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犯罪者なのか 患者なのか

 ミュージシャンでもある俳優がコカイン使用で麻薬取締官に逮捕されて、マスコミは大騒ぎしているが、たまたまtwitterではこんな記事の紹介も目にした。

   言われてみれば、正にその通りで、日本のマスコミは絶対にやってはいけないような報道を今回も繰り広げていると言わざるをえない。

 それにそもそも麻薬や覚醒剤、大麻などの違法薬物の取締まりにも私自身は大きな違和感を感じている。

 上の記事にもあるように、こういった違法薬物を使用する人々が「薬物依存症」という病気である事には誰も異論はないと思う。ところが、実際は病気の患者というより法を犯した犯罪者としての面ばかりが強調されているように感じるし、治療よりも取締りや逮捕が優先されていないだろうか。

 例えば、飲用自体は犯罪ではないのだからアルコール依存症の患者は“お酒が止められない”と治療機関を訪れて治療を受ける事も出来る。ところが違法薬物の場合は使用は勿論、所持自体が犯罪な為に誰にもバレないようにするしかないし、“薬物が止められない”と治療機関を訪れて、治療を受けるのは困難。それこそ治療を受けるその前に、とりあえず一度は犯罪者として捕まるしかない、という事になる。

 こういう現実があるからこそ、上の記事でも紹介されていたように、警察や麻薬取締官に逮捕された瞬間に「ありがとう」、つまり、これでやっと薬物が止められるという思いから思わず感謝の言葉を口にする人が多いのだろう。

 “ならば余計にどんどん取り締まって逮捕しろ”という極端な意見もありそうだが(苦笑)、どんな依存症でもなるべく早く治療に取り組んだ方が弊害も少なく、より止めやすいのは間違いない。それに逮捕されれば、逮捕によって仕事や家庭を失ったり、社会から疎外される事で、孤立無援。それこそ余計にまた違法薬物にすがるしかないという状況が生まれてしまうし、それが薬物犯の再犯の異常な多さに繋がっているのも間違いない。

 そう考えると、違法薬物でも逮捕される前、自分で止められない、このままではヤバいと思った時点で(勿論、家族など周囲がそう思った時点でもいいが)、治療機関に相談し、治療を受けられるようにした方がいいのではないだろうか。

 だとすれば、違法薬物を使用している人間を犯罪者ではなく、患者として遇するしかないし、その為には違法薬物の所持と使用に関しては犯罪としない。違法薬物の販売だけを犯罪として取締り、処罰するというのはどうだろう。事実、違法薬物の販売こそが組織犯罪として暴力団などの資金源になっている訳だし、そこを取り締まるのが違法薬物の蔓延を防ぐ意味でも効果的な筈だ。

 さらに言えば、既にカナダなどで大麻の個人使用が合法化されるなど、違法薬物の線引き自体が曖昧になっているし、入手も困難ではなくなりつつある。勿論、大麻合法化に向けた議論も必要だろうが、先ずは大麻も含めた違法薬物の所持と使用に関しては処罰をやめ、違法薬物の使用者を犯罪者として取り締まるのではなく、薬物依存症の患者として治療する方向へ切り換えるべき時なのではないだろうか。

 実際にこういう記事も目にした。

  違法薬物を禁止する法律の「立法事実」は違法薬物を使用した人間を逮捕して刑務所に放り込む事ではなくて、違法薬物の蔓延を防いで、国民の健康と安全を守ること。そういう意味では、違法薬物の使用者を犯罪者ではなく薬物依存症の患者として扱う事こそ法の趣旨にも沿っていると思うのだが…。

最後に、おまけで先日した「薬物依存症」についてのツイートを再掲させて頂きます。

#ニュース23 清原が出た薬物依存症のイベントのニュースで、
神奈川県精神医療センターの医師が語っていたコメントがとても印象的だった。

『感情の海の中で上手く泳げずに、中には「薬物」という「浮き輪」に掴まってしまう人がいる。
世間はよくない事だから「薬物」を止めろと簡単に言うが違う。
そういう人(薬物依存症の患者)は「薬物」という「浮き輪」を放したら溺れてしまうのだから
止める筈がない。先ずは浮き輪を手放しても溺れないように「泳ぎ方」を教えなくてはいけない』

…確かに。この世の中、感情の海を泳ぐのはそんなに簡単な事ではないし、その泳ぎ方も難しい。

 https://twitter.com/nihon_koutei/status/1103305461078548482

 

  

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