
「溺れている人は水を味わえない」
昨日、国家資格キャリアコンサルタントの試験に向けて、有料のフィードバックつきのレッスンを受けました。
あることに、強い怒りを感じておられる相談者でした。
「不安なんです」「モヤモヤするんです」というのは、比較的、チャンクダウンしやすい感情のような気がしています。
養成学校でも、不安やモヤモヤのなかみ、正体と、「色合い」を質問するように、と習っている。何が具体的に不安で、何が納得いかなくて、どれくらい不安なのか、ちょっとなのか何も手につかないくらいなのか・・・
私が相談者役で養成学校で「(自分のキャリアを邪魔する家族に)怒っているひと」設定で代表ロープレをやったときに、キャリコン役のクラスメートが固まってしまいました。
相談者が、理不尽な出来事に直面し、怒り心頭である状況。
相談者の気持ち=立腹
何にムカついているかは事実は質問してわかった。
でも、「怒り」て 何に怒ってるのかがわかった後、「あまりにわかりやすい気持ちだし、わかった気になってしまう」んだと肚落ちしたんです。
不安は不透明な袋に入ったガサガサいう複数の物、悲しみが淀んだ深い沼、みたいなイメージだとすると(どっちも分解しないと見えづらい)
「怒り」てなんというのか「彫刻」「絵画」のような気がしちゃうんです。作者の想いが、なーんかわかった気がしちゃう。
仁王像とか(あー、怒ってんな)原色で激しくバケツでペンキぶっかけたような「強い憤り」を感じる前衛抽象画とかみたいな。
そして、話している側も、ことに、男性相談者役は、『中年以降、技術、職人系の相談者役』ってちょっと言葉遣いも荒く態度もふてぶてしめの傾向があり(正直、私、これって一種の職業や学歴などの属性差別、思い込みなんじゃないのかな、て思うんだよ。キャリコン目指す男性はホワイトカラーの人が多いでしょ、人事部とか。普段あまり接さないんじゃないのかな、ブルーカラーの同世代男性や職人さんに。私はそっちの世界で生きてきたので思うけど、みんながみんな、初対面の相手に対して「~~なんスよ」てブスっと不機嫌面で話すわけじゃない。ステレオタイプの埼玉マイルドヤンキーみたいな設定の男性相談者役、多すぎです!! ホワトカラー大卒管理職人当りのいい紳士っていないの!?
・・・。そうか。そういう人ってもしかして、キャリコン不要なのか?
自分のことは自分で決められるスペックと豊かな人脈、コミュニケーションスキルがあるから、
わざわざお金払って赤の他人にキャリア相談に来ない説、に気づいてしまった。
相談者の〇〇不足てありますが、支援できないので論述にも書かないし言わないんだけど、設定相談者ってほぼ全員、根本問題は「性格と人柄」(あ、言っちゃダメなやつかコレ)
「腹立つんすよね」とステレオタイプな不機嫌キャラ相談者に言われると
その時点で、田中さん45歳山田さん40歳という個人のシルエットが消え
「あまり語彙の多くない、ヤバイとムカつく連発してそうな層の人」か。
じゃあ、もっと詳しくお気持ちを話していただけますか、ときいても
「え、だから・・・腹たつって言ってるじゃないスか」以外の答がかえってくる気がしない。実際、勇気を出して、もっとお気持ちをうかがっても、とふりましたが「・・・・・。腹立つんすよ」しか返ってこない。
なんだろ。有料講師つきロープレ、違うとこで受けても毎回このケースに私は当たるんですが。
そこで、思い出したのはこの本

最初の「リストラされた男」のところ
上司に何か意に沿わない衝撃的なことを言い渡される。
社会人してりゃあることです。
杉原先生は、同じことでも、「どんな関係性の誰に」、「どんな言葉で」
それを言われたかで、受け止め方、乗り越え方が違う、と書いておられます。
そう。「腹立つ」しか怒りの表現を知らない人でも
「具体的に上司の方はなんて言ったんですか?」
「どんなシチュエーションでしたか?どこかに呼び出されて、とか
みんながいる場所で、とか電話で、とかあると思うんですが」
「その上司の方とは、お付き合い長いんですか?」(異動とかで来たばっかりなのか、20年来の付き合いなのかで違う)
「普段、その上司の方とはどんな関係ですか?」(よく飲みに行くとか
業務報告以外口を利かないとか)
全然自分の今までの努力も貢献も知らないおっさんに機械的に朝礼で言い渡された、のか
一緒に10年もやってきて自分が大事にしてるものもよく知ってるはずなのに裏切られたと感じているのか
家族ぐるみで付き合ってきたいい上司で、ほんとうにすまないんだが、と
言い渡されたことで怒りの矛先が上司本人じゃなくその上、組織にむいてるのか
これは、訊けたはずでした。
口頭試問で、②できなかったこと に挙げるべきことですね・・・・。
フィードバックで言われた、「溺れてる人は水を味わえないので
とことん、感情に溺れきってもらったほうがいい。」
これ聞いて、杉原先生だ、と思い出したんです。
「不安なこと怖いこと恥ずかしいこと淋しいこと腹がたつことなど・・・
存分に味わい、だからどう生きるのか・・・・試行錯誤しながら自分で答えを見つける。それが豊かな人生だと言えるのです。」
でも我々は、あまりに不快な感情に晒されると反射的に不安や恐怖が勝ってしまい、味わうどころではなくなる。
水に対する心構えもできてないところにいきなり水中に突き落とされると
「溺れてる人が水をじっくり楽しめない状態」にあるのと同じ(P60-61)
そして、人間は意外に浅い場所で溺れます。子供は5cmの水深で溺れるといいますね。ひっくり返って顔が水につかると恐怖で動けなくなってそのまま浅い水で溺死する、と。
カウンセラーは、溺れてる人にロープを投げて引っ張るのではなく
水が干上がったり引いてくるまで一感情を吐いてもらいながら一緒に待ち、
もう足が着きますよ、と声をかけて落ち着いたらあっちに岸があるようです、行ってみますか?と
たぶん、そういう存在なんでしょうね。
色々ほんとうに勉強になりました。
養成学校の仲間とたくさん練習するのも(卒業後もやっている)
受験生同士で無料で参加できるロープレ(探すと大手で幾つかそういう組織あります)に参加するのも、まずは回数こなして「慣れる」のにはとてもいいのですが
(個人的には、ココナラみたいな自称有資格者個人にではなく)ある程度
組織を構成できているようなところで納得いく価格の範囲(都内の美容院でカット代くらいが適正価格だと思っている3000-7000円前後)
(私は一回一万超えるところはちょっと ??? と思うので避ける)
月1か、せめて受験までに一回は、養成学校の先生とは違う先生に
客観的にフィードバックを頂くことを、おすすめしたいです。
でも、クラスメイトとであろうが、自分の中に「課題発見しようとする気持ち」があるかないかが、いちばん大事な気がします。
高いお金払って何か指導していただいても
「そっかー。」だけで終わってしまうなら意味がないからです。
28回受験生の皆さん、一緒に頑張りましょう。