『仙境異聞』の研究(9) -人や鳥獣の魂の行方- ●
#00144 2011.12.14
平田先生「人の魂の行方はどのようになるのかを師に聞いたことはないか。」
寅吉「まず人の魂は、善にも悪にも凝り固まりますので、固まって消えることなく、中でも悪念が凝結した魂は、消える期(とき)なく、妖魔の群れに入って永く神明の罰を受け、善念が凝結した魂は、神明の恵みを受けて無窮に世を守る神となります。
しかしながら、善念は崩れやすく、悪念は崩れ難いものであるため、善念は生涯をかけて固めなければ凝結しません。悪念はわずかの間思ったことでも凝結して消えません。たとえていえば、一分の悪念によって九分の善念も水の泡となってしまいます。
善にも悪にも凝結するほどのことがない人の魂は、散じて消えることもあり、同じような魂が相(あい)混じり合い、人にもその他のものにも生まれ出ることがあります。また、無数の小さなものにも、一つの個体にも生まれ変わりますが、やがて魂も減って小さくなると師に聞きました。」
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