【安倍晋三に騙されない為の誰も教えてくれない本当のこと】#6~労働生産性という「嘘」
安倍政権の特徴の一つが大言壮語ともいえるキャッチフレーズ。「日本を取り戻す」に「美しい国、日本」、「戦後レジームからの脱却」、「アベノミクス この道しかない」、「一億総活躍社会」etc…ときて、去年からは何と「人づくり革命」に「生産性革命」とまで言い出した。
国家権力を握る総理大臣、内閣自身が武力での政府転覆や統治体制の根底的な変革を意味する「革命」を使うことは、いつも通りの無知の故と黙認するにしても「生産性革命」の中身は看過できない。
この今年の経済白書の記事でも判るように、「生産性革命」とやらの本当の中身は「働き方改革」と同じで、企業の生産性(労働生産性)の向上に向けての日本型雇用の見直しや雇用の流動化であって、“IoTやロボット、人工知能などによる革命的なイノベーション「第四次産業革命」”などは単なる大げさな飾り言葉だろう。
そもそもそういう産業革命のような劇的な技術革新による進化は政府の旗ふりで進むようなものではなく、テクノロジーの進化に伴った社会自体の構造的な変化によって起きるものなのだ(事実、こういう技術革新などで向上する生産性は「全要素生産性(TFP)」という、普通に言われる生産性とはちょっと違う別の尺度)。
ただ、この安倍の「生産性革命」とやらだけではなく、今やありとあらゆる状況で「生産性」という言葉がとびかっている。
このれいわ新選組の山本太郎代表が何度も口にする「生産性で人の価値をはかるな!」という言葉には賛同する人も少なくないだろうが、同時に「日本は生産性が低いからもっと生産性を上げるべき!」という言葉もよく聞くし、こちらも同じように賛同する人が多い筈。
よく考えれば、多くの人が生産性はどうでもいいと言ったり、一方では生産性を上げろと言ったりしている訳で、何とも不思議な話。そもそもこの「生産性」というのは一体何なのか、多くの人は理解しているのだろうか。
『生産性(productivity)』 生産過程に投入された一定の労働力その他の生産要素が生産物の産出に貢献する程度 ~ 広辞苑・第四版
この広辞苑の説明も決して判り易いとは言い難いが、「生産性」とは要するにどれだけのモノを投入してどれだけのモノを作ったかという「インプットとアウトプットの効率」のことであり、それをはかる経済学的な尺度と考えればいい。
因みに、インプットするモノを従業員などの“労働力”から見るか、機械や設備などの“資本”から見るか、アウトプットされるモノを“量”で計るか、“価値(金額)”で計るかで「生産性」の種類は幾つかに分けられるが、普通はインプットした労働力でアウトプットされた付加価値を計る「労働生産性」のことを一般的には「生産性」と呼んでいる。その「労働生産性」の図式がこちら。
どれだけの人数の人間が、どれだけの時間、働いてどれだけの金額(付加価値)の商品やサービスを作ったかが「労働生産性」ということになるし、企業の場合でいえば「生まれた付加価値」、具体的には「粗利」を「従業員の数と従業員の労働時間」で割ったものが「労働生産性」ということになる。
因みに、安倍の「働き方改革」とやらは、残業をなくしたりすることで、この分母になる「従業員の労働時間」を減らすから「労働生産性」が向上するという仕掛け。
更に言えば、「従業員の労働時間」だけではなく、「従業員の数」を減らす、つまりリストラをしても「労働生産性」は向上する訳で、この辺りが上にも書いた安倍の「生産性革命」とやらの本当の狙い。
こうなって来ると企業にとっては良くても果たして生産性の向上が従業員や私たち国民にとって良いことなのか疑問に思えてくる筈。
それだけではない。上にも書いた「日本は生産性が低いからもっと生産性を上げるべき!」という時の「生産性」も勿論、「労働生産性」のことなのだが、ここにも実はインチキがあって、この時の労働生産性は“企業の労働生産性”ではなくて、“国の労働生産性(国民経済生産性)”なのだ。
どういう事かと言えば、この国の生産性は日本にある“企業の労働生産性”の平均を出したりしている訳ではなく、全く別のやり方で、この日本全体、“国の労働生産性”を算出しているのだ。
これで算出した日本という国の労働生産性は確かに低い。
上のグラフで明らかなように、2016年のデータによれば、日本の 1 人当たりの労働生産性は81,777 ドルで、OECD加盟35ヵ国中21位。日本の時間当たりの労働生産性も 46.0 ドルで20 位。OECDの平均以下で、主要先進 7 カ国でみると、1970 年以降、最下位の状況がずっと続いている。
こんな状況だからこそ、「日本は生産性が低いからもっと生産性を上げるべき!」だとか、安倍による「生産性革命だ!」とか、「働き方改革だ!」とかいった声が出てくる訳だが、先程の“企業の労働生産性と国の労働生産性が実は別の方法で算出している”という点にも関わってくるインチキが、この国別のランキングにはあるのだ。
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