![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172068618/rectangle_large_type_2_0735adeff88f8b216660a2e19be726f8.jpeg?width=1200)
【海外から日本語教員養成課程】冬クール受講完了! オバチャンはステキ☆
先ほど、最後まで残しておいたデザートの計量言語学の最終レポートを提出して、学習進捗率が100パーセントになった!
これで来週の試験期間は、件の計量言語学がテスト、残りの2つはすでに書いてあるレポートをアップロードして、今年度全て終了となる。
来年はライブ授業があと1つと、教育実習の2単位を残すのみ!
![](https://assets.st-note.com/img/1738080024-moUh07GBl29dXIzbsDMLRNFr.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738080034-TLAGbSXDQw2eUNPtqoc8M3zm.jpg?width=1200)
計量言語学のレポートは最終的に11ページの大作となった。
表が6点、グラフ6点、語群3点で、山ほどのデータをさばいた。
「中納言」というコロケーションを確認できるソフトを利用するのだが、スタートは「コロケーションってなに? キテレツ大百科に出てくる?」というレベルだったけど、おかげで、「BCCWJで語彙素読みで検索したらいいんじゃね?」「いや、前方共起を書字形出現形にして、キーから2語以内指定の形状詞だよ」みたいなことが考えられるようになった。
言葉について知りたいとき、もちろん辞書で確認するのはいいことだけど、「でも、どういう言葉とセットでよく使われているの?」ということを、この中納言は教えてくれる。(それをコロケーションという)
今までなんとなく、「こういう組み合わせが多いんじゃな~い」と経験に基づいて話していたことを、データではっきり示すことができるのだ。
今回与えられたテーマは、二つの言葉を比べ、意味の違いなど仮説を立てて検証するというものだった。
なんとなく、女性が多いかなあと思っていた「すてき」という言葉は、実に女性が13倍も多いことが分かった。
![](https://assets.st-note.com/img/1738080732-NOkWdbYQ1iyJ4XvjGKf36LSZ.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1738080845-eNDVCndjl8upo40ywUTSztrR.png)
しかも、40,50代で半数を占める。
私はめちゃくちゃその世代だ!!
まあ、そこに30代、60代を入れて、「オバチャン」と呼ばれる世代と見れば、同じく9割越えだ。
つまり、「すてき」はオバチャン用語と認定してもおかしくないのかも!
私は「すてき」と「きれい」を比較することにしたんだけど、いやじゃあ「美しい」は・・・?という個人的な興味から3語を比べた。
結果としては、「美しい」は書き言葉に多かった。
また、「きれい」だけが清潔さや整っている状態を示し、「すてき」は、抽象的なこと、例えば「思い出」とか、「一日」とか「夢」などをも修飾することをデータで提示できた。
ランダム抽出で後ろに来る名詞を比較したところ、「すてき」は3割も抽象語にかかえっていることが分かったのだ。
ただ、頻度で言えば、「きれい」に軍配が上がる。
書き言葉でも話し言葉でもよく、世代や性別を問わず、かつ清い状態も示すことができるのだから、「きれい」は万能だ。
初学者であれば、とりあえず「きれい」だけ覚えておけばいいだろう。
さて、ドイツ語では、見た目の美しい 状態を表す言葉に「schön」(シェーン/英語の Beautiful に相当)がある。
この「schön」は、「よく出来た(いいね!)」「いい天気だ」 など、日本語の「よい」にも使用する。
英語でいえば、niceやfineだろうか。
「ダンケシェーン」も「Danke schön」なので、「どうも」のような強調の意味にも用いられる。
(でも、「すみません」「ごめんなさい」などには使えない)
他にもhübschという言葉もあり、これは主に人物の見た目だけに使う。
「見目麗しい」と言ったところか。
一語一語を対訳させて覚えてしまい、「schön」は「きれい」と覚えると、「今日はきれいな天気です」と言った、日本語として不自然な表現になってしまう。
また、「schön」は清潔さ(sauber)、整った様子(ordentlich)は 表さないので、わざわざ「Sauber」を辞書で調べて「清潔な空気」とか「清浄な空気」などと書いてくる。
意味としてはもちろんあっているが、「きれいな空気」が自然なことが多い。
教える側が外国語の知識があれば、最初から「『きれい』は、schönとかsauber(清潔)だけど、天気は『gut』を使う」と教えられるけど、多国籍クラスだとまあ、難しいだろう。
それでもベテランになるということは、学習者がしがちなミスのストックが集まるということだから、「これには使えない」と指導もできるようになるはずだ。
その上で、教員が違いをしっかり認識できていれば、よりはっきりと伝えることができる。
「中納言」はそれを助けるデータベースだと言える。
初学者の負担を和らげるために、できれば「きれいな」のような最初は使いまわしのできる言葉を覚えさせたい。
ところが日本全国でよく使われている「みんなの日本語」という教材では、7課で「すてきですね」が初出、8課で「きれいな」「すてきな」のお出ましとなる。
「美しい」は31課だ。
前述の通り、「すてき」はオバチャン用語やで。
ハタチそこそこの外国人が「すてきですね」って言ってたら不自然だよね?!
まあ、「エモ~い!」とか言われてもちょっとひくんだけど。
私はそもそもこの「みんなの日本語」という教科書が好きじゃないんだけど、2課で「新聞」や「テレビ」が出てくるのもイマイチだと思う。
私の大学では「Genki」を使っていて、全般的に「みん日」よりはマシなものの、それでもやはり新聞、雑誌は2課で、テレビや映画は3課で出てくる。
今や新聞を読む学生、テレビを見る学生などいない!
まあ、「読みません」とか「見ません」という練習にはいいかもしれないけどねw
「すてき」も含めて、時代に合った語彙を 用いた学習書が広まっていくといい。
そんなわけで最初は「きれい」を覚え、中級以降になるにつれて、「すてき」とか「美しい」などの語彙を増やしていけばいい。
ただ、それは日本語学習者の話であって、母語話者ではどうだろうか。
私自身も大いに反省するところだが、どうしても使用語彙は狭い範囲に偏りがちだ。
若者が「パねえ」とか「ヤバい」だけで会話をしているのをせめられないほど、私も「すごい」しか言っていないw
しかも、「すごい」は本来は「ひどい」と同じようにネガティブな意味だと知りながら、だ。
「すごくおいしい」とかも言っちゃうw
母語話者(継承語)は会話だけでは語彙は増えない。
読書など読むインプットがいいが、どうしても読むのが得意でないなら、ドラマやドキュメンタリー番組でもいいだろう。
Youtube含めバラエティは会話の延長だから、なかなか難しいと思う。
もし会話だけで入れたいなら、世代の違う人、他の地域の人など、なるべく様々な人と話をするといいと思うが、まあ、実際はこれが一番難しいかもしれない。