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もし猫が総理大臣に選ばれたら

 YouTubeにアップした動画の原稿です。
委1、2→委員1、2 ナ→アナウンサー

委1「俺たちは与党J党最大派閥のリーダーだ」
委1「今度の総裁選で実質的に総理を選べる立場にある」
委1「次の総理大臣を決める総裁選、誰を支持する?」
委1「選挙が近いから国民人気がある奴にしようぜ」
委1「落選したら政策を前に進めるどころか」
委1「明日の飯も食べられないからな」
委2「国民人気、ねえ」
委2「大衆に人気の奴って大体実現不可能な政策を掲げるほら吹きか」
委2「与党を批判して正義のヒーロー面してる異端者くらいしか居ないだろ」
委2「そんなのに組織のリーダーなんて務まらないよ」
委1「間違いねえ」
委1「でも大衆にとっちゃそんなのどうでもいいんだろ」
委1「どうせろくに政策なんて見てないさ」
委2「はあ」
委2「真面目に活動する気失せるよなあ」
委1「まったくだ」
委1「世論様は対して政治の中身に興味がないらしい」
委1「そこで考えたんだが新しい総理を」
委1「猫にやらせればいいんじゃないか?」
委2「マジで言ってる?」
委2「あの動物で初めて国会議員になったあの猫議員?」
委1「そうだ」
委1「飯食べて寝てるだけで議員の誰よりもツイッターのフォロワーを稼いでいるあの猫議員だ!」
委2「俺たちの存在理由って何?」
委2「でもさすがに動物が総理になるのはだめだろ」
委1「いやなんとかなる」
委1「実際の政治はちゃんとした議員と官僚がやるわけだし」
委1「ろくに役に立たない神輿みたいな総理なんてこれまでたくさん居ただろ」
委2「おい左遷されるぞ」
委1「まあ、お前の心配もわかる」
委1「ただな俺ここままだと選挙やばいんだよ!」
委1「猫の手を借りてでもいいから」
委1「とにかく世間受けの良い総理じゃないと落選して政治生命が終わっちまう!」
委2「猫だよりで草」
委2「まあとりあえず立候補させてみるか」
委2「ニュースです」
ナ「総裁選の結果、圧倒的世論の支持により新しい総理は猫議員に決まりました」
猫「にゃあ」
ナ「今のお気持ちは?」
猫「ごろごろみゃあ」
ナ「総理になってどういう風に国を動かして行きたいですか?」
猫「しゃーにゃむにゃむ」
ナ「総理総裁椅子の座り心地は?」
猫「ずずずず」
委1「こ、個別の政策については後程私が説明します」
委1「と、とにかく我々は猫総裁の下で一丸となって頑張ります」
委1「一年経ったけど支持率70パーで草」
委2「総理大臣って猫でもなんとかなるんだな」
委1「まあ目立たない有能な裏方議員が回してるから」
委2「初めに猫を立候補しようと言い出したお前は晴れて幹事長だし」
委1「我ながらこんなに人事の才能があると思わなかった」
委2「人外を総理にしようぜって提案するくらいだしな」
委1「まあいいんだよ」
委1「支持率は良好で選挙は圧勝」
委1「これが民意だ」
委1「なんか意見が分かれる政策でもあのかわいらしい寝顔を見れば許しちゃうしな」
委2「ちょっと共感しちまうのがうぜえ」
ナ「ニュースです」
ナ「総理とは違う最大派閥で政治資金規正法違反の疑いが出ました」
ナ「裏金だ裏金だと騒いでいる国民の皆様は問題の本質を取り違えている気がしますが」
ナ「とにかくぶち切れて怒っています」
ナ「総理は政治資金問題についてどのように考えていますか?」
猫「にゃあううん」
ナ「おい」
猫「ちゅううる」
ナ「国民はお前たちだけ非課税でふざけるなって叫んでるんだけど?」
猫「ずずずず」
委1「おいおいおい」
委1「税金関係の世論って厳しすぎだろ」
委1「どれだけ納税に対してシビアなんだよ」
委1「馬鹿みたいに内閣支持率下がってるし」
委2「今回って総理の問題じゃないんだけどなあ」
委1「せっかく真面目に外交やったり経済対策やって景気も良くなってきたのに」
委1「なんだこの仕打ちは」
委1「大衆どもって目先の炎上に目を向けすぎて政治の本当に大切なこと見失ってるだろ」
委2「まあまあ」
委2「仲間に不手際があったのは間違いないんだし」
委2「でもこのままじゃまずい」
委1「派閥を解散して資金規正法を直したのに支持率が上がらないって」
委1「一体どうすればいいんだ」
委2「世論はトップが責任ってやめろと言ってるみたいだぞ」
委1「総理じゃなくて派閥の問題だし」
委1「なんの解決策にもならないだろ!」
委2「だがなあこの内閣支持率じゃ長くはもたないぜ」
委1「くそったれが」
委1「一体どうすればいいんだ」
委1「せっかく幹事長になったのに」
委1「そうだ!」
委1「あの犬を新しい総理にすればいいんだ!」
委1「そうすれば刷新感が出て禊が済んだ感じになるだろ!」
委1「支持率も急回復間違いねえ!」
委2「やっぱお前って人事の才能あるよ」
委2「それと中世の王は天災の度に首を挿げ替えられていたって話を思い出した」


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