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【記者コラム】「共感」

学生時代、筆者は「企業の目的は利潤の追求である」と学習した。

一方で、総合スーパー、ダイエー創業者の中内功氏は1972年に旧三越の売上高を抜いて当時の国内小売業売上高トップになり、「売上高は全てを癒す」と語った。

企業にとって売上高の拡大は当然ながら至上命題である。そのために新規開拓や既存企業の深耕が必要なのは、営業マンなら「いろは」の「い」だが、その契約獲得に必要なのは何か?である。

以前、新潟県十日町市にあるNPO法人越後妻有里山協働機構シニアディレクターの坂口裕昭氏に取材したことがある。坂口氏は東京都在住で東京大学法学部卒の弁護士。四国のプロ野球独立リーグ「四国アイランドリーグ」の球団社長も歴任した人で、現在は「大地の芸術祭」を運営するNPO法人の幹部を務める。

この弁護士曰く、「独立リーグでもNPOでも、よそ者の私たちは結局は地域の人に共感してもらわないと前に進まないんですよ。おじいちゃん、おばあちゃんに教えていただくんです」と。

なるほど、と思った。ある意味では当たり前だが、巷のヒット曲もベストセラーもヒット商品も人気タレントも、この「共感」というワードで読み解くことができるではないか。「必ずヒットする方法」なぞ存在しないのは、マーケティング理論を少し勉強すれば分かることだ。ヒットした後に「あんなに売れるとは思わなかった」と話す担当者のインタビュー記事を何度読んだことか。

全ては時代の風、感覚を掴めるかどうか。極論かもしれないが、筆者は吉本芸人も芥川賞作家もIT起業家も有名ラーメン店主もみな根本は同じだと思っている。世に出るためには、「新しい価値」を提供できるかどうかだと思うのだ。

当然ながら、大企業も最初から大きかったわけではない。あのスティーブ・ジョブズの米国アップル社も最初はガレージからスタートしたのは有名な話だ。取引先や顧客から多くの「共感」を得た結果として、売り上げが拡大したのである。厳しい言い方だが、共感を得られず必要とされなければ、市場(しじょう)から退場を余儀なくされるだけだ。

報道機関として、地域密着型のウェブサイトとして、どう読者のみなさんやクライアントから「共感」を得ていくか。「にいがた経済新聞」は、今後も速報性を駆使した日々のニュースや、独自企画の特集記事などの配信に邁進していきます。

(編集部・梅川康輝)

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