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#71 対話で築く信頼関係【日本語教師・箱田美里さん・日本】
放送は▼こちらから▼聞くことができます!
https://stand.fm/episodes/675d912911fa3e37bdb62001
みなさん、こんにちは。『うれしい たのしい 日本語 さいちゃんねる』日本語教師の さいとう あきひと です。この番組は日本語を勉強している人と日本に関わるすべての人にお送りしています。
はい、12月になりました。今年最後のゲストをお迎えしました。 日本語教師の箱田美里(はこだ みさと)さんです。こんにちは。
こんにちは。よろしくお願いします。
日本語教師。
やっとデビューってなりました。
やっとっていうか、もう、すぐですよ。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。箱田さんは1月に今年最初のゲストでこの番組に遊びに来てくださいまして、 その節はありがとうございました。
こちらこそとても楽しかったので、また。
本当に2024年の最初の番組からフレッシュな風を吹かせていただきました。そしてフレッシュに締めるという、そういう企(たくら)みでございます。 去年も最初の1月のゲストで来てくれた韓国の、その時大学院生だったパクソンジュ君っていう学生が来てくださって、 12月の終わりに答え合わせじゃないけど、結局1年どうだった?みたいな話をしたんですけど、 なんかその流れがすごく良かったし、「あ、そうだ。今年の1月は箱田さんだった」と思って、またフレッシュに締めようと思って。
はい、頑張っていろいろお話しさせていただきます。
普段通りで全然。 答え合わせっていうか、あの時お話ししてくださってたことが1年どうだったかな?みたいなので、 伺えたらいうれしいなと思って、忙しい最中(さなか)呼んじゃいました。
いえいえいえ、私自身も思い出しながら、ちょっといろいろお話できたらなと思います。
改めてあの放送を、1月の放送ちょっと聞いてみたりしたんですけど、 あの時日本語教師になる前のお話、 学生さんだった時にね、中国でいろいろ取り組みをされたっていうお話から、 日本語教師になるために養成課程ですよね、あの時。 養成講座通われてて、もうすぐ終わりなんだっていう時でしたよね、確か。
そうです。
そして日本語教師として今はもうお仕事をされているということで、おめでとうございます。
ありがとうございます。
結局何月からスタートされたんですか?
養成講座が2月末に終わりまして、3月に学校に入職して、 4月から担任を持たせていただいてます。
じゃ、早速、担任の先生なんですね。
そうですね、もう1人、2人体制で、ちょっと初めてだったので、最初5か月間はさせていただいて、 10月からは1人で担任させていただいているという形です。
ああ、そうですか。じゃ今は日本語学校の専任の先生をされている、ということですよね。
今、実際、働いてみていかがですか?
そうですね、もともと日本語学校の事務をしたりとか、 中国でも少しだけ日本語を教えるということをしたことがあったので、 なんとなく入りやすさ、こういう流れだよね、学校の流れとかが分かっているのはあったので、 それはすごく入りやすかったなというところはありつつ、 ただ実際に学生に関わっていくというふうになると、本当にいろんな学生さんがいて、 大変な面とか、いろんな日々出来事があるなと思いながら仕事をさせていただいています。
今、その大変な面というのは、どういうところで大変さを感じていますか?
そうですね、いくつかあるんですけど、私自身がまず今上級のクラス、2クラス担任をさせていただいていて。
2つ担任をやっているんですか?
そうです。
40人の学生を受け持っているんですけど。
合計っていうことですよね。
そうですね、上級となるとみんなN1を目指している学生になるので、 本当に新聞記事の読解とか、ニュースだったり、専門的な内容とかも読めたり聞いたりして、 わかるようにそういうのを教えたりもしますし、 大学に向けてプレゼンテーションとかグループディスカッションとか、 そういうことができるようにということで教えていて、 これは大変でもありつつ、楽しみながら私はやっているなというところがあって。あと、もう一つ大変だなと思うことは、やっぱり学生のモチベーションを維持(いじ)していくっていうのがすごく大変だなというふうに思って。大学に行く、入学するために日本語がいるから勉強するっていう目的の学生さんが多くて、 普段の何気(なにげ)ない会話の授業だったりとか、 文法の授業とかあんまり必要ないよねっていう感じみたいな。
大学受験に受かればそれでいいから、それに特化した授業をやってくれっていう感じなんですか?
