「教えない授業」って何だ?この目で見てきたぞ。
こんにちは。MIKIです。
先日、日本語教師のJ・A先生のオンライン授業を見せていただいた。J・A先生は日々、「教えない授業」を研究、実践されている先生。IcTにも精通されている尊敬する先生のお一人。
J・A先生が
オンライン授業を録画し、限定で公開します
というツイートをしていたので、鼻息荒く、DMをお送りした次第。
早速、(正座して)視聴しました。
私が目指していること、伝えたいことってこういうことだと確信しました。
そこで、今日は「教えない授業」について考えてみたいと思います。
限定公開のオンライン授業動画について
受講者は男声1名、女声1名(姿が映っていないため、声のみでの判断)
授業者は日本語教師で受講者の母語を理解し、解説もできます。
オンライン授業で使われていたのは国際交流基金のオンライン教科書「いろどり初級1」4課
Can-do11
天気の話題に触れながら、あいさつをすることができる。
Can-do 12
天気予報を聞いて、大体の内容を理解することができる。
流れとしては、教科書の順番通りに授業が進んでいきました。
雰囲気
このメンバーでの授業は何回目かのようで、受講者も先生も打ち解けている様子がわかります。
音声を聞こうとしたら、複数の音声が同時に再生されてしまい、大きい音声と聞き取れない言語で一同、大笑い。先生も慌てることなく、一緒に大笑い。こんな様子を見ても、いい関係性を築かれているのがよくわかります。
さりげない態度だけど計算されている
授業の流れは一般的な流れでしたが、受講者との向き合い方と授業への姿勢がとても共感し、私の学びが多かったので、ここに書き留めておきたいと思います。
沈黙を恐れない
先生が受講者に質問を投げかけると、すぐに答えが返ってくるわけではありません。初めて習う外国語ですから、頭の中でぐるぐると思考しているはずです。その考えている時間を待てずに、「どうですか?」「わかりますか?」と聞いてしまう授業者は多いです。
動画ではしっかりと待ち、返答を促す言葉も発していません。これは、受講者に考える時間をしっかりと与え、納得のいく返答をさせたいという意図を感じました。
一緒に楽しそうにシャドーイングしている
教師は「シャドーイングは有効」ということはわかっていて、受講者にシャドーイングを促す場面は多く見てきました。しかし、一緒になってシャドーイングする姿を見せてくれる教師は多くありませんでした。
習いたての言語を発するのは勇気のいるものです。そんな中、教師がじっと耳を澄ませていると思っただけで、受講者はプレッシャーになるはずです。それをJ・A先生はカメラを凝視することなく、体を大きく揺らしながら、楽しげにいっしょにシャドーイングしています。これには衝撃でした。
私も一緒にシャドーイングすることはあっても、カメラを凝視し、発音をチェックしていました。猛省した瞬間でした。
「教えない授業」ってこういうこと。
文法を発見させる
さらに、授業は進み、たっぷりと会話練習した後に確認した文法項目で、「教えない授業」の技を見ることができました。
終助詞「ね」をみんなで考えています。
受講者はそれまでイラストと音声で会話練習してきたことを思い出しながら、「ね」の意味を確認していきました。
つぎに、「でした」を考えていますが、なかなか考えがまとまらない様子。
J・A先生はすぐには答えを出さず、例文をいくつか挙げていきます。
すると受講者の一人が「あーーー!」と叫び、母語で説明しています。その声のうれしそうなことと言ったら、見ているこちらもうれしくなります。
大事なことは知識を聞くことではなく、知識を自分のものにすること。自分で発見した知識は深く深く刻まれると私は信じています。
それが目の前の動画で見ることができました。
「教えない授業」ってこういうことだと確信しました。
盗める技は一つでも盗んじゃえ!
私も授業中こうした経験をしてほしいと思い、コーディネーターとして授業をデザインし、日本語教師の方にお願いしていますが、なかなか伝わらないものです。
教師が喋りすぎてしまう
学生がずっと沈黙している
学生が理解したかどうか自信がない
こんな風に感じている日本語教師の方にとっては、J・A先生の動画は貴重な実践資料になります。
さりげない態度や受講者に刻み込む授業を展開されるJ・A先生。
これはもしかしたら、計算し尽くされているのかもしれないし、長年の経験から生み出されたものかもしれません。
すぐにJ・A先生のように授業を展開していくことは難しいかもしれませんが、一つでも盗める技があったら盗み、ご自身の授業に取り入れていっていけたら、いいと思います。
私も早速、楽しく一緒にシャドーイングしていこうと思います。
J・A先生、貴重な動画のシェアありがとうございました。