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Pentamerone ~5日物語~ #3
第3日目 たどり着いたらいつも青空(前編)
6年前にここアマトリーチェに到着したときも同じ青空だったことを思い出しました。2016年8月に発生した、イタリア中部地震は、2ヶ月後にも大きな地震が起き被害が拡大。犠牲となった299人のうち、237人がアマトリーチェの住民でした。人口の約半数の千2百人が住む家を失い、その多くが離れた親族などに身を寄せたり、仮設住宅での暮らしを余儀なくされ、発災から2年経った今でも中世の街並みを誇った旧市街中心部はがれきの山で、復興にはほど遠い状況が続いています。
▲ 再開した「Ma-Tru」、旧市街にあったお店に比べてモダンな店構えになりました。
そんな中、旧市街地を通る街道の反対側に新たに造られた商業スペースでは、被災したリストランテのオーナーたちが、寄せられた寄付金を活用して、仮設店舗で営業を再開するなど、活気を取り戻し始めていました。ここで営業するリストランテは8軒。その一角に、今回目指した「Ma-Tru」はありました。かつての石造りの古い店舗の面影は全くなく、仮設とは思えないくらいモダンなお店は、イタリア各地から押し寄せる観光客でごった返していました。
▲ ウンベルト1世通り沿い、旧市街とは反対側に造られた広場を中心に飲食店などの店舗が並びます。
▲ 多くのお客さんで賑わう「Ma-Tru」の店内
▲ 名物のアマトリチャーナ。変わらぬ味がそこにありました。
みんな名物パスタ「アマトリチャーナ」を食べに来た人たち。「色々あっ
たけど、私達は今”Tutto bene” よ(とても上手くいっているわ。)。」と
明るく笑うオーナーシェフ、ダニエーレさんの姪御さん。辛い経験を乗り越えて明るく笑うその表情は、私の網膜にとても眩しく焼付きました。(つづく)