そうですね、あとはEJUの日本語で、もう自分の目標スコア取れてるから、 あとは自分の文系なり理系なりの勉強したいから、日本語の勉強はいいみたいな。
ちょっと授業中に内職が。お忙しい人とかも。そうなんですね。 そういう時ってどういう対応されるんですか? 内職の人は。
なんか、最初の時は注意するんですけど、聞かないんですよね。 私の学校はスマートフォンを授業の開始に提出しないといけないっていうルールがあって、でもみなさんスマホ2台持ち、3台持ち。
そうですよね。
あとやっぱり内職したりするっていうところで、ルールだからちゃんと守りましょうって言って、一回一回注意をしても聞かないっていう状況になった時に、 すごくあきらめの気持ちが出てきちゃったんですよね。 注意しても聞かないのも自己責任だよねっていう気持ちになってた時期が 夏ぐらいに…なってた時に、だんだん学生が授業内で言うこと聞かなくなってきちゃって、 授業中おしゃべりがすごくなってしまって、私の声が全く通らない状況になって。
『ごくせん』みたいになっちゃった。「おめーら」って。
その時にすごく私びっくりしちゃって、聞いてもらえないと思って。
ギャップですね、なる前となった後。
そうですね、それですごく驚いて。 私の授業が良くないのかな、面白くないのかなとか、 すごく悪い方向に自分自身もとらえてしまって。
思っちゃいますよね。
すごく授業をするのが億劫(おっくう)になるというか。 今日も学校に行って授業しないといけないんだっていう。
最初の頃ね、そういうのわかります。
そういう気持ちになってたんですけど、 学生さん、勉強以外に他に違う勉強やりたいとか、 ゲームしたい、遊びたいとか、いろんな気持ちはある。 もちろん楽しいことしたいという気持ちはわかるし、 でもやっぱりこう、せっかく日本に来て、 勉強できる環境があるからこそ、 少しでもそこに前向きに向かえるように、 どう関わっていったらいいんだろうって、なんかこう、聞いてもらえるか聞いてもらえないかというところじゃなくて、 学生さんがより前向きに授業に取り組むようになるには、どうしたらいいんだろうっていうふうに考え方が、でも変わるきっかけになったんですよね。 聞いてもらえないという状況に。 そういうところから、そうですね、私けっこう怒るとか、 そういうことが苦手、あんまりできないと思ったので、 一対一で話そうって思って。 どうして授業に集中できないんだろうねっていう。 やっぱり一対一で対話をしていくっていうことをすると、 やっぱり学生の受験に対する焦(あせ)りがあったりとか、 あと授業が簡単すぎてつまらないと思ってる学生がいたりとか、 ただ表面上だけじゃなくて、学生の考えとか、 普段どういう生活をしてるとか、いろんなことがわかってくる。 人間関係もできてきて、私の授業を聞かないクラス全体っていう見え方から、 一人一人の様子が見えるようになる。 そこから一人一人ずつ授業も私自身も楽しくできるようになったし、 授業聞いてもらえないという状況になっても、心が動じなくなって。
あの理由か、みたいな。
そうですね。 はい。っていうところで、だいぶ今は楽しく授業ができてるなっていう。
じゃ、学生も箱田先生の授業を聞いてくれるようになったりとか、以前より。
そうですね。 聞いてもらえないときは理由をちゃんと聞きに行って。
お互いにわかってるから。家族とか親友とかになると、そういうとこあるじゃないですか。 わかってるけどやっちゃうみたいな。 理由がわかってないときよりは、もう解決しやすいから、向こうも「ごめんごめん」みたいな感じかな。 そうやって信頼関係ってできていくのかもしれないですね。
そうですね。
箱田マジックですね。 学生が箱田マジックにかかりました。
1月にお話ししてくださってた時も、 中国でご自分で企画とかアイデアを出して、 地域のための交流をしたりとか、 そこで一対一の交流が生まれたりとか、 お話ししてくださったじゃないですか。 やっぱりそういうご経験とか、箱田さんの人柄が、 そうやって問題解消につながってるんだなって思いました。 そういうことも楽しめてそうな気がします。 箱田さんって。
んー、そうですね。確かに。 授業聞いてもらえない学級崩壊(ほうかい)みたいな感じだからこそ、一人一人のことをもっと知ろうとか、 関係性を作っていきたいっていうふうな、より変わることができたので、それがあったからこそ、より学生さんたちとの関係づくりができたかなっていう。
すてきですよね。なんかそういうことって、わりと少なくないと思うんですよ、そういう経験される先生って。まあ、いろんな人間の集合体だし、クラスって。でもそこで「なんだよ、こいつら」ってなって終わるタイプと、箱田さんみたいに 自分に矢印を向けてみるとか、そこから相手に矢印をもう一度向け直してみるとか できる人、できる先生って、すごく今後が変わる気がしますよね。だから箱田さんがそういう解決をされたというのは すごくわかります 。
斉藤先生もそういうご経験ありますか?
