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山羊(ヤギ)=悪魔の象徴?
「羊」と聞いてどう思うだろう?
ベージュの毛がもふもふしていて後ろ向きに巻かれた角がキュート。
なんとなく「可愛らしい」という印象を持つのではないだろうか。
では、「山羊(ヤギ)」は?
・・・手紙をむしゃむしゃ食べてしまうドジなやつ?
正直、筆者はヤギについて特にこれといった印象を持っていなかった…。
だが、どうやらヤギという動物は、歴史的にあまり良いイメージを持たれていないようだ。
こんな画像を見たことはあるだろうか。
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バフォメット。サタン。
なぜかヤギは悪魔の象徴として描かれることが多いのだ。
ただ、なぜヤギなのだろう?
マタイの福音書では羊とヤギを明確に区別している。
「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき、その栄光の座に着く。そして、すべての国の民がその前に集められると、羊飼いが羊と山羊を分けるように、彼らをより分け、羊を右に、山羊を左に置く。・・・(中略)・・・それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ。
温厚で大人しい羊は正義の象徴とされ、対してヤギは神に逆らう異端の象徴とされていたのだ。
古代ユダヤ教においても、7番目の月の10日を贖罪の日として祝い、人々の罪の許しを得るためにヤギをいけにえに捧げるという因襲があった。
2頭の雄ヤギを用意し、2頭についてくじを引く。アザゼル(詳細不明)に捧げるためにくじに当たったヤギを荒野へ放つ。というものだ。
これを贖罪の山羊(スケープゴート)を呼ぶ。
なんと恐ろしい言い伝えだろう。
またこれは美術分野にも大きく影響し、悪魔の象徴として描かれたり、ユダヤ人を揶揄してヤギの頭で表現されることが多かった。
フランシスコ・デ・ゴヤ「魔女の夜宴」では絵中央の黒いヤギに魔女が子どもを差し出す様子が描かれた。
絵後方には既に生贄に捧げられた3人の子供が吊るされている…。
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山羊と聞いて思い出すのは、「未年(ひつじどし)の女は門にも立たすな」という言葉だ。
中国では未年生まれの女性は気性が荒く縁起が悪いとされ、未年には子どもを産まないようにするという話だ。
日本でも「丙午(ひのえうま)」生まれは同じような理由で結婚できないと言われている。日本の場合はヤギに関わりはないのだが。
上のような話は、縁起の良いとされたひつじと関連するものであり、ヤギと直接関連する訳ではないのだが、ひつじをヤギと同一視したために生まれた迷信のような気がしてならない。
さらに、「恙(つつが)ない」という日本語。
「仕事を恙なく終える。」などとよくいい、何事もなくという意味でよく使う言葉だが、実は「恙」=病気・災いを意味するのだとか。
これが羊へんであることに意味がないとはいえないような…。※実際は日本にもよくいる「ツツガムシ」が由来になっているそうだが。
そもそも生贄に捧げたのがヤギである理由など明らかになっていない訳だし、これまで語ってきたものがヤギである必要なんてなかったはずだ。それにも関わらず「ヤギ=悪魔、生贄」という悪いイメージだけが先行してしまっている。印象というのは時代を経ても引き継がれてしまうものなのだな。
ヤギさん、僕は悪魔の象徴だなんて思ってないよ。
小説の題材にはしてしまうかもしれないけど、その時はごめんなさい。
以上、ヤギについて考えてみた。