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【授業から】「おおきなかぶ」ならぬ「ルタバガ」そして、いちご
小学生姉妹の日本語授業、先日の「はなのみち」(光村図書小1国語)に味をしめ、今回は「おおきなかぶ」に挑戦してみた!
姉妹のお母さんはロシア出身なので、知ってるだろうなあと思ったら1ページ目で「『かぶ』はドイツ語で何ですか」と聞かれ、「Rübeですよ」と答えたら、「あ! これロシアの!」と即気付いていた。
ちなみに日本人がイメージするかぶは、ドイツ語ではKugelrettiche、Kugel玉、球のRettich大根という意味。
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でも、私はこの話のドイツ語の題を知っていたので、それに合わせてRübeと答えた。
すると、「『あまくなれ』だから、Zuckerrübe(さとう+Rübe、サトウダイコンのこと)じゃないか」とお姉ちゃんの方が言った。
Rübeは広くとらえれば「根菜」となり、にんじん、大根、セロリ、根セロリ、かぶ、パースニップ、ルタバガ、サトウダイコン(テンサイ)、赤ビーツなどのグルー名だ。
狭義ではビートで、サトウダイコン、ビーツ、フダンソウの3つを指すそう。
フダンソウとは聞いたことがなかったが、「不断草」という和名がついている通り、日本にもあるそう。
四季を通じて栽培、収穫できるそうで、フダンソウ、イツモナ(何時菜)の他、アマナ(岡山)、トキシラズやキシャナ(長野)、シロナ(兵庫)、唐ヂシャ、タウヂサ(京都)、ウマイナ(大阪)、オホバコヂサ(島根)ンスナバー(沖縄)など各地に別名があるらしい。
まあ、葉を食べるそうなので、これは「おおきなかぶ」のビートではないだろう。
ロシア語では、репка(レプカ)だそうで、英語版は「The Gigantic Turnip」。
ただ、英語のTurnipはまた幅が広く、ドイツ語のRübeと同様、大根、ルタバガ、クズイモのような根菜の他、ラピニ(フダンソウのような葉)、チンゲン菜をアブラナ科の葉類も指すようだ。
「репка」で画像検索をしても、おおきなかぶの話ばかり出てくるが、ロシア語で書かれたものは大抵実の部分が黄色い!
そして、丸いので、パースニップや大根、サトウダイコンではなさそう。
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かぶは白いし、ビーツは赤いので、ドイツ語のRübeから考えればルタバガ、英語から考えればルタバガかクズイモというところだろうか。
ただ、クズイモはメキシコ原産で、アジアアメリカが産地のようなので、ロシアにはあるまい。
ということで、この「おおきなかぶ」は本当は「大きなルタバガ」だったんじゃないか。
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ウィキペディアによれば、ルタバガの原産はスウェーデン。
北欧からロシアにかけて栽培され、重要な栄養源になっていたそうだ。
日本語のルタバガは、スウェーデン語のrotabaggeから来ているらしい。
「肉質は緻密で甘みもあり、カブ・じゃがいも、キャベツを掛け合わせたような味わいがある」ということなので、「甘くなれ!」にも納得だ。
しかも、ジャックオランタンはこのルタバガで作るものだったとか。
大きなものも取れそうだ!
さて、授業では音読しながら、分からない言葉は聞いてもらったり、イラストに着目して描写してもらったりした。
最後は姉妹で一緒に大きな声で読んでもらおうと思ったけど、日本の子のようにタイミングが合わず、タイミングを合わせたい次女と、好きに読みたい長女であわや喧嘩という感じになったので、うまく行かなかった。
代わりに、では別のお話を作ろうという提案をして、おじいさんを次女ちゃんの名前にしてみた。
じゃあ、かぶじゃなくて好きなものを採っていいよ!
ということで、出してもらったら、「パンケーキ」「かき氷」「いちご」・・・
後ろからお母さんが、土の中にあるものじゃないとダメなんじゃない?!と突っ込んでるけど、別に私はパンケーキだっていいと思う。
でも、長女ちゃんも「じゃあ、いちご」というので、「大きなかぶ」ならぬ「大きないちご」のお話を作ることになった。
おばあさんは長女ちゃん、まごは二人の猫ちゃんと名前を当てはめていく。
そうそう大事なのはかぶは抜くだけど、苺は「取る」「摘む」なので、「抜けません」は、「取れません」にしてもらった。
順番に読んでもらい、二人のご機嫌も直って無事終了!
楽しい授業になった。