ありますね、崩壊みたいなことにはなったことはない、たぶんない、自分が気づいてなかっただけ、 一緒に崩壊してたのかもしれない。じゃあ話そうぜ、みたいな。なってたのかもしれないけど、ありますね。でもそういう時は自然にやっぱり箱田さんが言ってたように、なんでなんだろう?と思うタイプなんですよ、僕も。何話してるんだろう?とか、知りたいみたいな。
ああ、いいですね、それ。
すぐ首、突(つ)っ込んじゃう。「ちょっと日本語でお願いしますわ」みたいな。向こうも「日本語できない」みたいな。「じゃちょっと寂しいからやめてほしい」って。
ああ、いいですね。
なんか心理学かな、アイメッセージっていうのが すごく効くっていうのを聞いて。
自分の気持ちとかを伝える。
ああ、そうそうそう。最初そういうのって逆効果なのかなと思ってたんですよ。お前の気持ちなんて知らねえわとか思われるんじゃないかなと思って。でも、「あなたがそれをすると私はうれしい」とか「あなたがそれしちゃうと私はすごく寂しいと思うんだ」とか そういうのってすごい共感につながるからいいって聞いて、じゃ、まあまあ正しいことをやってたんだと思ったんですよ、その時に。
そうですね。けっこう日本語教育とか 日本語教育能力検定試験とかの勉強するとき、そういうのって 授業で学生との関わり方って出てきて 私自身もけっこう、だから最近は「それ、されると悲しい気持ちがします」って。
いいと思います。
なんかその、ダメだよって、ただルールを押し付けるのだと、やっぱり反発されてしまうので「私がこういう気持ちになるからやめてほしいんだ」っていうことを伝えるようにすると より相手も受け入れやすいんだなってことが。
そうですね。確かに逆に自分もそう言われると この人そういう気持ちだったんだって。それはなんでなのかな?とか逆に思ったりできるから やっぱりいいんですかね。あと箱田さんがおっしゃってた、理由とか、学生が今何を目的としてるかとか やっぱりそういうのを知るのはすごく大切だと思うし、対学生だけじゃなくて人間関係において、すごいそうだなって僕はこの仕事をして学びました、そういうところ。なんか絶対理由があると思うんですよ。人が何かをするときって それは本人は気づいてないことかもしれないけど、 なんか理由があるから。
確かに学生がどうしてそういう行動をとってしまうのかっていうところの理由を知ると、さっきもちょっとお話に出てきたんですけど やっぱり私自身が何かトラブルが起きても動じなくなる。こういう理由とか、こういう思いがあって今こういうふうになっちゃってるから、じゃそこを解決すればいいんだっていうところが 見えるので。なんでただ騒ぐっていうところだけだとやっぱり 自分の感情に飲まれてしまうので、そうじゃないというところがわかると 大きいなっていうところと、あと、もう一つ今思ったことが、やっぱりこう私自身のこの今やってる授業の目的とか、あと学生さんの授業に向かう目的とか目標が近くなるといいっていうふうに思っていて。この授業をやっている意味っていうところが学生に伝わっていない状況だと、やっぱり学生さんも「いや、もういいよ」っていう感じで。
伝わっちゃいますよね、そういうのとかも。
そうですよね。だから私自身も毎回の授業でしっかり目的意識を持って 学生さんにもそれを共有して っていうところがよりできるといいかなっていうふうに。
素晴らしいです。最初の頃そういうの全然自分はできてなかったなと思うんですよ。目的とかね。なんかなすがままにやってたと思うんですけど。でもやっぱりそういうの大事ですよね、本当に。
そういう動機付けが難しい授業とかもありますか?
