【継承語高校生クラス】18才意識調査
日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドで行われている「18才意識調査」というのがある。
日本では日本財団が行い、今回でなんと62回目だったようだ。
このニュースを読んだときから、高校生クラスでも取り上げたいと思っていた。
流れとしては、自分たちが回答した上で、その結果を各国の結果と比べたい。
回答するには、語彙が不足している人もいるので、前回は語彙、漢字の復習を目的として、回答する回とした。
とはいえ、ペーパーで配らなかったのもあって、挙げかけた手を降ろしてしまうなど、周りの意見に左右されているのが見えた。
午前クラス、午後クラスがあるのだが、どちらでも偏りが見られた。
また、時間が足りずに半分ほどしか回答を集められなかったが、飽きも感じられたので、とりあえず次回は話し合いの回とする。
その上で、続きを行うかどうかを考えることにした。
当会は高3相当が4名、高2相当が6名、高1相当が7名だった。
男女比は6対11の計17名。
特記すべきは、両親とも日本人の家庭は3、両親のどちらかが日本人の国際家庭が11だということである。
しかしみなドイツ生まれドイツ育ちであるので、「自国」はドイツであるとして回答してもらった。
しかし、今やヨーロッパでは「自国」と言われると混乱する可能性はある。
英語版もown countryなっていたが、「居住国」くらいじゃないとルーツはバラバラだし、移民先進国アメリカほど「移民した先だけど、ここが俺っちの国だ!」という意識はまだない。
さすが同じ欧州、イギリスが比較的似ていると思う。
しかし、他国で上位に来ている貧困はない。
やはり彼らのバックグラウンドがある程度ゆとりがあり、実感がないのではないだろうか。
また、若者には緑の党(スウェーデンのグレタ・トゥーンベリみたいに)支持が多いので、もし完全なドイツ家庭出身者の回答であれば、温暖化や環境汚染も上位に来そうである。
私は移民の増加が人種差別やテロ・犯罪の温床となり、教育の質の低下を招いていると思う。
しかし、ドイツもご多分に漏れず少子高齢化傾向にあるため、経済成長には移民は不可欠だ。
そのあたりのバランスが課題ということだろう。
ドイツのGDPは確かに世界上位であるので、間違いはない。
それの土台となっているのが技術力だろう。
税収入なしで社会保障はありえない。
教育は日本では最下位だった。
日本の教育は学力調査では常に上位なものの、グローバルにはあまり向いていないし、学校以外の塾などで補わていおり、多額の費用がかかっている。
ドイツは学校は大学まで無料なので、学力調査の結果は振るわないものの、伸ばしたい能力を伸ばせる土台があるのが評価されるか。
この結果で、中国は9割5分、インドは8割5分で軍事・防衛が一位だった。
なかなか不穏当な結果である。
この中国の強気な結果!
プロパガンダというのは、本当に有効な手段なのだと分かる。
ちなみに時間がなくて、午後クラスでしか聞けなかったのだが、43パーセントが悪くなる、57パーセントが分からないという答えだった。
まあ、全体で聞いても似たりよったりな数値になるだろう。
悲観的だ!
でも、「全然酔ってないよ~!」という人が一番酔っていて、「ちょっと酔っちゃった」という人が意外と素面であるように、現状に満足していないくらいの方が将来性とは思う。
但し、この優秀な人材が諦めをつけて、他国に行っちゃわない限り、だけど。
当会で顕著なのは、努力すれば成功するという思考だと思う。
ただ、「誰しも努力をすれば報われる」というのは、7割弱であるので、一定数の「努力をしても報われない」人がいることを認識している人もいるのだろう。
それが出自なのか知力なのかは分からないが。
このクラスの生徒たちは頑張ってきて、今ここにいるんだというのが垣間見えた。
若者支援と高齢者支援の差は7ポイント。
日本を除く他国と大して変わらない。
まあ比較的差別偏見が少ないと認識していることがうかがえる。
障碍については、あまりに数値が低く生徒たちの知識も不足しているのではないかと思った。
目標とした人やリーダーとして認められる人がいないというのは残念なことだと思う。
元々ドイツ人は努力家で几帳面な性格なので、決して悪くはないと思うが、戦後教育と大量の移民による政策のミス、教育の欠陥なんだろうなあ。
学校教育でドイツがどんなにひどいことをしたか(反戦教育)を学ばせるのもいいけど、いいところも見せてあげるべきだと思う・・・
とまあ、私は面白かった。
この調査を通じて、ドイツに住む(半)日本人家庭の子女の思考の傾向が多少分かった。
生徒たちは前回は面白くはなかったかもしれないが、調査で使用される語彙の言い回しについて触れることはできただろう。
(私は読むのが面倒くさいので、ドイツ語のアンケートは大嫌い!)
次回は他国との比較をして、今後の課題などについて話し合っていってもらう。
そちらでまたどんな意見が出るか、楽しみだ。