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悪口ファイトクラブ

youtube動画の原稿です

男「俺はただの空虚な大学生」
男「なんとなく大学に行って講義を受け、適当な友人と中身のない会話を交わし」
男「しごいて寝るだけのクソみたいな生活」
男「空虚だ」
男「何もかも虚しい」
男「だがそんな俺にも唯一熱狂出来る生きがいがある」
男「それは他人の悪口を面白おかしくネットに書きまくることだっ!」
男「ただの悪口じゃエクスタシーを感じねえ」
男「ネットの有名人を徹底的に調査し、周りが直接言わないが薄々思っている不満を抉り出さなきゃいけないんだ!」
男「もちろんユーモアも忘れちゃいけねえ!」
男「面白くない悪口はただの誹謗中傷だからな」
男「そして命をかけて書いた有料悪口記事を販売し生計まで立てている」
男「我ながら天職だ」
男「多様性だの寛容だの偉そうにのたまうこの社会で、こんなに楽しい趣味はない」
男「はあはあ」
男「今日は誰の悪口を書こうかなあ」
男「最近炎上した奴にするか?」
男「いやこっちまで火の粉が移ったら面倒だ」
男「そうだっ!」
男「最近あるグループから抜けて個人になったがオワコンになったあのユーチューバーをくさしてやろう!」
男「タイトルはある没落したユーチューバーについてとかで」
男「あいつは大して面白くないのに」
男「勘違いして独立したから大変な目に遭っているみたいな」
男「あとは少々のユーモアを振りかけてっと」
男「ぶひいいい!」
男「誰かの悪口言ってる間だけが生きてるって感じするよおお!」
男「誰もが薄々感じてるけど誰も言語化出来てないもやもやを抉ることこそが悪態の真髄!」
男「言語パズルがはまったような知的快感と、人を殴ったかのような暴力的爽快感は何者にも変え難い!」
男「これが人間の性なんだ」
男「誰も逃れられないんだよ!」
男「うほっ!」
男「さっき投稿した記事が馬鹿みたいにバズってる!」
男「こんなに金になったの初めてだぞ」
男「ほ、本人にまで届いてしまったか」
男「それは申し訳ないな」
男「だが!辞められねえ!」
男「もっと知的悪口が言いたい!」
男「もっともっと過激な悪態を聞きたい!」
男「ん、なんだこのメールは」
男「ルールその1 悪口ファイトクラブディスコードグループは口外してはならない?」
男「なんだか謎のコミュニティに招待されたみたいだぞ」
男「怪しすぎるが、悪口が聞けるのならば入ってみよう」
男1「おい、今日は誰がファイトするんだ?」
2「俺!俺にやらせてくれえ!」
男「な、なんだこの熱気は」
男「よし、じゃあ先行ぶちかませ!」
2「耳のかっぽじってよく聞け!」
2「俺が貶すのは王国のタコ姫様に対してだ!」
2「国の象徴の娘かなにか知らねえけどよ!」
2「俺のをしやがれ!そしてタコ様とさせろ!タコ様としてやる!」
男1「おおおおいええいい」
男1「今日も気合のこもったディスだったなあ」
男1「な、なんだこの空間は」
男1「おっ新入りか!」
男1「みんな聞いてくれこいつが例のある没落したユーチューバーについてという記事を書いた、悪口記事で稼ぎまくっているやつだ!」
男1「ここはインターネットの闇にまぎれた悪口ファイトクラブだぜ!」
男1「夜な夜な法律すれすれの罵詈雑言を言いまくってるんだ!」
男「あれは完全にアウトだっただろ」
男1「俺たちの目的はここで戦闘力とレスバ力を身に着けた後、選挙に立候補するかクーデターを起こして政権を取ることだぜ!」
男1「そしてどんなにひどい悪口も言い放題な世の中を作るんだ!」
男1「お前も練習としてリングに上がってバイブスを披露してくれないか?」
男「いやいや待て待て俺は確かに悪口で飯を食ってはいるが、法律を犯すような誹謗中傷をする気はないんだよ!」
男「ただちょっと有名人の悪いところをくさしてみんなにくすっと笑ってもらいたかっただけだ!」
男「飲み会とかでもちょっと他人の噂をするだろ?そんなノリでやってんだよ!」
男「い悪口を言うために国家転覆なんかしたくねえよ!」
男1「どうしてお前はわかってくれないんだ?」
男1「ただぼんやり生きていて、それで満足なのか?」
男1「恋人も家族もいない」
男1「そんな空っぽな人生に充実感を与えてくれたのが、このファイトクラブで殴りあうことだったんだ!」
男1「他人を言葉で殴ることでしか生きてる実感がわかねえんだよ!」
男1「人生のすべてを投げ出してでも、生の実感を得たいんだ」
男「いかれてるよお前!」
男「こんなやばい場所から早く逃げなきゃ」
男「はあはあ」
男「なんなんだあいつらは」
男「暇つぶしに悪口を言うくらいならまだしも、それに命を懸けている奴がいるとは思わなかった」
男「実人生で人との交流が無くて孤独だったり、ストレスフルな状況に陥ってしまうとああなるのかなあ」
男「俺はああいう風にはならないよう、頑張って生きよう」
男「まあそれはそうと」
男「今日の悪口記事は誰を題材に書こうかな」

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