ありますね。
でもそういう時でも何かをやっぱり自分で見出して やる感じですかね、学生に対して。
そうですね。あと授業で科目と使わないといけない教材は決まってるんですけど、これをどうアレンジしていくか、学生さんが興味を持てるようにとか っていうところで 私自身も目的意識を持てるような授業になるように。
腕が必要。そこで料理人の腕が試される 「この食材でかー」みたいなね。そういうのありますよね。
ありますね。
でもすごいわかる。そういうところが面白さでもあったりはしますが。
1月にお話ししてくださった時に ピアラーニングとか学生主体でやっていく授業がすごく楽しく感じるって 実習でされた時の経験から話してくださったんですけど 今そういう活動ってできるんですか?学校で。
はい。
おお、そういう授業があるんですか?
授業があるというか、科目とかは全て決まっていて、本当にもう文法とか文字語彙とか、本当に決まってるんですけど その中で私自身の授業のモットーというか 目的として 自分自身が楽しく体験的に 日本のことと日本語を勉強できることが大切だなというふうに思って、学生と関わっていく中で けっこうグループワークとかチームワークとか 仲間と協力するということが苦手な学生さんが私のクラスにいるんですね。なので、できるだけグループワークとかチームで発表したり 体験学習をしてみたりとか 毎授業のように、やってます。
そういうことを取り入れられる時間があるんですね 授業の中で。
カリキュラムとかは全部私が決めて 教材だけは指定があるんですけど。活動ではこれをしようとか 全部自分で決めることができる。
そういうピアラーニングがしやすい教材なんですか?それって。
えーと、今使っているのは 『時代を読み解く上級日本語』っていう新聞記事とかの教科書と『日本語生中継』の中上級と、あと『 アカデミックジャパニーズ』で、どこにグループワークを入れようかっていう。
けっこうそういう活動の方がいいですよね。先生がずっと一方的にこう言って、学生がちょっとだけ質問に答えるとかよりは。
そうです、そうです。できるだけ『時代を読み解くー』だったら 読んだ新聞記事に関して 討論(とうろん)をしてみようとか グループで調べて プレゼンテーションしてみようとか。
いいですね。むしろそういう活動のための教材というか。
そうですね。
じゃ、箱田さんピッタリですね、そういう授業。
合ってますよね。自分でそういう希望を出せたんですか? 上級でそういうことやりたいとか。
そうですね なんとなく 教務主任には 最初中上級スタートだったので このまま上級を 一緒にこのクラスと上がりたいです と言いました。
箱田さん、どのレベルでも できるって思うんですけど。せっかくそういうご希望があったから いいですね、そういうクラスになれると。
そうですね。
あとけっこう校外学習とかも。ちょうどこの間 上野(うえの)と浅草(あさくさ)で グループでウォークラリーをするというのを 企画をして。各ポイントが指定されていて 必ずグループ全員で写真を撮らないといけない。
楽しそう。
ウォークラリーのポイントに クイズをいくつか 場所に関する歴史や文化に関する 問題をいくつか用意しておいて 解いてもらってっていう、 やってもらいました。
それはじゃ、授業時間内に半日とかでですか。
そうです、半日で。
面白いですね。事前準備とか大変じゃなかったですか。
そうですね。私の学校はほぼ残業はないんですけど それは自分で勝手に。
でもなんか ちょっとなんていうのかな、趣味と お仕事の境界線というか そういうところもあるんですかね。
けっこう好きでやってるところはあるので。下見とか行って。
やっぱ苦痛じゃないのはいいですよね。自分の勉強にもなりますしね。そういうのって。楽しそう。そういう授業準備いいですね。なんか趣味も兼(か)ねられるというか、自分も。学生も楽しんでいました?
