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【記者コラム】インバウンドの街
先月後半、ニセコ蒸溜所が新潟県の花角英世知事を訪問する様子を取材した。同社は新潟を代表する清酒「八海山」をつくる八海醸造のグループ企業。ニセコ蒸溜所では日本酒ではなくジンを製造しており、その「ohoro GIN」シリーズが国際的賞を獲得したことの報告だった。
ニセコ蒸溜所はその名の通り北海道ニセコ町に拠点を置く。八海醸造の南雲二郎代表によると、同地域は寒冷でありながら北海道の他地域よりも冬場の気温が低くなく、ジンの製造に適しているという。
商品の「ohoro GIN」はもちろん、観光の面でもニセコ蒸溜所はすこぶる好調であるという。同所では製造工程の見学が可能なほか、日本の伝統工芸品などを置いたショップも併設している。中には燕三条製の商品も置かれており、「外国人観光客に大人気だ」と南雲代表は知事へ熱く語っていた。
ニセコと言えば、外国人向け、かつ富裕層向けのリゾート地として成功を収めた土地。話に出た燕三条でも、BtoCの企業では最近、インバウンドや高級路線を意識して付加価値の向上に挑んでいる。やはり現在、こうした在り方が一つの潮流になっているのだろう。いまだ続く円安も、またそれを後押しする。
とはいえニセコに続くのは容易ではないし、外国人や外資系リゾートが増えた弊害も聞く。新潟県内のインバウンド施策がどういった方向へ進むのか、注視していきたい。
(編集部・鈴木琢真)
にいがた経済新聞 2024年5月5日 掲載
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