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日本一危ない国宝「投入堂」と、世界屈指のラドン泉「三朝温泉」の秘密

日本遺産普及協会では定期的に日本遺産に認定されているストーリーの知識を深め、地域の取り組みについて知るための機会として「日本遺産勉強会」を開催しています。10月の勉強会テーマは、日本一危ない国宝鑑賞と呼ばれる投入堂と三朝温泉で構成される鳥取県三朝町の日本遺産「六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~」でした。

今回は、三朝町日本遺産活用推進協議会事務局の藤井紀好さんにお話しいただきました。その一部を要約してお届けします。

日本遺産としての認定

まず最初に、本日本遺産の認定状況と概要についてお話いただきました。

「日本遺産には104の認定がありますが、その中でも私たちは日本遺産認定の初年度である平成27年度に認定を受けた18の団体のひとつです。現在は条件付の継続認定という形で、年内までに認定が正式に継続するか決定される状況です」

『六根清浄と六感治癒の地』という名前がついていますが、これは五感と心を清め、癒すという意味です。写真に写っているのは、三朝温泉を代表する露天風呂である『河原風呂』(左)と鳥取県唯一の国宝である『投入堂』(右)です。日本遺産のストーリーは『山岳修験道の聖地 三徳山』『三徳山参詣の拠点を担った三朝温泉』の二つの伝承を紡いだものとなっています」

河原風呂(左)と投入堂(右)

伝承として伝わる三徳山と「六根清浄」

三徳山の参詣

国宝である投入堂は、三徳山の中腹にあります。参詣のルートは、奥の院と境内地に分かれており、奥の院の行者道に沿う複数のお堂を通過し、最終的に投入堂に到達できます。この行者道には、カズラ坂やクサリ坂といった難所が複数あります。大変危険であるため、必ず2人以上で登ることをルールとしています。また、天候によって参詣が閉鎖となることもあります」

「六根清浄」が持つ魅力

「投入堂が持つ自然空間と融合した独創的な建築美は、日本人の持つ伝統的な美意識を象徴しています。この投入堂を参拝するという非日常体験で得られる感動を通して三徳山では心が洗われます」

「六根清浄」が持つ魅力

伝承として伝わる三朝温泉と「六感治癒」

三朝温泉

「現在は旅館が22件あります。4件の登録有形文化財と重要無形民俗文化財である『三朝の大綱引き ジンショ』が三朝温泉街の小さな面積の中に密集して存在しており、飲泉や足湯もあります。また、三朝温泉は放射能泉という、泉温が高くラドン濃度が高い温泉地の日本代表であり、世界的にも貴重な温泉地なのです。ここでは、泥に温泉を混ぜて湿布として使用していた鉱泥湿布や、岡山大学が温泉を活用して行っていた治療法である熱気浴を体験することができます」

三朝温泉のいろいろな資源

「さらに、三朝には国内唯一のヴァイオリンの美術館があります。食に関して言えば、牛骨ラーメン・納豆・ヨーグルト・甘酒が特産品です。温泉を活用したミストなども開発がされており、全てが三朝温泉の重要な資源であります」

「六感治癒」が持つ魅力

「三朝温泉は、湯治から発展した三徳山の拠点であり、希少な泉質を活かした温泉文化により六感を癒します。この「六感治癒」の効果が三徳山での参拝で得られる「六根清浄」と融合し、ともに非日常である体験が日常生活との対比として際立ち、ストーリーを紡いでいるのです」

「『三朝』の由来は、『三日目の朝にはどんな病も治る』と言われていたことにあります。ぜひ一日と言わず、連泊をしていただくことで三朝温泉と三徳山の地でしかできない魅力を体験していただきたいです」

「六感治癒」が持つ魅力
「三朝温泉と三徳山の強い関係性」=ストーリーの掟

「日本遺産」としてのこれからの取り組み

「3年程前から日本遺産としての継続が再審査という状況であったことから、今後も日本遺産として発信し続けられるように様々な取り組みを行ってきました。地元の学校等でお話をしたり、大学との連携事業を行っています。また、地域内外での普及啓発活動を行ってきました。今後、観光客にとっての訪れる価値を高めるためにも、経済の活性化等に力を入れていく予定です」

投入堂の秘密


「投入堂は、収容する複数の仏像の年代が異なることから、段階を経て建てられた建造物であると考えられています。現代における修復工事では、投入堂を囲む形で組む足場のための資材を運ぶために、モノレールを作りました。このモノレールを作る費用は、投入堂の屋根の修理費用を上回りました」

(おまけ)レッツトライ♪三朝町の日本遺産クイズ

勉強会では、最後に三朝町に関する3つの日本遺産クイズが出題されました。ここではそのうちひとつを紹介します!

Q. 三朝温泉に伝わる「白狼(はくろう)伝説」で、大久保左馬之祐(おおくぼさまのすけ)が見逃した年老いた白い狼を助けたことで、妙見菩薩(みょうけんぼさつ)が夢に現れ、白狼を助けた礼に「源泉が湧き出る場所」を教えました。こうして三朝温泉の起源となったのが、○○です。

選択肢:
①株湯(かぶゆ)
②三朝の湯(みささのゆ)
③河原風呂(かわらぶろ)

A. 答えは、①の株湯でした!

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