学生がすごく楽しんでくれて。
うれしい。
上級クラスの学生が こういうところ校外学習行ったよって他の レベルの学生にも話したみたいで、「このレベルはいかないんですか」みたいになったっていうのを聞いて。
してやったり。
そんなに楽しんでもらえたんだなと思って。良かったなって。
最初のほうのお話で 学生が大学進学とかに 特化した受験の勉強とか そういうのをやりたいっていう 学生も多いっておっしゃってましたけど、でもそういう授業はやっぱりどの学生も楽しめるんですね。
そうですね。毎回こう、学期ごとに どういう授業をしたいかとか どういう授業が逆に楽しかったかっていうのを アンケートをとっていて、で、やっぱりもっと体験的な校外学習に行ったりとか 日本の文化を知れるような活動という答えがけっこうあって、じゃそれはできるだけ取り入れたほうがいいと思って。
そうですね。
その会話とか学生のグループワークとか そういう授業は学生の意識はどうなんですか?
そうですね。こう、前向きに取り組める学生もいれば苦手意識があって 全然グループの話し合いに入らない学生もいて。 でもそれは一人一人に私自身も声かけをしつつ いろんなメンバーで組んでみたりとかしつつ。 得意な子が苦手な子がフォローできるようにとか 工夫をしながら今、試行している段階。
じゃ、私はEJUをやりたいとか受験で理系の勉強をやりたいのに どうしてこんな授業をしないといけないんだっていう人もいるんですか?
そうですね。でもグループワークになると、友達と例えば10分間 テーマは決められてるけど一緒に話しながらできるということで 授業を受けるという時よりは、わりとモチベーションは上がる。
そうですか。おもしろいですね。やっぱり授業中にEJUとか受験の勉強だけをやりたいんだっていうわけじゃないってことですよね。
そうですね、確かに。そうですね。
なんかすごい気づきがありますね。いいですね、そういう活動。
楽しいですか?お仕事、じゃ。
今すごく楽しくさせていただいてますね。
それが一番ですね。
今後、今日本語学校の専任として働かれてますけど 今後こうしていきたいとかそういうのはあるんですか。
そうですね。海外で日本語教師をしてみたいなという思いがあるのと 海外の大学院で勉強したいなという思いがあって、それを実現したいっていう。
どこの国で、とかいうのもあるんですか?
そうですね。私はどこでも行ける。日本語教師をするっていうことは要望があるところ、どこでも行けるなと。
もう呼んでくれたら行くぞって。頼もしい。そうですか。じゃ、これからのこともまだまだ将来がある先生なので 楽しみですね。ありがとうございます。
いつも番組の最後にリスナーの皆さんにおすすめの音楽とか曲を紹介していただいてるんですけど、今回もお願いします。
Mrs. GREEN APPLEの『ケセラセラ』でお願いします。
いい曲です。これは去年の12月31日の「レコード大賞」っていう番組が日本であるんですけど その大賞の曲でしたね。なぜこの曲を選ばれたんですか?
この曲は実は、斉藤(さいとう)先生を見習って 日本語学校の授業の休み時間に 日本の今、流行(はや)っている曲のトップ50をずっともうリピートで流して。
トップ50を。どっかのラジオ局みたいですね。J-WAVEとかの「カウントダウン」。
そうですね。けっこう学生でも好きな曲とか流れると口ずさんだりとか。
そういうの、うれしいですよね。
話の会話が生まれたりするっていうところもあって。『ケセラセラ』が流れてくると、けっこう私は元気になる。Mrs. GREEN APPLEって私あんまり聞いたことはなかったんですけど すごくいつも流れてきて元気になるっていうところで。
めちゃくちゃ今、流行(はや)ってますもんね。
そうですよね。聞かれてパッと思いついた曲がこれだったので。
あ、はい。これ聞くことがやっぱり多いから。僕もラジオとか聞きながら作業したりとかすること多いですけど、けっこう流れますしね。『ケセラセラ』ってスペイン語らしいですね。
うん、「なんとかなるさ」
「なんとかなるさ」っていう。ヒッチコックの、映画監督(かんとく)の ヒッチコックの映画で使われたタイトル、歌のタイトルが「ケセラセラ」っていう曲で そこから浸透(しんとう)した言葉って ウィキペディアに出てました。
知らなかった。
何が語源なんだろうと思ってちょっと見てみたんですけど。
特にこの曲のこの部分が好き、とかあるんですか?
