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『異境備忘録』の研究(31) -手箱仙境- ●

#00346 2015.3.28

「明治九年九月二十八日、海神龍飛太上仙君に伴はれて○○○(手箱山麓大滝の西)に至る。この所八方に大山を列す。その中に舞曲台と云ふ四角の大石あり。その上は天仙の女の舞ふ所なり。この日その天女の舞を見るに、台石の八方に神仙等列座して八丈笛、琴、鼓等を以て音楽す。天女二人その石上に風令と云ふ物を以て座す。
 まず東方より、山高うして白雲掩(おお)ふと謡ふ。次に又西方より、松静かにして五龍眠ると謡ふ。次に又南方より、山間雲起こらば五龍出ずと謡ふ。次に又北方より、山上雲無ければ白鳳舞ふと謡ひ終りて二人の仙女、如鳳如龍上天の曲と云ひて座を立ち、左右に別れて舞ひ初める。その舞は空へ昇り或(あるい)は又石台に降る。実に妙舞なり。」(『幽界記』)

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