あの日と同じ夜

今はもう、ここにはいない先生。

先生の車に一度だけ乗せてもらう機会があり、その時は緊張してしまって後部座席に座ってしまった。

左後ろから、ギアを操作する手と、バックミラーに映る眼鏡をちらちらと見ていた。


また次の機会があったなら、
次こそは絶対に助手席に座ろう!
と決めていたのだが、その次の機会は、もうなくなってしまった。


今でも、あの日車から降ろしてもらった地点の近くを通るたび、なぜか胸が締め付けられる。



“ずっと大好きでした”