学習者が主体のレッスンで理想の発話比率を目指す
日本語学習において、特に自由会話のレッスンでは、教師と学習者の発話の割合が学習の質に大きく影響します。私が理想と考える発話比率は、一般的には、教師が2割、学習者が8割です。ひょっとすると、「学習者が8割」というのは多すぎると思われる方がいるかもしれませんが、自分の力で考え、表現しようとする機会を大切にするためには、ちょうどいいバランスだと私は考えています。
教師が話しすぎないことの重要性
教師は、学習者を助けたいという気持ちから、もっと教えたい、話したい、説明したいと思いがちです。また、日本で教育を受けた方は、知らず知らずのうちに自身が経験した「教師が一方的に教える」日本式のスタイルを取り入れてしまうこともあります。とくに、アジア系の学習者はそのスタイルに慣れていることが多いため、教師が一方的に主導するレッスンにも抵抗を感じにくい一方で、欧米系の学習者には一方的な説明が続くと満足度が下がりやすい傾向があります。しかし、学習者が自ら考え、言葉を生み出す過程こそが、学習効果を高める貴重な時間です。教師が話すほどに学習者の発話機会が減ってしまうため、教師には、発話の場を譲る姿勢と忍耐力が求められます。学習者が自分の言葉で話すことで達成感を得やすくなり、レッスンへの満足度も上がることが多いです。
教科書を使うレッスンでも応用できる考え方
自由会話だけでなく、教科書を使った文型導入のようなレッスンでも、学習者の発話比率が8割になるよう私は心がけています。教師が話す割合を2割に抑えると意識することで、自制が利きやすくなり、また、学習者の発話を促す工夫が自然と増え、学習者が積極的に参加できるレッスンが実現しやすくなります。
とはいえ、実際には私の場合「今日は少し話しすぎた」と反省することも多いです。しかし、それでも2:8の発話比率を意識して臨むことで、学習者が主体的に学べる環境づくりが進み、レッスンの質に大きな差が生まれると私は感じています。ちなみにSuikaTalkでは、すべてのレッスンが自動で録画されるため、後から自分のレッスンを確認し、理想とする発話比率になっているかチェックすることができます。レッスンを振り返ることは、講師として成長するための重要なステップですので、この機能をぜひ活用してください。
学習者の発話を引き出すための工夫とサポート
「発話の機会を与えてもあまり話してくれない学習者もいる」というような経験がある講師の方も多いかもしれません。
学習者があまり話してくれない場合、考えられる原因として、話しやすい雰囲気や質問が十分に整っていない可能性があります。「この学習者はこういう性格なんだな」とか「この学習者とは話が合わないのかも」と考えるまえに、まずは工夫やサポートを尽くせているかを振り返ってみてほしいと思います。ここで学習者が自然に話したくなる状況を作ることが、まさに教師の腕の見せどころです。単に発話の機会を与えるだけでなく、学習者が話したくなるような質問や適度なサポートが重要です。たとえば、質問の形式や難易度を調整したり、アイデアを引き出すための具体例を示すことで、学習者が思わず話したくなるような状況を作り出すことができます。
また、学習者が自分の言葉で話せたときの達成感は、学習の動機づけにもつながります。一度自分で話せると実感した学習者は、次回以降も自ら積極的に発話しようとする意欲が高まることが多いため、教師はその達成感を引き出す役割に徹することが大切です。
必要な時にはバランスよく発話を
もちろん、教師の説明や指導が必要な場面では、適切に介入して学習をサポートすることも重要です。バランスを取りつつ、学習者が主体的に話せる時間を意識して確保することで、学習者が自信を持って発話に取り組む姿が自然と育まれます。
学習者中心を基本姿勢としつつ、講師の個性を活かす
SuikaTalkで日本語を教える際、この「教師が2割、学習者が8割」という発話比率に従う必要があるわけではありません。SuikaTalkでは、講師それぞれの個性や強みを活かした自由なレッスンスタイルを尊重しています。学習者の発話機会を尊重するという姿勢をもちつつ、学習者にとってより効果的で魅力的なレッスンを追求しながら、自分らしい教え方で進めていただければと思います。
SuikaTalkでは、YouTubeなどの一方向のビデオ学習とは異なり、ライブレッスンを通じて、学習者との双方向のコミュニケーションを大切にしています。講師が一方的に話すのではなく、学習者が積極的に参加し、日本語を使って考え、表現できるレッスンの提供を目指しています。SuikaTalkで、あなたのスキルを活かし、学習者の成長を支える充実したレッスンを一緒に作り上げてみませんか?皆様の応募をお待ちしています。
SuikaTalkの日本語講師向け説明資料は以下からダウンロードできます。
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