限界を超えたりとか、なんかうまくいかなくても 大丈夫オーライオーライ、みたいな感じで励(はで)ます曲なんですよね。そこのやっぱり何だろう、歌詞もすごくいいし、やっぱりあの曲調もすごく明るくて、こう元気になる。
なりますよね。「ケセラセラ 今日も唱える 限界 上等」っていう歌詞があります。
やってやるんだっていう歌詞ですよね。
サビの最後の「生まれ変わるならまた私だね」っていう歌詞があって。
あーいいですね。
「生まれ変わるならまた私だね」って言う。そう言い切れる人生ってすごいなって思ったんですよ。 自分がいいですか?生まれ変わるなら。また私だねですか?
ええー。
なんかちょっと考えますよね。
そうですね。あとやっぱりその70、80までになってやっと言えるかなと思います。 答えが。 こういう人生、いろいろあったけど、こういう人生良かったって思える人生を、また私だねって言える人生を今から作っていきたいなと。
すてきです。なんかこれって、また私に生まれ変わりたいって言えるのも前向きだと思うし、言えなくても前向きな言えない気持ちってあると思うんですよ。 なんか私は私の人生ですごいやり切って良かったから、次はなんか新しい人生としてまた生きてみたいとか、そういう気持ちもあるから、また私だねって言える言えないで前向きかどうかっていうのは判断できないかなと思うんですけど。 でもこの歌ってそのケセラセラな気持ちだから、そういう気持ちでまた私に生まれ変わりたいっていうのはすごい明るくていいなって思います。
ああ、そうですね。
歌詞の中にやっぱり後ろ向きな気持ちを歌っている部分もあるから、なんかちょっと重く歌うなら重く歌えそうな気持ちでもあると思うんですけど。
そうですよね。けっこうこう、「痛み止めを飲んでも消えない胸のズキズキが」。
けっこう深いですよね。
歌詞しっかり読むと。
「あなたの幸せを分けてほしい」とかね。そういう気持ちも歌っているから、なんか暗く歌おうと思えば暗く深くなると思うんですが、それをこうバットで、かっ飛ばすみたいな。 爽快な感じですよね。
なんかこの時代にMrs. GREEN APPLEいっぱい聞かれるのってそういうところかなと思います。
ああ、確かに。いろんなこうなんだろう、閉塞(へいそく)感というか、うまくいかなかったりとか、いろんなことがある中でも、でも前向きにやっぱり励まされるのかなって思います。
なんか多様性とか言いつつ、それを認めない風潮(ふうちょう)ってすごい感じるんですよ僕は。
そうですね。
言ってるくせに、あの人はとか、あの集団はとか、何人はとか、男は女はとか、あの職業はとか、すごいあるじゃないですか。なんか分断(ぶんだん)がすごい起きてると思うんですけど。ね、でも一方でこういう歌が受け入れられたりしてるから、みんな本当はこういうことを望(のぞ)んでるのに、何なんだろう。 ケセラセラじゃないかって。
いやでもなんかすごく今その言葉が響(ひび)きました。
響きました? Mrs. GREEN APPLEじゃないんですよ僕。
なんか話ずれちゃうかもしれないんですけど、日本語教師を目指(めざ)そうというか、そこからこうなんだろう、キャリアを始めようって思ったのも、 いろんな人が日本だったりとかで、海外ルーツの方とか、いろんな背景(はいけい)とかがある人たちが、どう分断が起きずに、こう一緒に共同して、共生した社会を作れるんだろうっていう疑問というか、解決したいことというか、自分のなんか思いがあって、それで日本語教師っていう。 やっぱりなんかそこを、やっぱりみんなも求めてるっていうのがこの曲が流行る由縁(ゆえん)っていう、今お話を聞いていて「ああそうなんだ」っていうところを今思いました。
