製造業におけるエネルギーコストとカーボンフットプリントの削減:高圧および特別高圧を使用する企業のための戦略
工場などを保有する製造業を営む企業が結ぶ電気契約は、必要な電力が高いこともあり高圧や特別高圧となります。高圧の場合はキュービクルの設置、特別高圧の場合は直接工場に電気を引き込むため、支えの鉄塔を設置するなど設備投資にコストがかかるものの、長期間利用することによって電気料金が安くなるメリットがあります。
しかし、原油・LNG・石炭の価格上昇によって電気料金は高騰化しており、2023年2月~2023年10月まで政府による激変緩和措置によって料金が抑えられるものの、その後は不明、かつ根本的な解決とはいえません。
このような状況を受け、企業は電気料金の低減に向けて何か対策を打つ必要がありますが、どのような対策が考えられているのでしょうか。
現在の電気をめぐる状況
2023年1月末時点までの電気をめぐる状況についてみていきます。
詳しくは別のnoteでも触れているので、そちらもご覧ください。
燃料価格の上昇
1つ目は燃料価格の上昇です。
ご存知の通り、燃料価格は大幅に上がっており、これはロシアによるウクライナ侵攻や円安、新型コロナウイルスの拡大などが影響しています。
天然ガスや石炭などを燃料に使う火力発電は日本の電力構成で76.3%を占めているため、燃料価格が上がると電気料金も上がらざるを得ません。
しかし、そもそも電気価格は3~5ヶ月前の燃料価格が反映されるもので、燃料価格はここ数か月で落ち着きを見せはじめているので、今後は電気料金も下がると見られています。
国内の電力供給力不足
国内の電力供給力が不足する主な理由は、原子力発電所や老朽化した火力発電所の休廃止などが挙げられます。
特に原子力発電を停止したことにより、日本国内で生産し供給する電力の量は2010年から2020年にかけて12.9%減少しています。これは東日本大震災で原発の停止が続いていることが大きな原因です。
また、原油・LNG・石炭の価格上昇が挙げられ、中でも火力発電は老朽化した発電所の休廃止などで規模が縮小しており、脱炭素の動きからも逆行しているため、電力の供給力が不足しており、こ電気料金が高くなってしまうのです。
再生エネ賦課金単価の上昇
政府は、CO2削減と燃料の輸入依存の解消を通じて、脱炭素社会の実現を目指して再生エネルギーの普及を推進してきました。
具体的には、太陽光発電などで生成された電力を、個人や法人問わず「優遇価格」で電力会社が購入する「FIT(固定価格買取制度)」が実施されています。このFITは、再生エネルギーを生産または使用する人だけでなく、すべての電力使用者に徴収されています。2012年に導入された際の1 kWh当たり0.22円から、2022年5月から2023年4月に適用される3.45円まで、10年で15倍以上の値上がりがありました。
この値上がりの背後には、産業用太陽光発電所の増加や他の再生エネルギーの普及が原因となっています。さらに、供給量が不足していて大量生産ができない状況で、蓄電技術も追いついていないため、余った電力を貯めることもできず、高いコストを支払う必要があるという現実から、再生エネルギー費用課金も高くなるのは避けられません。
火力発電によって排出される灰処理
以下は電力会社各社の廃棄物処理費用について議論されている内容を反映した資料です。
火力発電は電子力発電の何倍も処理費用がかかっており、東北電力は年間100億円以上もの処理費用が計上されています。
これは主に石炭火力発電によって生じる灰の処理費用で、安い石炭は灰の処理費用が高くなる傾向のため、調達費用は安く済むものの処理費がかさんでしまいます。
石炭は利用すると、10%前後が灰となってしまいます。これをセメント会社等に売却できることもあれば、処分場への埋め立て処分等を行っていますが、埋立地が灰でいっぱいになってしまうと発電もできなくなってしまうので各社でさまざまな工夫がされているようです。
日本の電源構成における主軸である火力発電は、調達費用が安くなったとしても処理費用が高くなり、その灰も処理する先がなければどうしようもありません。
そこで、カーボン・オフセットへの取り組みと合わせて設備投資をしていく必要があります。
省エネと”カーボン・オフセット”
カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。
燃料価格は私たちにはどうすることもできませんが、電気設備を省エネ化ことで消費電力を減らすことや脱炭素化への貢献、何よりも電気料金を抑えることができるようになります。
消費電力の低減
省エネを行うことで、電力消費量を抑えることが可能です。例えば、設備の改良や新設などを行うことで、電気を効率的に使用することができます。
また、節電のための管理体制を整えることで、定めた目標を達成し、電力消費量を抑えることができます。さらに、再生可能エネルギーを活用することで、省エネを図ることができます。省エネを行うことで、電気を効率的に使用することができ、電力消費量を抑えることができます。
そのため、高圧や特別高圧を扱う企業が省エネに取り組む際には、エネルギー消費量を削減するための設備投資を行うことや、再生可能エネルギーへの投資を検討する必要があります。また、新たなインフラへの投資や発電所の再建、発電量の増加なども検討する必要があります。
たとえば、照明のLED化によって消費電力を大きく低減できるため、電気代を安くすることができます。導入費用と合わせても、電気料金は従来のままながらも工場やオフィスが明るくなり、消費電力を低く抑えることが可能です。
脱炭素化への貢献
消費電力を低くすることで、火力発電や原子力発電などの炭素負荷の高い電力発電を減らし、再生可能エネルギーなどの炭素負荷の低い電力発電を増加させることができます。これにより、二酸化炭素の排出量が劇的に減少し、安定した環境への貢献が期待できます。
さらに、再生可能エネルギーを活用することで、二酸化炭素排出量をさらに低減させて、温室効果ガス排出を抑制することが可能です。その結果、環境への負荷を軽減し、環境保全に貢献することが期待できます。
再生可能エネルギーの導入の中でも、自家消費型太陽光発電もその一つです。
自家消費型の太陽光発電の最も大きなメリットは電気料金が削減できる点ですが、同時に「CO2削減」もできるため脱炭素化にも貢献することが可能となります。
まとめ
上記で述べたように電気料金の高騰は、原油・LNG・石炭の価格上昇や、原子力発電所や老朽化した火力発電所の休廃止による国内の電力供給力不足、そして再生エネルギー発電促進のための賦課金の上昇などによるものです。
世界情勢や燃料価格に関して個人や法人ができることはありませんが、消費電力を抑えるための設備投資を行うことや再生エネルギーによる自家発電の導入など、対策として取れる手段は確実に存在します。
それら、エネルギーにまつわる統合的なご相談や、上記の内容を踏まえて「詳細について知りたい」「契約する際に試算してもらいたい」といった現状把握と試算を合わせて無料診断など、ぜひお力になれると思いますのでお気軽にご相談ください!
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