日本酒紀『沖縄・泡盛旅〜忠孝酒造〜』
日本酒紀5本目は泡盛の酒蔵「忠孝酒造」さんのご紹介。
日本酒の酒蔵さんへは100蔵以上訪問させていただきましたが、本格焼酎・泡盛も大好きで、今年5月から「焼酎ナビゲーター」という焼酎ビギナー向け資格の認定講座もスタートさせました。
その手前に本格焼酎・泡盛の産地である九州、沖縄の酒蔵さんを巡って見て食べて飲んで、生きた情報をインプット。
国内外から人気の観光地でもある沖縄。いうまでもなく独自の歴史、食、酒の魅力が詰まった島。
本島離島含めて沖縄県全体に泡盛の酒蔵があるため、車がないと自由自在な泡盛蔵見学ツアーは難しいと思いますが、姉が沖縄在住のためハンドルキーパーを引き受けてくれ、沖縄本島内を色々と巡ることができました。
沖縄を訪れたのは今年2月の上旬。本州の日本酒蔵でいうと蔵内の気温は一桁、最も寒い時期に仕込む大吟醸が完成するようなタイミングで、すごく張り詰めた空気と冷気が蔵に漂います。
しかしそこは南国沖縄。那覇空港に到着した時点で気温は20度ほど。アウターいらず、昼間は半袖でもいいくらいの気候。いくつかの酒蔵さんを見学する中で2月でも半ズボンで仕事をする蔵人さんがいらっしゃり、本州の日本酒蔵とのギャップに驚きつつも「これぞ酒旅の意味!」とニンマリ。日本列島は広い。
日本酒とは使う麹菌の種類も違えば、醸造酒よりも保存の安全性が高い蒸留酒・泡盛が定着するのも納得。
「忠孝」「よっかこうじ」などで有名な忠孝酒造さん(豊見城市)は空港から車で15分ほどで行ける立地で見学も可能なため観光客にも人気。
こちらがすごいのは「蔵元でありながら窯元でもある世界で唯一の酒蔵」であること。
「琉球城焼」という上質な焼き締めの甕を叩くと、土製の甕なのに「キンキン!」と金属音が鳴るんです。この甕で貯蔵された泡盛は見事にマイルドに変化し、素晴らしい香味を生み出します。見た目から美しい!すごいクオリティ。
講座で喋ることや漫才のネタにも活かすために酵母や甕の貯蔵について聞きたかったことをあれやこれやとスタッフさんにしつこく聞く僕を(スタッフのお姉さんごめんなさい)ニコニコと眺めてらっしゃったおじさまがいらっしゃいました。
その方はなんと忠孝酒造の会長さんで「あなた詳しいねぇ」と気さくに話しかけてくださって会長との会話も楽しめました。
泡盛の歴史は600年近くと長いですが、琉球王朝時代、高い身分の人しか飲めない時代が長かったり、第二次大戦中にほとんどの古酒の甕が割れて失われたりと厳しい歴史も抱えています。
泡盛の造り手・飲み手は戦後に力強く歩みを進めてこられたのです。
その中で自社で甕まで作る忠孝酒造さんのバイタリティに乾杯!
現地に赴き造り手さんとお会いして、気候風土、歴史なんかも知られる酒旅は僕の一生の趣味・仕事。
好きなお酒をより美味しく飲むことができるんだから。良い泡盛の古酒のようにマイルドなおじさんを目指す!
豚肉や鰹出汁がよく使われる沖縄料理大好きなのですがこの日初体験の「骨汁」。こういう食体験も最高!(沖縄の人は普段そんなに食べるものではないそうですが、そんなことはおかまいなし)
沖縄そばのスープを作るために毎日大量の豚ガラが使用され、その出し殻を再利用して汁物に仕立てたという、もったいない精神と美味しさが両立した料理。骨まわりのお肉の旨味がすごく、お出汁も旨味炸裂!しかも後味はしつこくなくあっさりと食べ進められる。美味しかったなぁ。
こういう沖縄料理と泡盛を合わせると絶対最高さー!