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『異境備忘録』の研究(28) -神仙界の養生法- ●

#00343 2015.3.10

「明治八年二月二十日、玄丹先生に伴はれて日向の高千穂峰に登る。この時、三十四符を受く(天満宮の楼門より行く)。この山、八合より上、大熱大風し上るべからず。雄黄(いおう)臭ふ。匍蔔(はらばい)して上る。谿水(けいすい)雷の如し。御天上に登る。こゝに鉾あり。所謂(いわゆる)逆鉾(さかほこ)なり。この傍、赤色神忽(たちま)ち顕れ忽ち隠る。この辺りにて総て言語を止めらる。降りて山の中腹に至る。こゝに穴あり。この穴に入りて暫く休(いこ)ふ。
 この時玄丹先生より、この山に上る者多く帰る事なし。故はこの山路刃(やいば)の如くなる所凡そ十丁ばかりもあり。こゝをはらばひして上る時、熱気のために閉息して死し、或は風にまかれて谿中に入りて命を失ふあり。故に帰らざるなり。
 この夜は明け方に川原に帰る。この夜、高千穂の穴中に符あり。即ち大神長命符、大神迎車符、大神八陰符。合して三十四符あり。これを受く。」(『幽界記』)

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