アナ・ケンドリックはすてきなこ

 ザ・コンサルタントって映画を見た。いやーあれ面白いね。ベン・アフレックとバーンサルっていうだけで私は大好きなんだけど、加えてアナ・ケンドリック! この人好き。歌手ケンドリックはそこそこだけど、女優ケンドリックはすごく魅力的に見えるよね。

 シンプル・フェイバー……はまだ見てないからあれなんだけど、マイレージ・マイライフの前途有望だけど脆い部下役からはじまって、ハッピーボイスキラー(この映画のケンドリックは殺されちゃう役だけど、いかにもって感じで好きだった)、バッド・バディ(危険な男に惹かれてしまう、という意味ではハッピーボイスキラーと同じかも)。他にもピッチ・パーフェクトとか順調に女優としてのキャリアを積んでる感じ。

 で、ザ・コンサルタントのアナ・ケンドリックね。この映画のケンドリックはヒロインなんだけど、ある意味で蚊帳の外にいる人。ケンドリックって役をやるときは、とくに最近なんかは”立場はともかく、エキセントリックなところがある人”っていう感じのキャラクターが多くて、これもその路線。脚本家さんもわかってるのかもね。そのキャラクターのアナ・ケンドリックが一番魅力的なんだって。

 そういえば、ピッチ・パーフェクトにはマニック・ピクシー・ドリーム・ボーイがいるって話をどこかで聞いたっけね。

 マニック・ピクシー・ドリーム・ボーイっていうのは、マニック・ピクシー・ドリーム・ガールの男性版(なが……)ようは、悩める主人公のもとにあらわれる、悩みをもっていない悩みを解決するために産み出されたヒロインもしくはヒーローってことなのかな。ウィキにも書いてるとおり、けっこう曖昧な認識でももんだいないんだとおもう。

 なんでこの言葉を思い出したかっていうと、アナ・ケンドリックのキャラはマニック・ピクシー・ドリーム・ガール的というか、マニック・ピクシー・ドリーム・ガール的性質をもっている、脚本上そうではないキャラクターっていう感じがするからなのよね。

 例えばハッピーボイスキラーのアナ・ケンドリックは変人扱いされてる主人公に思いを寄せてる人。好きな男性にアタックするために、天窓から部屋のなかに入ったりするんだけど、これってすごくマニック・ピクシー・ドリーム・ガール的だよね。エキセントリックで、塞ぎがちな主人公をパワーで攻略していくっていう。この映画だとライアン・レイノルズ演じる主人公がサイコだったから殺されちゃうんだけど。

 バッド・バディもそう。男性運のない女性主人公っていう、伝統的なラブコメの主人公像をなぞっていながらも、超感覚をもつヒーロー(演じるサム・ロックウェルがまたかっこいいんだな)と同じ才覚を無自覚ながら持っていて、まわりからは明らかに変な子扱いされている。この映画のサム・ロックウェルなんかとはお互いにそういう要素があったようにも見えるね。

 ザ・コンサルタントもだ。大企業で経理をやっていて、数字に強く、ベン・アフレックが依頼されるきっかけを作った。この作品のアナ・ケンドリックは人間関係についてほとんど語られていないけれど、昼食をとるベン・アフレック(自閉症という設定で、人とあまり関わらない)に積極的に話しかけてきた状況や、アカデミックな才能に対する脚本の書き方は、この作品のケンドリックがあまり友人がいないことを表しているように思える。その他にも、入るなと言われたベン・アフレックのトレーラーハウスに勝手に入ってみたり、数学の話題で盛り上がってみたりと、エキセントリックかつ主人公に寄り添える人物という、マニック・ピクシー・ドリーム・ガール的な人物像であると言える。

 とはいえマニック・ピクシー・ドリーム・ガールという言葉は曖昧過ぎるので、上の意見はそれほど参考にはならないと思う。ウィキの記事にもある通り、この言葉はあまりに多義的だ。考えてみれば実際は違うような作品でさえも、そのように見えてしまうこともあるだろう。私にしたってそうだ。通常マニック・ピクシー・ドリーム・ガールというのは彼女自身はそれまでの人生に悩みを持っていないが、上にあげた映画のキャラのなかにはそうでない人物もいる。だから、これからはこういうキャラクターのことを、アナ・ケンドリック的ヒロインと呼んでみるのはどうだろうか。

 アナ・ケンドリック的ヒロインというのは、エキセントリックで、周囲と浮いた特性によって主人公に寄り添うことができ、主人公と巡り合うことで内省的な問題を解決できるキャラクターのことだ。流行んないかな、これ。流行んないか。



 最後にバッド・バディとハッピーボイスキラーの予告編。ザ・コンサルタントはネットフリックスにて配信中だし、見たことある人も多いだろうから。


 

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