切な人たちが写っている。 だれのために、目の前の現実の何を伝えたくて写真を撮ったのか、よく分からない。その写真はきれいだと思うが、ほんとうにきれいなのかと聞かれると、分からない。 ぼくらはみんな、ぼくら自身の人生を生
ぼくは、あなたに言葉を発する。言葉はあなたに届く前にばらばらになり、その一部があなたに届く。 ぼくたちは、トンネルを自転車で通り抜ける。そこでは無機質な音と光だけが許される。ぼくたちはトンネルの中で声を発することができず、自転車の鐘を鳴らす。甲高い音は反響し、ぼくたちの居場所はほとんど分からなくなる。 海には砂浜がない。そこには砂の代わりに岩が続き、そこで波はぼくたちの知らない音を立てている。ぼくたちはこの場所も海と呼ぶことを、事前に約束し合う。 小さな島には貝殻の破片
逃げろ!!!東京が来るぞー!!!! 🗼 年始に andymoriというアーティストの曲をよく聴いていた。andymoriは、世の中への怒りや虚しさを直接的なやり方でセンチメンタルに表現するより、熱狂的にギターをかき鳴らすことで比喩的な世界を創ってしまうことをきっと意図的に選んでいて、こういう2段構えの世界観をもった曲が好きだ。andymoriは、2008年にデビューをして、2014年に解散した。 🗽 最近たくさん食べるのにはまっている。今年は身体を鍛えたい。でも最近は
世はまさに大SNS時代! 人からの共感や羨望が数値に置き換えられ、多くのいいねを獲得するほど強者になることのできるこの時代において、旅行は有効な武器になり得ます。インフルエンサーの発信するコスパよく映える旅行スポットが高速で消費され、来たる次の"現実逃避=自由"に向けて人は再び現実へと帰っていきます。 興味があるのはどこへ行き、どんな美しいものを見たかであって、そこでなにを感じたかは二の次にされます。どこかへ行ったという事実はすぐに共有できるが、そこで何を感じたかを共感さ
ここ最近思いきり不摂生な生活を送っていて夜は長いので何か書くことにした。この文章は誰のために書かれてもいないし〈あなた〉のために書かれている。ここでは独りよがりな妄想が語られているし〈ほんとうのこと〉が試みられている。 "本音と建前"のことをよく考える。ぼくは人一倍その場の空気を読むし気を遣って大袈裟なリアクションもとるし本当は傷ついているのに平気な振りもする。ぼくはそれを、自分の身を削り嘘をつくことでその場をやり過ごしているというよりかは、「自分が他人からどう思われている