見出し画像

『仙境異聞』の研究(4) -産土神のこと- ●

#00139 2011.11.16

平田先生「去年のことだが、淡路国に鴈金屋(かりがねや)何某(なにがし)という者がおり、かねてから金比羅神を信仰していたが、大金を懐(ふところ)にして五、六人の男たちを連れて舟に乗って大阪に渡ろうと漕ぎ出したところ、海上で男たちが主人を殺して大金を奪おうと謀って主人を縛り上げ、碇(いかり)をつけて海に沈めてしまった。
 しかし沈められたまさにその時刻に、主人は家の奥の間に碇をつけられたまま帰された。家の者たちがそれを見て大いに驚き、その理由を尋ねたところ、主人は気を失っていたようで、ここはどこだといった。家の者たちが、ここは自宅ですから心を静めて下さいと介抱したところ、しばらくして正気に戻り、何があったかを語った。

ここから先は

1,841字
この記事のみ ¥ 300
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?