わかんないですよ、Mrs. GREEN APPLEがそういう気持ちなのかどうかは分からないですが。 音楽って聞いた人の自由だから、そう思うんですけどね。 でも箱田さん、そういうきっかけも動機もあって、日本語教師になられたっていうのは、すごいなんかうれしいなって。 学生も幸せですよね。そういう動機でね、日本語の先生になった人が教えてくれるっていうのは。 やっぱりさっきの問題の解決の仕方とかもそうですけど、なんかこう否定しないで、まずは聞いてくれたり受け入れてくれたりっていうことだと思うので。 学生は安心できるんじゃないかなと思います。
そうですね。なんか寄りどころに、いざとなったら相談できる先生でいたいなって。
本当そう思います。 ここはみんなの居(い)場所だからっていうのはすごく安心感につながると思うし。 学生も授業が受けやすくなると思いますね。 別に何言っちゃダメとか、特にないからって。そんな人を傷つけなければって思うから。
そういう温かい場所になったらいいなって、温めてる。
温めてる。だいぶ温まってると思いますよ。
休み時間、音楽流しても怒られたりしないですか、学校には。
怒られないです。 逆にすごく言っていただけるのは、やっぱり学生目線で、学生が楽しめる授業をしてるのが箱田先生は強みですねって。
それはそうです。そうですよーって。 spotifyで流してるんですけど、休み時間に。歌詞が出せるじゃないですか、だいたいね。そういうのを見てくれる学生もいて。 歌ってる部分が色がついて、出てきたりするから、それを見ながら歌ってる人とかね、いますけどね。 でもさすがにフリガナまでは出ないから、何と読む?みたいになった時はちょっと遅れたりとかしてるけど、でも頑張って歌ったりしてたり、うん。
今後取り入れたいなと思ってる授業は歌の歌詞とか、今人気の、何か。
めちゃくちゃおもしろそう。
そういうのをみんなで読んだりする中で、日本の人の価値観とか…
すごいおもしろいと思います。
…理解できたりするかなと思って取り入れたい。
卒業前の授業とかで、すごい自由にできる学校があったんですよ、以前。 そこでやってました。J-POPの歌詞を読むって。
いいですね。やりたいです、J-POP。
ぜひぜひやってください。学生もめちゃくちゃおもしろがってたし、すごい気づきがあるんですよね、自分でも。 外国の人がその歌詞を読むと、疑問に感じるところが違ったりとか。替(か)え歌してもらったりとか、学生に。 基本はその歌詞なんだけど、その部分を入れ替えて、理由の部分を入れ替えてみるとかね。 すると、なんか思わぬ歌詞が出てきたりとかして、なんか全然違う歌になっちゃったり。 大喜利(おおぎり)みたいになって。
おもしろい。
それはそれでおもしろかったりしました。 ぜひやってみてください、そういうの。
やってみます。
ピアで。 ありがとうございます。なんかお話は尽(つ)きない感じですが。
じゃあ、ね、これ12月の放送となっておりますので、もう良いお年をということです。
そうですね、1年本当にあっという間だったので。
新しい環境に、箱田さん、なってたし、いっそうあっという間な1年だったんじゃないですか。
そうですね、もう本当に毎日新しいこととか、学生との関係とか、授業準備とかに慣れるっていうところからの。
ですよね。日本語教師やってると、けっこう毎日新しい感じではあるかもしれないですけど、そういう日々が続くといいですね、じゃ。
来年もより楽しみ。
やっぱり箱田さんとお話しするとちょっと元気がもらえました、今回も。 聞いてくださった方もそうだと思うんですけど。 じゃ、また来年もぜひぜひよろしくお願いします。
よろしくお願いします。 また番組にも遊びに来てください。
またよろしくお願いします。
ということで、今年最後のゲスト回になりました。はい、ありがとうございました。
ありがとうございました。
良いお年を、皆さん。
聞いてくれた皆さんも今年最後までうれしい・たのしいことがね、ありますように願っております。 体に気をつけて過ごしてください。 じゃ、箱田さん、良いお年をお迎えください。
ありがとうございます。
はい、ありがとうございました。さようなら。
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